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【特別企画】手軽かつ高音質にハイレゾを楽しめるコンパクトなDAC

ZOOM「TAC-2」を岩井喬がレビュー − Thunderbolt対応のオーディオインターフェース

公開日 2014/04/28 10:30 岩井 喬
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■192kHz/24bit対応でシンプルにハイレゾ音源を楽しめる

ZOOMは長年オーディオ市場への本格参入を検討していたそうである。だが成熟しつつあるネットオーディオ向けを踏まえたインターフェイスの世界へ新規参入にあたり、ありきたりのものではないインパクトのある製品で勝負したいという想いがあったという。そこで、魅力溢れる新たなテクノロジーであるThunderboltにかけたのだ。規格や技術の優位性、市場拡大の可能性を踏まえ、今この時のタイミングが「TAC-2」を投入するのに最善であると判断したとのこと。そこには“最新テクノロジーを用いてどんなインターフェイスが作れるだろうか”と常に考える、楽器開発に繋がる同社ならではの気風も効果的に働いているようだ。

TAC-2の上面部

現在のところThunderboltはMacを中心に用いられているインターフェイスで(少数だがThunderboltを搭載したWindows PCも登場している)、この「TAC-2」もMacに対して親和性の高いデザインが採用された。オーディオ再生での使用を意識しつつ、使い勝手が失われる重厚なものにならないような配慮し、さらにはMacの隣においていても品位を損ねない意匠とするため、トップパネルにはアルミ材を採用した。

シャーシ部は樹脂成型だが、重心を下げ、接続や操作時に安定するよう、筺体内にはウェイトも仕込んでいる。外観のスリットの入った形状にも検討が重ねられた。アルミパネルに関しても先行する他社製品に負けない洗練されたものを目指し、当初の設計よりも倍の厚みを持たせたという。しかしながら、ZOOM設立当初からの“工業製品としてまっとうな値段でありつつ、素晴らしい製品を作り出す”というスタンスは本機でも重んじられ、こだわりを捨てずに手の届く価格帯でのモノづくりを貫いている。

前面にはヘッドホン出力端子と楽器用入力端子を備えている

側面部にはスリットが入れられ、デザイン性を高めている

Thunderboltならではの高速・低レイテンシーな特性を生かした「TAC-2」は192kHz/24bit対応2ch・IN/OUTのコンパクトなオーディオインターフェイスに仕上げられている。伝送にはジッターの影響を排除した非同期転送システムを実装。核心部となるA/Dコンバーターにはバー・ブラウン製「PCM4202」、D/AコンバーターにはAKM製「AK4396」を搭載した。内部では4倍アップサンプリングを実施し、A/D変換時のエイリアシングノイズ(折り返しノイズ)による影響を抑えるとともに、D/A変換においても一層クリアなサウンド再生を実現させている。

音作りには著名な録音エンジニアの意見も仰ぎつつ、パーツ単位でチューニングを実施。様々なモニタースピーカーを用いながら音質を追い込んだそうで、圧倒的なバスパワーを生かしたヘッドホン出力にもこだわった。さらには基板レイアウトなどにも工夫を凝らし、データシート上での性能にどれだけ近づけるかという点にもこだわっているという。

TAC-2の技術面の詳細を説明してくれた(株)ZOOM 取締役 ヴァイスプレジデント プロダクトデベロップメント 河野達哉氏

シンプルかつスタイリッシュにまとめられたボディには大型のボリュームノブが備えられ、音量調節とともに押し込むことで入力も切り替えられる。背面には電源供給も兼ねたThunderbolt端子、XLRとTRS標準プラグが兼用できるコンボジャックを用いた入力端子、バランス対応3端子TRSライン出力端子が設けられ、前面側には直接エレキギターやベースを接続できる6.3mm Hi-Z入力端子、6.3mmヘッドホン端子を装備する。

背面にはThunderbolt端子、XLRとTRS標準プラグが兼用できるコンボジャックを用いた入力端子、バランス対応TRSライン出力端子が設けられている

専用のミキサーソフト「TAC-2 MixEfx」はZOOMのサイトから無償でダウンロードできる

さらに専用のミックス&エフェクトコントロールソフトウェア「TAC-2 MixEfx」も用意されており、入力から出力までの各パラメーターやリヴァーブやディレイ、ローカットフィルターや位相反転、Macからのプレイバック信号をミックスして遅延なく戻すループバック機能も使用することができる。アナログシンセを彷彿とさせるGUIとなっており、信号の流れがわかりやすく示している点は非常にユーザーライクだ。

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