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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第136回】「秋のヘッドフォン祭2015」を高橋敦の“超”個人的ベスト5で振り返る

公開日 2015/10/30 10:22 高橋 敦
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【第1位】平面駆動型の開発や生産には高度な技術力が必…な…んだと!?

さて、ヘッドホンにおいて昨今再び注目を集めているのが「平面駆動」型だ。今回もいくつかのメーカーから新製品が登場しており、これもまたひとつのジャンルとして定着するかも…という雰囲気になってきている。

MrSpeakersは開放型の「ETHER」と密閉型「ETHER-C」を同時に発表

開放型「ETHER」はこんな感じ

しかし平面駆動型は一般的なダイナミック型とは異なる開発や生産の技術が必要であり、「じゃあうちも軽く作ってみますか」というわけにはいかない。長期の高度な開発とそれを製造するための設備がないことには平面型ヘッドホンは生み出せな…んだと!?

へー、自作ヘッドホンかー。ふ〜ん、ドライバーから自作な…!?

自作の…平面駆動型ドライバーだと!?

ビンテージなポータブルオーディオアイテムを積み上げていることでおなじみのサークル「Music With 規格外」のブースにドライバーから何から全て自作の平面駆動型ヘッドホンという非常識なアイテムが展示されていた。

茶室のような雰囲気を感じさせる外装。和をイメージして製作したとのことで、もちろん外装も全て自作

実際の塗料は聞きそびれたが、塗料が引けて(乾燥して)木肌に馴染んでいるような好ましい感触


こちらが問題の自作平面駆動型ドライバー

ぱっと見はシンプルだが、銅の部分は薄膜とかではなくコイル、つまり極細の銅線をこの形にコイルとして巻いたものを振動板に貼り付けてある…らしい

で、音も素晴らしい。平面駆動型っぽい軽やかさや力みのなさはもちろんあるのだが、それでいて全く現代的ではない。ニュアンスでしかない表現になってしまうが、いまどきのハイエンドヘッドホンの様子を「天井一面の均質な蛍光灯で音が照らし出されている」と喩えるとすれば、このヘッドホンのそれは「ムラや翳りのある白熱電球で音が照らし出されている」それどころか「茶室に行灯(あんどん)」くらいに個性的だ。他のいかなるヘッドホンとも競合しないオリジナルサウンド!

同サークルのブースには他のメンバーによる自作ダイナミック型ドライバー搭載モデルも。こちらも味わい深い外観と音

振動板素材はまさかの書道用半紙!その発想力と思いつきを実行してしまう勢いがすごい!

■終わりに

ということで、個人的な第1位は、どのメーカーの最新製品でもなく、まさかの完全趣味のフルスクラッチ作品「自作平面駆動型ヘッドホン」だった。いやこれ本当にShure「KSE1500」並みの衝撃だったよ!

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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