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PCオーディオの定義を改めて考える

音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第7回】「PCオーディオで楽しむ(1)基礎知識編」

公開日 2015/03/11 13:51 逆木 一
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PCそのものを高音質化するのか
それともPCから信号処理を切り離すのか


PCを再生機器として使い、その機能性を享受しつつ、オーディオを名乗るに足る高音質を実現するためには、ソフトとハードの両面から様々な対策を講じる必要があります。これが基本的にCDを乗せるだけのCDプレーヤーと決定的に違う部分です。大変難儀であり、同時に奥深くもあります。

PCオーディオの高音質化のためには大きく分けて二つのアプローチが考えられます。

1つ目は、音声信号の処理を出来るだけPCから切り離し、別の機材で行うという方法。すなわち、PCをオーディオで言うところのトランスポートとして使い、D/A変換は別に用意したDACを活用するという方法です。このことにより、PCのノイズという問題が一定の解決を見るだけでなく、オーディオシステムとの接続性も改善されます。

2つ目は、PCそのものの高音質化を図る方法。システムの設定や音楽再生ソフトの吟味はここに含みます。また、PCに内蔵する高音質を謳うサウンドカードやノイズフィルター、設計にオーディオ的な手法を用いた「高音質PC」「オーディオPC」なる製品も発売されています。

PCオーディオにおける高音質化のアプローチは、USB-DACなどを用いて信号処理をPCから切り話してUSB-DACに担わせるアプローチと、ソフトウェアを含めたPC自体を高音質化するアプローチがある

つい最近まで「PCをオーディオに繋ぐなんてとんでもない!」と言われていたような気もしますが、状況はすっかり変わりました。今となっては、PCオーディオはデジタルファイル音源を高音質に再生する方法として、完全に市民権を得たと言っていいでしょう。

また、PCさえあれば始められるPCオーディオのハードルの低さは、昨今のヘッドホン人気とも関連して、若いユーザーが「良い音」の魅力に気付くきっかけとしても重要です。それどころか、新製品の活発な投入にしても、ジャンルとしての盛り上がりにしても、もはやPCオーディオを抜きにしてオーディオ業界を語れなくなった感すらあります。その立役者となったのが、次回の記事で触れるUSB DACの興隆です。

それでは話を整理しましょう。

・PCオーディオとは、「デジタルファイル音源を再生するうえで、
 PCそのものを再生機器として用いる形態」のこと。


・PCさえあればPCオーディオはすぐにでも始められるが、
 それだけではオーディオとしては完成しない。


・オーディオ機器として見ると、通常PCはまったく褒められたものではない。

・PCオーディオで高音質を実現するためには、
 ソフトとハードの両面で対策を講じる必要がある。


次回はPCオーディオで高音質を実現するためのアプローチとして、USB-DACを取り上げます。


連載目次
第1回「まず『音源』ありき」
第2回「タグについて理解しよう」
第3回「コーデックの基礎知識」
第4回「ライブラリを構築する」
第5回「音源の入手方法(1) CDのリッピング」
第6回「音源の入手方法(2) 配信サイトからのダウンロード」
第7回「PCオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」
第8回「PCオーディオで楽しむ(2) USB DACを活用する」
第9回「PCオーディオで楽しむ(3) 色々な再生ソフト」
第10回「PCオーディオで楽しむ(4) オーディオルームとPCの親和性」
第11回「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」
第12回「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」
第13回「ネットワークオーディオで楽しむ(3) プレーヤー」
第14回「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」
第15回「様々な再生方法」

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