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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第54回】穴がない! 新感覚イヤーチップ「サイレントピース」を使ってみた

公開日 2013/07/18 11:11 高橋敦
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まずはイヤホン純正ノイズアイソレーションイヤーチップを装着!

まずはノイズアイソレーションイヤーチップだが、このイヤーチップは僕の耳とサイズの相性が特によく、Lサイズをちょっと無理にぎゅっと押し込む感じで耳が見事に密閉される。そのため正直この時点で「十分だよな…」と思える遮音性は確保されてしまっている。僕としても「これでは遮音性が足りない!」という方が記事が書きやすいのだが…

ソニーのノイズアイソレーションイヤーピース。かさの内側にこのようにスポンジ状の素材が仕込まれている

遮音性の様子をもう少し具体的に説明しておこう。もちろんまずは騒音の音量が全体的に減少する。ガタゴトという走行音もそれがトンネルに響く轟音も、音楽を聴くのに決定的に邪魔なものではなくなる。

ただし後二者(いずれもソフトフォームタイプ)と比べると、その遮音を突破して漏れ届いてくる騒音の音質が少し硬い。そのため騒音の存在感というか耳障りさが少し残る感じはする。

続いてフォームチップの人気製品コンプライを装着!

続いてはコンプライ。僕の耳とサイズの相性は、良くも悪くもないといった感触だ。しかしそれでも遮音性はさすが十分。ノイズアイソレーションイヤーチップと比べて圧倒的と言えるほどではないが、しかし確実に遮音性がアップしたと言える。

コンプライのT-200。近年は標準でコンプライが付属するイヤホンも増えてきている

そして先程も述べたが、遮音を突破してなお漏れ届いてくる騒音の音質にノイズアイソレーションイヤーチップとの違いがある。こちらは柔らかなソフトフォーム素材を経過するためなのか、その騒音の角が丸められて音が和らいでいる。騒音の音量としてはノイズアイソレーションイヤーチップから微減、しかし騒音の不快度としてはもう少し大きな改善を得られる。

いよいよ今回の主役、サイレントピースを装着!

では本題のサイレントピース。こちらもコンプライと同様にサイズの相性は普通程度。

遮音性はコンプライからさらに微増といった実感だ。「遮音性大幅アップ!」というほどではない。しかし今回は短時間のテストだったので実感が薄かったが、地下鉄に乗る時間が長い方だと、この遮音性の微増がじわじわと大きな効果を発揮するのかもしれない。

Sony XBA-1にサイレントピースを装着した様子。見た目的にはテレビ出演者の胸元に装着されているピンマイク+ウィンドガードっぽい感じに

イヤホンから乱暴に外そうとすると中の軸だけが残ってしまう場合が多かった。イヤーピースを外すときもイヤホンを耳から外すときも優しく丁寧に外すべし

そしてこちらもソフトフォーム素材のおかげか、遮音を突破して来た騒音の音質は良い具合に丸く柔らかくなっている。妙な言い方だが、聞き疲れにくい騒音にしてくれる。その部分も鑑みて遮音性の順位を付けるならば、「サイレントピース、お前がナンバーワンだ!」ということになる。

遮音性については十分な性能を発揮することが確認できたが、じゃあ次に気になるのは音質面。このイヤーチップは前述のように「遮音性重視で作ったので高音減衰します→なのでケーブルかアプリで補正します」という発想で作られているのだが、果たしてその仕組みはしっかりと機能しているのか?

まずは純正の組み合わせであるノイズアイソレーションイヤーチップでの音質を確認した後に、サイレントピースに付け替えただけの状態の音質をチェック。再生アプリはあらかじめ「UBiO」を使用した。

なるほど確かに高音が減衰してモコモコだ。音が極端に柔らかくなりまた音量も下がって音を遠く感じる。どの楽器がどうとかいうレベルではなく、とにかく全てがもこもこだ。

というわけで、いよいよ高音質再生アプリ「UBiO」に用意されている、このサイレントピース専用の機能「SILENT MODE」を試す。このアプリについては、実はこの連載で以前にも少し触れていた。しかし当時は肝心のサイレントピースの方が輸入販売されておらず完全なる消化不良だったのだ。遂にやっとその真価を試せる!(消化不良だった前回のレビューはこちら→http://www.phileweb.com/review/article/201301/18/717_3.html

UBiOの設定画面で「SILENT MODE」をオン!

復ッ活!! 適正音質復活ッッ! 適正音質復活ッッ! 適正音質復活ッッ!

…いやそれはちょっと興奮しすぎだが、見事に「普通の音」にしてくれる。ノイズアイソレーションイヤーチップでの音質と比べると、ソフトフォームイヤーチップ共通の特徴である音が少し柔らかくなる傾向は残るが、それはそれで聴きやすい。しかしコンプライで普通に聴いた場合と比べるとハイハットシンバルのシャッキリ感などは逆に少し強調される印象だ(コンプライはコンプライでよい感じのソフトタッチさが持ち味と言える)。ちなみに普通のイヤーチップでSILENT MODEを試すと極端にシャカシャカの音になっていることを確認できる。

というわけでサイレントピース試聴テストの印象をまとめると、

・遮音性:圧倒的というほどではないが確かに最高レベル
・音質 :UBiOを使えば違和感のない音質に

といったところ。UBiOまたはマジックケーブルを合わせて購入しても1,000円ほどなので、費用対効果費は十分だ。地下鉄等の騒音に悩まされ遮音性を少しでも上げたいと切実に願っている方は試してみて損はないだろう。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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