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マランツの新旗艦AVプリ「AV8802A」を開発拠点・白河で聴いた【連続レポート前編】

山之内 正

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2015年06月26日
マランツの旗艦AVプリアンプ「AV8802A」は、同社の白河工場にて開発・製造が行われている。本機の開発背景、そしてAVアンプとして希有な純国産での製造過程を確認すべく、山之内正氏が白河の地へ赴いた。連続レポートの前編では、開発試聴室で改めて確認したAV8802Aのサウンドについてレビューしていく。

11.2ch AVプリアンプ「AV8802A」 ¥455,000(税抜)

Hi-Fi思想を突き詰めた新旗艦AVプリ

セパレート型のAVアンプは、プリとパワー各アンプ間の干渉がなく、純度の高い再生音を引き出せる良さがある。そして、プリ部が扱う信号の帯域が広がり、パワーアンプのチャンネル数が増えるにつれて、セパレート型を選ぶメリットはますます大きくなった。輻射ノイズやクロストークを抑えるうえで、筐体スペースに余裕のあるセパレート型にまさる解決方法は見当たらないのだが、現状では選択肢があまり多くないのが少し残念なところだ。

そんななか、マランツのAV8001は数少ないセパレート型のAVプリアンプとして、本格的な製品を求めるAVファンの支持を集めてきた。その後継として今年2月に登場したAV8802のマイナーチェンジモデルが、今回の主役「AV8802A」だ。

音質チューニングを担当した(株)ディーアンドエムホールディングス Marantzサウンドマネージャー 澤田龍一氏が、本機の詳細を説明してくれた

設計を担当した(株)ディーアンドエムホールディングス CSBU Product Development Core Products 技師 豊間 洋氏

変更点はHDCP 2.2、HDR(ハイダイナミックレンジ)、BT.2020への対応のみで、現行機種は無償の基板交換で「A」バージョンと同一仕様に生まれ変わる(ちなみに無償で基板交換を行うのは日本のみの特別対応とのことだ)。基板交換とは言っても上述のサポート以外はすべて共通なので、ここではAV8801からAV8802/AV8802Aへの進化に焦点を合わせることにしよう。

フルディスクリート構成の電流帰還型送り出しアンプを13ch分搭載

AV8801からの世代交代では、特にHi-Fiオーディオの視点から見て非常に重要な進化を遂げている。独立基板で構成されたアナログの電流帰還型送り出しアンプをHDAM-SAを用いてフルディスクリートで組み、AV8801に比べてスルーレートを約16倍の100V/μsに引き上げているのだ。

全チャンネルを独立基板としたフルディスクリート電流帰還型プリアンプ部

HDCP2.2に対応した「AV8802A」のデジタル基板(上)と「AV8802」の旧基板(下)

前作ではHDAMとオペアンプを組み合わせていたため、そのオペアンプの性能に引きずられてスルーレートを十分に高めることが難しかった。一方、今回は非常にハイスピードなHDAM-SAで同回路を構成することで、1μsで100Vという急峻な立ち上がり特性を確保することに成功。この数値は高性能なHi-Fiアンプと同等の特性なので、今回、真の意味でHi-Fiグレードと呼べるプリアンプに生まれ変わったと言っていいだろう。なお、バランス出力回路もこれまでのオペアンプではなくHDAM-SAで構成しているため、RCA出力と同様の素早い立ち上がりと正確な音色の再現が期待できる。

白河工場で一貫して生産される純国産モデル

HDAM-SAはマランツのアンプやデジタルプレーヤーでおなじみの技術だが、AVアンプの高音質化のために今回投入された技術はそこにとどまらない。たとえば、デジタル回路用のスイッチング電源を倍速化したことや3端子コンデンサーの採用など、アンプの基本性能向上に見合うノイズ低減策を導入したことが大きな成果を上げたという。ちなみにアナログ回路用の電源には大容量のトロイダルトランスを奢り、ブロックコンデンサーもカスタム品を投入。いずれもAVアンプとしては異例だが、音質改善には確実な効果を発揮する。本質的な音質改善にこだわるマランツらしいアプローチだ。

まずはステレオ再生でその能力を確認する

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