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「Core Audio」の変更も検証

【レビュー】iPhone 7に同梱、Lightning - 3.5mmアダプタをバラして分析する

2016/09/20 海上忍
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そこでカンナのように薄くスライスする作業を繰り返すこと20分(老眼なので辛い)、ようやく金属部分が見えてきた。しかし、ここもしっかりと固められており剥がせない。マイナスドライバーを梃子にしてさらに10分ほど悪戦苦闘したのち、ようやく基板部分が見えてきた。

しかし、確認できたのはDACにしては大ぶりなチップが1つ。その下にコンデンサなど小さな部品が見えるが、LAMやDSPと思しきチップは見当たらない。そのチップ表面の刻印からは、台湾製であることを示す「TW」の文字は読み取れるものの、どのメーカーのどのような働きを持つチップか見当がつかない。

基板上を覆いつくす大きさのチップが現れた。LAMとDAC、デジタルアンプをまとめたオール・イン・ワンのチップか?

コネクタからミニジャック部へ伸びる線を調べてみると、左右チャンネルのデータ信号と電源、GNDに使われると覚しきケーブルを確認できるので、この段階でデジタル/アナログ変換および増幅は完了していると思われる。

コネクタからミニジャック部へ伸びる線を切断すると、左右チャンネルのデータ信号と電源、GNDに使われると思しきケーブルを確認できた

信号レベルでの検証は行っていないが、このチップはおそらくLAMとDAC、デジタルアンプを1つにまとめたチップなのだろう。そう考えれば、変換アダプタの動作を理解できるし、Lightning-USBケーブルのものより大ぶりなチップが搭載されていることも納得できる。

と、ここまでくると1つの結論を見いだせる。iPhone 7に付属の変換アダプタは、iPhone 6sまでのヘッドホンジャックと比較すると音質的なアドバンテージを認められないが、その原因はDACやデジタルアンプをまとめたチップの性能にあるはず。そしてそれは、音質に優れたLightning直結型ヘッドホンが続々登場していることにより証明できる。

変換アダプタもまた然り。すでに外付けのLightning端子直結ポータブルヘッドホンアンプがサードパーティから発売されているし、あくまでアダプタサイズにこだわるのであれば、端子部分が大型化して小回りが効かなくなる予感はあるものの、音質重視のDACとアンプを積んだサードパーティー製がいずれ登場することだろう。

iPhone 7のイヤホンジャック廃止は、ポータブルオーディオ業界にとって“悪い話”ばかりではないのだ。もっとも、ワイヤレス化は今後さらに進展しそうで、そちらへの対応も喫緊の課題となりそうだが……。

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