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「4Kテレビ参入の遅れによるデメリット」を感じさせない

<IFA:レビュー>“4K VIERA”のクオリティを山之内正が徹底チェック!

2013/09/07 山之内 正
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「4Kテレビ参入の遅れによるデメリット」を感じさせないクオリティ

現地時間9月6日より本格的に開幕した「IFA2013」にて、パナソニックは65型の4Kテレビ「TX-L65WT600」を発表した(関連ニュース)。同社ブースでは、このTX-L65WT600に新たに搭載された画質改善技術の効果を従来機と比較するなど、詳細な展示を行っている。

画質面で最も重要な進化は、HDMI2.0とDisplayPortによる4K信号の伝送が50/60Pまで対応したことだろう。サッカーの試合を4Kで撮影した映像を60Pと30P入力で比較すると、カメラのパンニングで背景と人物の動きがスムーズになるだけでなく、ボールの動きが目に見えて自然になり、実際のゲームを目の前で見ているような錯覚に陥る。4Kは芝生の目まで見えるほどの精細感があるので、カメラの動きが遅いときは背景のディテールの見え方と素早く動く人物の描写に落差があり、その差がHDよりも目立ちやすい。4K放送や4Kプレーヤーが登場したときには大きな威力を発揮するはずだ。

60P(左)と30Pの画質をサッカーの中継映像で比較。ボールの軌跡がなめらかにつながることが特に印象的だった。

「4Kフレームクリエーション」によってコマ補間の精度を改善し、バックライトのブリンキングで画像の切れを改善する効果も、4Kの方がHD以上に大きいと感じる。IFAの会場では生花のクローズアップ映像を高速で動かして効果を見せていたが、その効果の大きさは写真からも読み取ることができるはずだ。会場の照明が暗かったこともあり、黒挿入による明るさの低下はほとんど気にならないレベルにとどまっていた。

4Kフレームクリエーションの効果を画面の左右で比較できるデモンストレーション。左側が「オン」の映像。

4KとフルHDのディテール再現の比較では、会場の誰もがその違いに気付くほどの明瞭な違いが存在する。デモンストレーション用途ということもあり、若干高域の強調が強めに感じることもあったが、遠近感豊かな風景の描写力と現実感の高さは目を見張るものがあり、来場者の多くがこの比較で一番大きな反応を示していた。

4KとフルHDの比較デモ。細部の描写に積極的に踏み込んだ画作りで4Kのメリットを強く印象付けることに成功した。

そのほか、4Kカメラ試作機の実写映像や4K編集環境の紹介など、4K時代が到来しつつあることをアピールする展示を用意したり、ウェブの4Kコンテンツ(静止画)やゲーム映像のデモを行うなど、全体としてBDのアップサンプリング映像よりも4Kネイティブ映像の美しさを強く印象付ける展示が行われていた。

4Kカメラの試作機で恐竜の模型を撮影し、質感表現の高さをアピール。

4K映像のフレーム編集のイメージを実演したコーナー。HDと変わらないレスポンスの良さをアピールしていた。

それらのデモ映像から総合的に浮かび上がってくる基本性能の高さは、パナソニックの4Kテレビ参入が他社に対して遅れをとったことのデメリットを感じさせないものだった。むしろフレーム補間やバックライトスキャン技術をじっくり追い込むことによって、実質的に画質面で最先端の性能を確保したという印象を受ける。HDMI2.0対応を絶妙のタイミングでアピールできたメリットも大きい。

ブースには20型の4Kタブレットの展示や4K有機ELテレビの参考展示も行われ、4Kの構成最画像が可能にする表現領域の拡大を具体的に提示していた。それらについては他社の動向と合わせて、あらためてレポートすることにしよう。

4Kタブレットは階調の再現がなめらかで、光沢や透明感を描写する性能が高い。

4Kタブレットの用途を紹介するコーナー。CAD、写真のモニターなどを想定。

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