炭山アキラが実力検証

【レビュー】ラックスマンの新スピーカーケーブル「JPS-100」を聴く

炭山アキラ
2013年07月23日
ラックスマンの新スピーカーケーブル「JPS-100」(関連ニュース)。エントリー価格帯の製品だが、そのコストパフォーマンスはどうなのか?炭山アキラ氏が実力をチェックした。

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ラックスマンの創業は1925年(大正14年!)、NHKのラジオ放送開始に伴って大阪の額縁店「錦水堂」がラジオ部を開設、製造・販売を始めたのが同社のルーツと聞く。もうすぐ創業90年を迎えようかという日本有数の老舗オーディオメーカーである。ご存じの通り、同社は古くから数を誇るよりも質にこだわったもの作りをモットーにしてきた。現在もなお、日本のオーディオ界を牽引するトップブランドの一角として気を吐いていることは、皆さんもよくご存知であろう。

そんなラックスマンは、意外といっては失礼ながら結構安価なアクセサリー類を数多く発売している。特にケーブル類は求めやすい価格帯で、決して派手な存在感を示すものではないのだが、質実剛健で同社製品の格に恥じない器の大きさを持つ製品がそろっているという印象がある。

同社から発表されたスピーカーケーブル「JPS-100」は、¥3,150/m(税込)というから価格帯としてはビギナー向けといってよい製品だが、φ0.25mmの高純度無酸素銅導体を100本まとめ、トータルの断面積5mm2という極太のケーブルである。

JPS-100

内被覆はPE、外被覆はPVCと手堅いが厳選された絶縁体を採用、無酸素銅φ0.08mm×30本のドレイン線もしっかりと装備されている。芯線は撚りのピッチを緩やかにすることでインダクタンス成分を減らし、高域方向に伸びやかな音を得たという。被覆も堅すぎず柔らかすぎず、導体をしっかり支えながら抑え込む感じにしていないのに好感が持てる。

音元出版の試聴室で音を聴いた。レファレンスの高級スピーカーケーブルを「JPS-100」に交換して聴き慣れたソフトを聴く。クラシックはやや音場が小さくなったかなとも感じるが、結構なワイドレンジで上下端のバランスが良く、積極的な表現なのに特定の部分が突出することがない。弦は堂々と張り出し、ピアノは巨大なコンサートグランドの音像をしっかりと表現しながら、ベーゼンドルファーの深い鳴りを存分に描き出すのが良い。

ジャズはエレアコ・ギターが太く甘く、たっぷりとした艶を伴って鳴り渡る。ウッドベースはやはり実物大の音像をしっかりと表現し、エレキギターと絶妙の絡み合いを聴かせる。気心の知れた2人の奏者が掛け合いを心から楽しんでいるさまが伝わってくる好再現だ。

ポップスは伴奏のギターが始まった瞬間、非常に抜けの良いサウンド傾向を持っていることに気づく。ボーカルはクラシックの弦と同様グッと張り出す傾向だが、それでいて音像が肥大したり胴間声になったりするようなことがなく、サ行もキツさを感じさせない。

全体に歪みと強調感が少なく、さりげなく音楽を整えながらソフトの持ち味を上手く伝える、なかなか巧みな音作りのケーブルではないかと思う。やはり同社のケーブルは安価でも同社アンプの格に恥じない音の持ち主であることが知れた。超ハイコストパフォーマンスといってよいだろう。

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