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装着感からサウンドまで詳細レポート

フィリップス“Fidelio“「X2」レビュー − 進化したフラグシップ開放型ヘッドホン

2014/12/26 長谷川教通
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ダニエル・バレンボイムの指揮、シカゴ交響楽団によるサン=サーンスの交響曲第3番。その終楽章を96kHz/24bitで聴いてみよう。フルオーケストラにパイプオルガンが加わった壮大な音の渦。圧倒的な低音域の迫力。オーケストラの全合奏でもまったく飽和しないし、金管楽器は超弩級の迫力なのに刺々しさがない。しかも、ピアニッシモでバイオリンをはじめとして各パートが絡み合う微かな動きもきれいに描き出す。ダイナミックレンジ、分解能ともに高レベルにある証拠だ。

Fidelio「X2」にケーブルを装着したところ

それならアカペラはどうだろうか。平原綾香の『My Classsics 2』の1曲目、「セレナーデ アカペラ」を再生する。これはチャイコフスキーの弦楽合奏曲の各パートを、彼女が歌い多重録音によってアカペラのコーラスに仕上げたもの。声の重なりがクリアでハモリ感もきれいだ。響きが濁らないということが、聴いていてどれほど快いかを実感させてくれる。

ヘッドホン側のケーブル着脱部。ステレオミニ端子の形状となっている

ベロアのイヤーパッドは、新たに着脱可能となった

良質なヘッドホンアンプとの組み合わせで性能が最大限引き出せる

今回の試聴ではiPadのイヤホン端子からも聴いてみたが、いくらハイレゾ音源であってもCDグレードにダウンコンバートされてしまうし、iPad内蔵のアンプではさすがに役者不足の感は否めない。そこでハイレゾ再生に対応したオンキヨーのアプリHF Playerを使いカメラアダプター経由でデジタル出力し、iFI-AudioのUSB-DACやポタアンで聴いたり、MacからAudirvana Plusでも再生してみたが、低域・高域ともグッとレンジ感が拡がり、ディテールの描写力が上がる。

これは面白い・・・と、ヘッドホン端子の音質で定評のあるOPPOのブルーレイ&ハイレゾプレーヤー「BDP-105」で再生してみたが、温かくて厚みのある鳴りっぷりは聴きごたえ十分だった。OPPOらしさをうまく引き出してくれている。X2の音の方向性が大きく変化することはないにしても、ヘッドホンアンプのクオリティが上がれば、X2の描写力も確実に上がるということは確認できた。この価格帯で良質なヘッドホンを見つけたいなら、まずマークすべき候補だと思う。ぜひ良質なヘッドホンアンプと組み合わせて、X2の能力をフルに引き出してほしい。

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