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【特別企画】小型で安価ながらしっかり“ハイエンド”な音

元Wadia技術者による新鋭ブランド “EXOGAL” 登場。 第1弾「Comet Computer DAC」の驚くべき実力

公開日 2014/10/30 14:11 角田郁雄
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本機のプリアンプ機能、ヘッドホンアンプを試してみる

Comet Computer DACはプリアンプ機能を備えているので、USB-DAC兼プリアンプとして、パワーアンプに直結することができる。本機をパワーアンプに直結すると、S/Nが向上し、音の鮮度が高まった。余分な回路が省略されるので、さらに解像度が高まり、生々しいステージが再現される。記事の最後で編集部が試してみたように、本機とパワーアンプ、スピーカーシステムというミニマムなシステムを構築して、ハイエンドオーディオに迫るサウンドを狙うこともできるだろう。

Ayreのプリアンプ「KX-R Twenty」と組み合わせたところ。一方で、パワーアンプ直結でのサウンドも確かめた

本機について総じて言えることは、Wadiaのようなマルチビットの中低域の力強さに、高域の伸びの良さと繊細な表現力を加えた音質ということだ。さらには、高い空間性と解像度も身に付けていると言える。おそらくこの音には、筋金入りの愛好家も一目置くことであろう。まさにサイズを超えた音質である。

次に愛用のヘッドホン、ソニー「QUALIA010」でヘッドホン出力を試した。音質傾向はライン出力とほぼ同じ特徴を示すが、長時間聴いても聴き疲れしないように、高域を少しロールオフした音質に仕上げ、中音域を豊かにしている印象を受けた。音離れの良い美音で、ヘッドホンリスニングもかなり楽しめる。同社は、この音を作りたく、DACチップをあえてライン出力と変えたのであろうと想像する。

ヘッドホンアンプの性能も確認した

Comet Computer DAC + パワードスピーカーの極上デスクトップシステムを聴く

最後に本機をプリアンプとし、GENELECのパワードスピーカー「G2」とダイレクトに接続して、デスクトップオーディオを楽しんだ。ご覧のとおり、高品位かつスタイリッシュなシステムとなった(スピーカー間は約1.1m。リスニングポジションは、スピーカーから約1.2m)。これも実に素晴らしい音質で、前述のリンダ・ロンシュタットのハイレゾ「What’s New」を再生すると、スピーカーの背後にストリングスが広がり、中央に高く厚みのある艶やかなヴォーカルが定位する。ブラスの倍音も十分豊かで、ベースとブラシの音もしっかり再現してくれる。

GENELEC「G2」と組み合わせて、デスクトップシステムを構築

これだけのサウンドは、デスクトップオーディオだけではもったいない。スピーカースタンドを使用し、本格的なオーディオシステムとして十分聴ける音質であり、シンプルで高品位なオーディオを求める方に推薦できる内容である。なお、本機はバッファローのオーディオ専用NAS「N1Z/A」とUSB接続することができ、iPadなどの操作アプリを使用すれば、ネットワークプレーヤーと同様の操作や再生が可能になる(無線ルーターを使用したLAN環境は必要)。これも実に魅力的な再生方法だ。

シンプルなシステムながら、素晴らしいサウンドを味わうことができた

Comet Computer DACのサイズ感は、デスクトップオーディオにジャストフィットする

28万円で手にすることができる最高峰のサウンド

Comet Computer DACは、設計者がこれまで培ってきた技術をさらに進化させ、それをコンパクトなサイズにまとめた製品である。音はこのサイズ、そして価格を超えている。試聴をしながら、デザインがマッチするのでこのままAyreのプリアンプの上にセットしておきたいと感じたほどだ。28万円という価格は、若い愛好家には高価かもしれないが、ちょっと頑張れば手に入る価格でもある。一方で往年の愛好家の方も、ハイレゾ対応DACを探しているなら本機をじっくり聴いて欲しい。きっと開発者の求める音が伝わると思う。もし専門店の方がこの文をお読みなら、全ての機器で言えることではあるが、ぜひシステムを十分に鳴らしておいてから聴かせてあげて欲しい。期待すべきブランドの、素晴らしいファーストモデルの登場である。


<編集部が検証する>
Comet Computer DACでミニマムな高音質システムを構築する

今回、角田郁雄氏の試聴レポートに合わせて、編集部でもEXOGALをUSB-DAC/プリとして、パワーアンプ、スピーカーシステムを組み合わせるというミニマムかつ高音質を狙えるシステムを試してみた。パワーアンプにはLUXMANの「M-200」(128,000円・税抜)、スピーカーシステムにはElAC「BS243 BE」(200,000円/ペア・税抜)を組み合わせた。


編集部ではパワーアンプ直結によるシンプルなシステムも構築してみた
最小限かつコンパクトなシステムだが、音の鮮度の高さに驚かされた。現実的なシーンを想定してニアフィールドでも試聴してみたが、眼前に鮮明かつ広い音場が広がり、エレキギターのピッキングやシンバルの消え入り際など、各楽器の微妙なニュアンスまで聴き取れる。想像以上のサウンドに驚かされた。

プリ機能を備えるのでパワーアンプに直結できるという点は、音質面、コスト面の両方でメリットがある。記者のような年齢の人間には“ハイエンドオーディオ”は高値の華だが、例えば一点豪華主義でComet Computer DACを導入して、パワーアンプとスピーカーというシンプルなシステムを組むめば、予算を抑えつつ、ハイエンドクラスのサウンドを楽しむことができてしまう。ヘッドホンアンプや専用アプリによるスマホからの操作など、ライフスタイルにマッチする点も良い。Wadiaで一時代を築いた技術者が本機で取り組んだハイエンドオーディオ・ブランドの製品がこの価格帯で手が届くとは、本当に素晴らしいことだ(編集部・小澤)。




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