SHURE「SRH144/145」を大塚康一がレビュー:両モデルのサウンド傾向を整理

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大塚康一
2015年05月15日
SHUREから登場したSRH144、SRH145、SRH145m+という才色兼備な三姉妹、もしくは秀外恵中(しゅうがいけいちゅう)な三兄弟の音を語る前に、まずはそのスマートなデザインと心地よい装着感について考察してみたい。

SRH144

SRH145

SRH144、SRH145そして145のiOSデバイス(iPhone/iPod/iPad)対応リモコン&マイク付きバージョン145m+は、いわゆるオンイヤータイプのヘッドホンである。一般的にオンイヤータイプのヘッドホンは、側圧が強めのものが多い。イヤーパッドが耳の上に乗る恰好になるので、耳全体を覆うオーバーイヤータイプのように外耳で支えることが難しいため、どうしても頭の両側から挟み込むことになるからだ。しかし、この3機種の場合、その側圧が適切なため強さを感じない。恐らくハウジングがヘッドバンド一体型の超軽量フレームの内側に取り付けられているので、フレームがバネのようにしなり(ちょうどカチューシャのように)、絶妙な側圧を生み出しているからではないかと推測される。また、イヤーパッドが丸みを帯びたゆるやかなドーム形状になっているため、フラットな形状よりも耳にフィットしやすいのだ。

SRH144(左)、SRH145(右)ともに、オンイヤータイプのイヤパッドは位置調整も可能

サイズ調整はフレームの長さを伸ばしたり縮めたりするのではなく、フレームは固定されていてハウジングそのものが内側をスライドするので、頭に乗せてからの調整も非常にやりやすい。なお、構造上ハウジングは90度回転しないが、フレーム自体を折り畳めるので、持ち運びに支障はないだろう。モバイル使用を念頭に置いたポータブルヘッドホンの場合、こうした機構やアイデアは極めて重要で、SHUREが「エルゴノミックなヘッドホン」と呼ぶ所以だ。それをまず踏まえつつ、音を聴いてみよう。

開放的なサウンドが心地良い開放型「SRH144」

チタンカラーの「SRH144」はセミオープン型のモデルで、36mm径ドライバーを採用。公称の再生周波数帯域は、30〜20kHzと記されている。いつものようにiPhone 6plusにインストールしたFLAC Player、Hibiki、HF Playerといったアプリ、ハイレゾ対応DAPのAK120 IIなどで再生しながら、DSDを含むハイレゾからALAC、AACの圧縮音源までをじっくりと聴いてみた。

SRH144はセミオープン型。SRH145は密閉型となる。

その印象は、全体に軽快で文字通りオープン型に近い開放的なサウンドであり、弾むような低音が心地良いということ。それがハイレゾ特有の、中高域の透明度やスピード感に繋がっている。筆者がリファレンスとする低音イメージに照らし合わせると、曲によってはもう少し欲しいかなとも思えるが、このクラスのオンイヤーの中では傑出と確信するサラッとして濁りのない、音離れの良いサウンドに関して異論はない。実際ボリュームを上げてもうるさく感じないので、ついつい大音量で聴いてしまうほどだ。

因みに144の感度は96dBありインピーダンスも34Ωなので、前述の機器にダイレクトで挿し込んで充分な音量が得られる。これも特にモバイル用途では大切なことだ。常々言っているが、ヘッドホンアンプやDACは、あくまで音質改善のためのオプションだということを忘れてはいけない。


厚みと迫力あるサウンドが魅力の密閉型「SRH145」

シルバーカラーの「SRH145」は、密閉型である。同じ環境で試聴してみると、144に共通する軽快さを備えながらもより低域側にシフトしたサウンドで、より厚みが加わった感じだ。例のイヤーパッドのフィット性と密閉型ならではのシナジー効果か、例えばハイレゾの強烈な低音などは144よりもぐんと深く沈み込んで迫力が出て来る。しかも決して不自然に強調されたブーミーな低音ではないところに、素性の良さを感じさせた。同じ36mmドライバーでインピーダンスも同じ34Ωなのだが、感度は100dBとやや高く再生周波数帯域は25〜18kHzとされている。スペックと聴感上の音質傾向が、見事に一致しているわけだ。音漏れがなくアウトドアでの使用に最適なメリットと、音質面でのそうした個性が、144との違いになる。

ケーブルは非着脱式。

なお、145m+は基本的に145と同等と考えて良く、ケーブルにリモコンとマイクが追加されたことによる音質面での影響を懸念する必要はない。iPhoneでの音楽再生をヘッドホン側で快適に操作したいリスナーには、むしろ145m+の方がお薦めだ。

さらに言えば、異なった機種を(コストをあまり掛けず)2台手に入れ、インドアやアウトドアのケース・バイ・ケースで使い分ける……そんなちょっとした贅沢にも応えられるヘッドホン達ではないだろうか。

SHUREの充実したヘッドホンラインナップにおいて、SRH144/145/145m+はエントリーラインに属する。しかし、楽器の世界でもよく言われるが、コストや高品質な素材を惜しげもなく投入したハイエンドモデルは、もちろん文句なしに素晴らしい。だが、そうした要素を押さえながら充分な性能と存在価値を持たせたエントリーモデルにこそ、メーカーのポリシーや底力が現れるという説。これは、ある程度正しい。いやSHUREというメーカーのヘッドホンにおいては、全く正しい話のように思える。

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