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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(7)

ラズパイ・オーディオでアップサンプリング! CD音源を変換して高音質再生

公開日 2015/12/02 11:20 海上 忍
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■アップサンプリングするなら「Medium」で「96kHz/24bit」

設定を行う箇所は「Audio Output format(resampling)」と「Sample rate converter」の2箇所だけだが、その組み合わせは27通りにも及ぶため、ただ選べばいいというものでもない。Raspberry Pi 2に搭載のSoC「BCM2836」ではARMコア(Cortex-A7)が900MHzというクロックで動作するため、選択肢によってはリサンプリング処理が追いつかずに再生が破たんするからだ。

CDから取り込んだロスレス音源(44.1kHz/16bit、ALAC)で試した結果は、表1〜3に示すとおり。「Fastest Sinc Interpolator」ではインターポレーション(サンプリング周波数を整数倍するときの補間処理)を速度優先で行うため、もっとも情報量が多くなる384kHz/32bitでも余裕で再生できた。

表1〜3


フォーマットを384kHz/24bit、タイプはFastest Sinc Interpolatorを選択したときの出力状況

速度/精度のバランスが考慮された「Medium Sinc Interpolator」では、組み合わせによって明暗が分かれた。96kHz/24bitおよび96kHz/32bitはスムーズに再生できたが、192kHz/24bit以上の情報量では音が途切れがちとなってしまう。topコマンドでMPDのCPU使用率をチェックしたところ、つねに100%に達しており、出力内容がメモリにバッファーされることを考慮してもデフォルトの設定(ARMコア=900MHz、GPUコア=500MHz)では難しいことがうかがえた。

精度を最優先する「Best Sinc Interpolator」では、アップサンプリング処理はほぼ困難だ。ビット深度の拡張のみを行う44.1kHz/24bitおよび44.1kHz/32bitという組み合わせは、インターポレーションを伴わないためCPUへの負荷はなきに等しいレベルだが、出力を96kHz/16bit以上に設定すると完全に再生が破たんする。なお、CPUのクロックアップ(900MHz→1GHz)も試したが、96kHz/16bitですら音楽再生には遠い状況だった。

以上を踏まえると、クオリティを考慮したうえでの現実的な選択肢は「Medium Sinc Interpolator」の96kHz/24bitあるいは96kHz/32bitとなる。あとは「Fastest Sinc Interpolator」の選択肢と聴き比べたうえで、アップサンプリングを常時利用するのかどうかを決定すればいいだろう。

アップサンプリングするなら「Medium」で「96kHz/24bit」の組み合わせが現実的だ

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