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【特別企画】圧倒的な効果を実現

磁気浮遊オーディオボード SAP「RELAXA530」をオーディオ銘機賞審査員5人が徹底レビュー

2016/07/22 井上千岳/石田善之/福田雅光/藤岡 誠/山之内 正
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アナログプレーヤーで試す
音の静寂感が非常に高まり、各楽器の存在感が引き立つ

CDプレーヤーに関しては後で確認するが、その前にアナログプレーヤーを試してみたい。10年前にはいまのようなブームが来ていなかったので、手頃なプレーヤーが使えなかったのだ。

「RELAXA 530」をラックスマンのアナログプレーヤー「PD-171A」(25.4kg)に設置。ハウリング・マージンが極めて高く、ほとんどフルボリュームでも何も起きなかった

さすがにハウリング・マージンが極めて高く、ほとんどフルボリュームでも何も起きない。これに伴って再生音の静寂感が非常に高まっている。バロックの緩徐楽章のような静かなソースを聴くとそれが明らかで、楽器の周囲に広がる余韻がこれまでになく豊かに感じられる。アンサンブルのひとつひとつの楽器が存在感を増して見え方がくっきりしているが、特にチェロなどの低音楽器でそれが際立つ。ディテールの表情がきめ細かく明快になるのも当然だが、様々な点が改善されて音楽の実在感が強まるのである。

ピアノは実に彫りのくっきりしたタッチだ。一音一音が瑞々しく、潤いの乗った響きに彩られている。ごく小さな強弱の起伏も消えずに引き出されているため、表情の変化が大変深い。色の濃い表現が浮き彫りになる印象である。

オーケストラはボリュームを上げて大き目の音量にしたときが、違いをいっそうよく再現する。トゥッティでフォルテになるほど音量が伸びる。天井が上がったわけで、弱音との差が広がりダイナミズムが豊かになる。一般には音量が必要以上に上がると混濁するものだが、このボードではその余裕が広がるのである。

コーラスの充実感も非常に高い。聖堂の中の空間が見えるような実体感がそのまま出てくる。しかも音の質感を少しも替えないのが頼もしい。

CDプレーヤーで試す
微妙なディティールを再現し、圧倒的な瞬発力を引き出す

さてCDプレーヤーだが、付帯音がまるで消えてしまうため最初は味気なく思うほどだ。しかしその静かさに慣れてくるにつれて、例えばピアノではディテールの微妙な強弱、低域の濁りのない深さ、瞬発力の強靭さなどが圧倒的に感じられてくる。ピントが明確なのも大きい。

「RELAXA 530」はアキュフェーズの最高峰SACDプレーヤー「DP-720」(28kg)にも設置できた。付帯音がまるで消えてしまうような感覚が体験できた

バロックはどの楽器も立ち上がりが鮮やかで、また弱音部の静かさになんとも言えないニュアンスがある。リュートの低音部など特にそうだ。オーケストラの膨らみが消えるのも当然。エッジが利いて切れがよく、低域の伸びがいい。ジャズも切れと弾みが理想的と言ってもいいほどで、どの楽器も生き生きとして生命力に溢れている。宙に浮かせることの効果は、間違いなく絶大なのである。

(井上千岳)

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