11.2MHz対応USB-DACのサウンドにも注目

エソテリックの中堅SACDプレーヤー「K-05X」が遂げた大きな進化とは? 鈴木裕がレビュー

鈴木 裕

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2015年04月02日
シャープなサウンドは引き継ぎつつ、音の密度やエネルギー感をさらに向上させた

テストは音元出版の試聴室で行った。リファレンス機材はエラック「FS249BE」をアキュフェーズのエレクトロニクスで鳴らすシステムで、プリアンプ「C-3800」、パワーアンプ「A-70」の組合せだ。

K-05Xの試聴は音元出版の試聴室にて行った

まずCDから聴き始めた。山下達郎のアルバム『ソノリテ』から「マイダス・タッチ」。基本的な再生音の方向性はK-05から変わっていない。音のコントラストやシャープネスなどさすがにVRDS-NEOの威力を感じさせるが、同時にエネルギー感や音の密度、情報量がK-05Xになって高くなっていて、全体的なバランスがとてもいい。音の緻密さと馬力感、しなやかさと分解能といったトレードオフの関係にありそうなものがK-05からいずれも向上しているのを感じる。特有の魅力として持っているVMK5由来と思える音の要素、低域の音の太さは若干アキュレートな方向にシフトしつつも健在だ。

山下達郎『SONORITE』

エリック・クラプトンの『アンプラグド』から「ロンリー・ストレンジャー」を聴くと、スピーカーからの音離れがとても良く、立体的な音場に立体的な音像が展開する。また、クラプトンが足でリズムを取っている音が木製の床の中で反射して返ってくる最低域の音の、ガツッといった立ち上がり方もいい。

エリック・クラプトン『アンプラグド』

エソテリックによってリマスタリング、SACD化された『ジルヴェスター・コンサート1997』アバド指揮ベルリン・フィルを聴くと、グランカッサ(大太鼓)の馬力やエネルギーが高い実体感を持っている。ビゼーの歌劇『カルメン』、その「ハバネロ」をアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが歌っているが、艶が乗りすぎず、声のリアリティや曲の意味が伝わってくる”歌”の豊かさ、ニュアンスの豊富さにも感心させられる。「カルメン幻想曲」でのギル・シャハムのソロ・ヴァイオリンの弦と弓のこすれる音自体の感じや、木製の胴体の中での響き、そして本来のヴァイオリンとしての音の艶やかさなど、多彩なこの楽器、この演奏の魅力を堪能させてくれる。

『ジルヴェスター・コンサート1997』

USB-DACは密度の高い空気感や音楽の推進力まで表現してくれる

次にUSB-DACとしてテストした。DSDの11.2MHz(いわゆるDSD256)、PCM系の信号としては384kHzまで対応しているのも素晴らしい。また、PCにインストールして使う再生ソフト「エソテリックHRオーディオ・プレーヤー」の存在もありがたい。

エソテリックHRオーディオ・プレーヤー

山下達郎『ソノリテ』やクラプトンの『アンプラグド』のCDからリッピングしたデータを聴くと、なるほどCDをダイレクト再生した時とは若干ながら音調が違う。特に低域の密度の濃さが印象的だ。また低域だけでなく、音楽を聴かせる表現として、全体的な積極性が一枚上手に感じる。彫りの深さであったり、ワクの大きさであったりといった部分だ。

「K-05X」搭載USB-DACと「HRオーディオ・プレーヤー」を組み合わせた際の対応フォーマット

これはDSDのライブなどを聴いても同じ方向性である。一聴するだけならば、20万円程度のUSB-DACであれば漂うような空気感である。しかし細部に耳を傾ければ、より密度の高い濃い空気感や、ミュージシャンたちの間合い、グルーヴ感や音楽の推進力といったことをより印象深く聴くことができる。また、11.2MHzのDSD、丈青のピアノのソロの再生も凄かった。USB-DACを主目的に購入される方はいないだろうが、これは是非、体験していただきたい音だ。

SACD/CDプレーヤーとしてさらに緻密な情報量と彫りの深い音を進化させたK-05X。USB-DACとしても相当なポテンシャルを持っている。見た感じだけだとマイナーチェンジに思われるかもしれないが、その音のクオリティの進化は値段以上に大きいと報告したい。

(鈴木 裕)

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