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入門カートリッジ(4)幅広いユーザーから支持!人気のShure5製品をレビュー

2016/10/18 野村ケンジ
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国内での定番ブランドであるオーディオテクニカや、世界的な王道メーカーであるオルトフォンに並び、高い人気を保ち続けているのがシュアだ。

シュアといえば、現在はイヤホン/ヘッドホンなどがとても有名だし、マイクなどのプロオーディオ機器の世界でも定評あるメーカーとなっているが、実はカートリッジの世界でも人気者。ずっとMM型にこだわっていることもあってか、手ごろなプライスタグでありながら、音質、耐久性ともに良好なモデルを幾つもラインナップ。クラブでのDJからリスニング用途まで、幅広いユーザーに愛され続けているのだ。ということで、今回はシュアの人気モデル、定番モデルのなかからオススメの製品を紹介していこう。


 *第1回目はこちら
 *第2回目[オーディオテクニカ編]はこちら
 *第3回目[オルトフォン編]はこちら


SHURE「M44G」


M44G
1963年以降、50年以上にわたって作り続けられ、いまだに高い人気を保ち続けている定番中の定番モデル。現在はDJ用に分類されているが、もともとリスニング用に作られたものなので、どちらの用途にも適したクオリティと耐久性を持ち合わせている。熱処理されたアルミ製カンチレバーを採用し、針は0.7ミルの球形ダイヤモンド針が使われている。適正針圧は0.75〜1.5gとなっているが、2.0gくらいがベストという評判もある。

揺るぎのないステージングを持つ、定位感のしっかりしたサウンド。MM型にしては珍しく、というべきか、スムーズな広がり感のある、立体的なサウンドを奏でてくれる。

音色傾向としては、どちらかというとリアル志向なイメージ。ドラムのタム演奏などは、皮のたるみの様子までしっかり伝わって来てくれる。いっぽう、女性ヴォーカルは基音が強く倍音は弱め。そのため、伸びやかさに欠ける嫌いはあるが、高域方向への収束が自然なためか、全くといっていいほどきにならない。低域もどちらかというと線が細く感じられるので、このあたりはフォノイコライザーのセッティングで調整するのもひとつの手だろう。基礎体力が高いだけに、iFI Audio「iPhono 2」など、細やかな調整が行えるフォノイコライザーを組み合わせて活用するのがオススメ。


クオリティチェック(-2〜2)
音の表現  広がり重視 ●○|○○  密度重視(-2)
音の再現  迫力重視  ○●|○○  音場重視(-1)
音の質感  クール   ○○|●○  ウォーム(+1)
帯域表現  低域重視  ○○|○○  高域重視(±0)
高域表現  煌びやか  ○○|○○  伸びやか(±0)
低域表現  硬い    ○○|●○  柔らかい(+1)




SHURE「M44-7」


M44-7
「M44G」同様、1960年代に誕生し、現在まで50年以上にわたって高い人気を保ち続けているベストセラーモデル。外観はもとより、熱処理されたアルミ製カンチレバーや0.7ミルの球形ダイヤモンド針の採用など、基本部分はほとんど変わらない。スペック上の違いは、高域の再生周波数帯域(「M44G」は19kHzまでで「M44-7」は17kHzまで)と、適正針圧が1.5〜3.0gと大きく異なっているくらい。

「M44G」とほぼ同じようにも見える「M44-7」だが、そのサウンドを聴くと両者の違いがはっきりと分かる。音楽性豊かな、躍動的なサウンド表現はそのままに、フォーカス感をさらに高めた、芯のしっかりしたサウンドを楽しむことができる。1音1音がとても重く、いわゆる“ごりごりとした低音”と例えられるサウンドキャラクターを持ち合わせているため、ハードロックやメタル、ジャズなどにはうってつけ。ニルヴァーナを聴くと、演奏からもヴォーカルからも、演奏から抑えの効かない感情がほとばしっているかのように感じられる。ロック系のサウンドをよく効く人には、太鼓判でオススメしたいモデルだ。


クオリティチェック(-2〜2)
音の表現  広がり重視 ○●|○○  密度重視(-1)
音の再現  迫力重視  ●○|○○  音場重視(-2)
音の質感  クール   ○○|○●  ウォーム(+2)
帯域表現  低域重視  ○●|○○  高域重視(-1)
高域表現  煌びやか  ○●|○○  伸びやか(-1)
低域表現  硬い    ●○|○○  柔らかい(-2)


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