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USB-DACやヘッドホンアンプの音質もチェック

デノン初の“ミドルクラス”ネットワークプレーヤー「DNP-2500NE」をレビュー

公開日 2016/01/29 14:11 山之内正
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ノラ・ジョーンズ『フィールズ・ライク・ホーム』(96kHz/24bit FLAC)からも数曲聴いてみる。音作りがシンプルな時期のアルバムで、特にヴォーカルやピアノの自然なタッチは本来とても好い感触なのだが、なぜかCDで聴くと妙に音がこもって聴こえる作品だ。ハイレゾ音源を聴くと一転して抜けが良く、ギターの立ち上がりにも鈍さがなくなって、本来のすっきりしたサウンドが蘇る。そのメリットが聴き取れるかどうかがポイントなのだが、本機は期待以上の結果を引き出してきた。一音一音の粒立ちがクリアで、声の立ち上がりもストレートで不自然な力みがない。ヴォーカルの抜けの良さはどの曲でもすぐ気付くし、『サンライズ』のピアノや『ハンブル・ミー』のアコースティックギターのクリアな音色も聴きどころだ。

DNP-2500NEのネットワーク再生は、ハイレゾ音源とCDとの音質を正確に鳴らし分けながら、フォーカスの良い音像を再現することに特徴がある。見通しの良い空間描写、時間軸方向の分解能の高さと併せて、音楽の躍動感を引き出す志向が強い。

USB-DAC再生でも透明感の高いサウンドを聴かせてくれる

USB入力の音はどうだろうか。結論から紹介すると、イーサネットや他のデジタル入力と同様、USB入力についてもグラウンドの分離やノイズ遮断を徹底しているためか、DACの基本性能は非常に高く、透明感の高い音を引き出すことができた。

USB-DAC機能の試聴は、Mac Book AirとAudirvana plusを組み合わせて行った

ジャニーヌ・ヤンセンが演奏したJ.S. バッハのヴァイオリンソナタ(96kHz/24bit FLAC)を聴くと、付帯音が乗らない澄んだ音色に強く惹かれる。澄んだせせらぎのように旋律が自然に流れ、チェンバロが刻むリズムも引っかかりがなく、節度のある音量で自然に独奏をサポートする。ヴァイオリンは軽めの圧力でも音がカサつかず、E線の高い音域まで硬質さとは無縁で、音がスーッと伸びていく様子がとても美しい。

実はこの音源はCDで聴くと音楽が少しばかり角張って聴こえるのだが、ハイレゾではその硬さが気にならず、フレーズが途切れずに大きな抑揚が浮かび上がる。一般的にUSB再生ではPCM音源の輪郭の強さを際立たせることが多いのだが、本機のUSB-DACはそれとは少し異なる音調を狙っているのかもしれない。

ジェーン・モンハイトの『ザ・ハート・オブ・ザ・マター』(88.2kHz/24bit FLAC)からも、なめらかなタッチを引き出すのが得意なことがよくわかる。アコースティック楽器の響きを柔らかめにブレンドし、バラードのしっとりとした感触を描く音作りなので、どんなUSB機器で聴いてもその特徴にはすぐ気付くのだが、ヴォーカルは製品ごとにかなり雰囲気が変わる。子音が強めになったり、音像が広がり過ぎるなど、DAC側の課題があらわになってしまうのだ。DNP-2500NEのUSB入力で聴くモンハイトのヴォーカルは、声のイメージがきれいに収束して宙に浮かび、子音の強調感とも縁がなく、ごく自然なイントネーションが伝わってきた。

独奏ヴァイオリンとヴォーカルを例に挙げたが、その他の音源でもUSB入力の自然な音調を実感することができる。

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