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<山本敦のAV進化論 第102回>

世界初のDTS Headphone:X対応タブレット、ASUS「ZenPad 10」レビュー

公開日 2016/08/15 11:08 山本 敦
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本稿を執筆している2016年8月上旬時点で、コンテンツの数と種類はMusicLiveがJ-POPを中心に15アーティスト、30タイトル・167曲、iConcertsは洋楽アーティストの楽曲を核としており、274アーティストによる120タイトル・1,769曲が並ぶ。こちらはコンサートのほかにもドキュメンタリー映像などが含まれているが、今年の2月から作品が追加されていない様子だ。

今回はMusicLiveのストアから、GLAYが2010〜2011年に行ったさいたまスーパーアリーナでのライブのうち『口唇』を買ってみた。楽曲の購入はクレジットカード情報を登録して簡単にできた。購入記録はGoogleのアカウント情報にひも付けられるので、AndroidスマホにもMusicLiveをインストールして楽曲をダウンロードし直すことはできるのだが、iOSで聴きたい場合はもう一度買い直しになる。

サウンドの印象は、良くいえば自然でむやみな強調感のないサラウンド音場だが、空間的な広がりもそれほど強く感じられなかった。中低音域が力強く、ボーカルにエレキ、ベースの音の輪郭ははっきりと見えるし、定位感も鮮やかだ。

反面、歓声に包まれる大きなライブ会場の迫力やスケール感がせっかくの11.1chなので、もう少し欲しいところ。購入した本作以外にもいくつかのタイトルの試聴トラックを聴いてみたが、音の傾向は比較的似ているようだ。機会があれば、コンテンツがどのように作られているかについて、より詳しく取材してみたいと思う。

なお、MusicLiveのコンテンツはどれも映像付きだが、こちらのクオリティは素性が良く、再生するスマホやタブレットの画質によって結構変わった。

AudioWizardアプリの効果も実験した。端子にヘッドホンをつなぐとポップアップが立ち上がり、接続した機器がヘッドホンかイヤホンか、あるいはASUS純正のイヤホン「AL33」であるかによってエフェクトを最適化するというメッセージが表示される。引き続きATH-MSR7を使ったので、「有線オンイヤーヘッドホン」を選んだ。

AudioWizardアプリの画面。ヘッドホンを装着すると表示されるポップアップ。今回は有線オンイヤーヘッドホンを選ぶ

ヘッドホン・イヤホン再生の場合、音場効果のメニューはデフォルト設定の「従来」のほかに、「前面」と「ワイド」が選べる。

例えばGoogle Playミュージックなどミュージックプレーヤーアプリで音楽を再生すると効果は明快。メニューにある名称の通り、楽器の音が前面に押し出してきて奥行き感を作り出す「前面」と、上下方向の伸びやかさが加わる「ワイド」ともに、MusicLiveアプリによる再生よりも自然なサラウンド感と抜けの良さが実感できた。

イヤホンでの再生時。プリセットは従来/前面/ワイドから選ぶ。高度な効果を選ぶと5バンドEQの画面に移る

さらに「高度な効果」を選択すると5バンドEQでユーザーの好みに合わせたチューニングもできる。

内蔵スピーカーでのバーチャルサラウンド再生は5.1ch対応。5つの音場モードが選べる

内蔵スピーカーでも動画/音楽/スマート/ゲーム/ボーカルの5種類の音場感がプリセットされていて、使い分けながら5.1chサラウンド再生が楽しめる。BGM的にタブレットを使って部屋の中で音楽を聴いたり、VODで映画を視聴、ゲームを遊ぶときにちょっとしたスパイスとして効かせられる楽しい機能だ。

タブレットは長らくiPadの一人勝ちになって久しいが、他社製品も低価格路線だけでなく、オリジナリティを出していかなければこれからの競争を勝ち残れない。タブレットでサラウンドというアプローチは今までに無かったわけではないが、音楽配信やVODがタブレットで楽しむコンテンツとして定着してくれば、ふたたびDTS Headphone:Xのようなサラウンド技術が付加価値を与える切り札として注目されるはずだ。

ASUSの新しいZenPad 10は、MusicLive以外のコンテンツでもDTS Headphone:Xの効果が味わえるところに、確かな違いと魅力が感じられた。

ただし、DTS Headphone:Xが今後もさらに普及するためには、もっと定期的にコンテンツを拡充していく必要がある。いまは音楽ライブが中心だが、今後は映画やゲームにもカテゴリーが広がって欲しいし、VRと上手く組み合わせられたら、サラウンドやオブジェクトオーディオといった技術が一段と飛躍を遂げる可能性が大いにある。

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