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人気スピーカーブランドがヘッドホン参入

【レビュー】KEF初のヘッドホン「M500」/イヤホン「M200」最速インプレッション

公開日 2013/05/02 11:11 レポート/渡辺憲二
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「M500」試聴インプレッション ー 自然なリスニング感が魅力

第5世代のiPod touchにALAC形式で保存した音源で試聴を行った。ケーブルはマイク無しの通常ケーブルを選択した。参考までにSHUREの密閉型ヘッドホン「SRH940」でも同音源を聴いてみた。リスニングに使ったタイトルは下記の通り。

・JUJUのアルバム「MTV UNPLUGGED JUJU」から『I Like it』
・アン・サリーのアルバム「Brand-New Orleans」から『胸の振り子』
・Perfumeのアルバム「JPN」から『GLITTER』
・ラフマニノフ「Rachmaninov Plays Rachmaninov」(Decca)から『Liebesfreud』


M500を試聴
JUJUは低域の音がタイトに鳴って、音像がくっきりと明確。前に出すぎず、程よく主張する。アコースティックギターは弦の響きがドライな傾向。ボーカルはもう少しウェットで艶やかさがあっても良いと感じた。だが視点を変えてみると、余計な演出がなく、原音に忠実なサウンドが楽しめるという印象だ。バンドの演奏は見晴らしが良く、ライブ会場の空気感も気持ちよく再現するが、かといって余計なノイズを拾い過ぎないので演奏に集中できる。楽器間のつながりも良く、バンドの演奏としての一体感が高い。

アン・サリーはボーカルの声が自然に再現されて説得力がある。ピアノとのツーピースによる演奏だが、プレーヤー同士の息を合わせた掛け合いが緊張感を持って再現される。小サイズのスタジオで生演奏を目の前で聴いているような生っぽさが感じられる。

Perfumeでは打ち込み系音楽の再現性を確認した。モニターヘッドホンのように情報量が飛び抜けて多いわけではないが、必要な要素は削がれることなく、演奏全体のバランスが整うので、打ち込み系のサウンドを長い時間聴くには相性が良い。

ラフマニノフのピアノはコントラストがやや浅めだが、演奏を忠実かつ自然に聴かせる印象。硬質なラフマニノフの鍵盤のタッチをクールに再現する。対極の個性が面白い。

このほかにも幾つかのタイトルを聴いてみたが、M500はどんなジャンルの音楽も、その魅力を無理なく自然に引き出してくれるヘッドホンという印象を受けた。一粒ずつの音の立体感はやや浅めに感じられるが、音楽として束ねられたサウンドは説得力に富んでいる。例えばSRH940はステージに登って、演奏者の間近でプレーヤーが奏でた音を逃さず捕まえて聴くようなストイックなイメージだが、M500はコンサートホールやライブハウスで観客側のベストポジションに陣取り、オーディエンスとして最高の環境で音楽をダイナミックに体験できるヘッドホンという感触を得た。この辺りの味付けの妙技は、長らくスピーカーシステムのリーディングブランドとして活躍するKEFならではと感じた。

パッケージのサイドはハイエンドスピーカー「Blade Concept」のイメージが


次ページからはイヤホン「M200」をレポートする。

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