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トリプルBAの「ATH-CK100PRO」とはまた違う魅力を持つ

【レビュー】実は密かな実力派。ダイナミック型イヤホン・オーディオテクニカ「ATH-CKM1000」

公開日 2012/06/12 10:43 野村ケンジ
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先だってオーディオテクニカから多数登場した高級イヤホン。大人気のトリプルBA型モデル「ATH-CK100PRO」の影に隠れがち(?)ですが、実は密かな実力派のダイナミック型イヤホン「ATH-CKM1000」に注目!その実力をレポートします。

ダイナミック型ならではの鳴りの良さと自然な音色が魅力

今年創立50周年を迎えたオーディオテクニカは、先だって30以上にもなる新製品を一気にデビューさせた。なかには高級イヤホンも数モデルが用意され、その充実っぷりに巷の話題を大いにさらっていたが、そのひとつが、今回紹介するダイナミック型ドライバーを搭載するカナル型イヤホン「ATH-CKM1000」である。

こちらの製品、ほぼ同時期にデビューしたBA(バランスドアーマチュア)ドライバー搭載のハイエンドモデル「ATH-CK100PRO」とは異なった、独特の魅力を持ちあわせている。それは、ダイナミック型ドライバーならではの鳴りっぷりの良さと、違和感のない自然な音色だ。近年、高級イヤホンといえばBAドライバーのイメージが強く、ダイナミック型ドライバーを採用するハイエンドモデルはごく少数となっている。そんな時代にあっても、あえて「ダイナミック型ならではのメリットを生かした高級モデル」を作り上げてくる気概の高さが、この「ATH-CKM1000」からは感じられるのだ。

ATH-CKM1000

それは、「ATH-CKM1000」の詳細を眺めてみるとすぐに分かる。たとえば専用設計されたドライバーは、14mm径という大型サイズの振動板に加え「ダイレクトダイヤフラムマウント方式」によって有効面積を拡大、磁気回路にパーメンジュールを採用して低歪化を高めるなど、サウンドクォリティの向上をきめ細やかに追求。また、不要振動を抑制して音質劣化を防ぐ、鍛造チタンボディやアルミハウジング、ステンレス製アコースティックレジスターなど、高価なパーツがふんだんに使われている点も、高級モデルならではといえるだろう。

鳴りっぷりが良いため、iPhoneでもその魅力は発揮されるが、その本質を十分堪能しようと思うと、やはりヘッドホンアンプを活用したい。そこで、自宅などの室内では、オーディオテクニカ製のヘッドホンアンプ「AT-HA70USB」あたりと組み合わせてはいかがだろうか。

AT-HA70USB

「AT-HA70USB」は、USB-DAC(96kHz/24bitハイレゾ音源対応)を内蔵するヘッドホンアンプで、小型のボディとUSBバスパワー駆動対応による手軽さ、そしてマイクを内蔵することでスカイプなどのIP電話も手軽に始められるという、なかなか高機能な製品に仕上げられている。音質的にも高性能DAC(AK4396)やトランジスターバッファー出力のヘッドホンアンプ部、亜鉛ダイキャストボディなど、随所にこだわりが見られる、凝った作りが施されている。


ATH-CKM1000とAT-HA70USBはなかなかの良マッチング

実際、両者の組み合わせはなかなかに良好なマッチングを見せる。「AT-HA70USB」のサウンドは、ニュアンス表現の細やかさ、丁寧さを優先したイメージがあり、その分ダイナミックさに少々の物足りなさを感じる人がいるかもしれないが、このキャラクターが「ATH-CKM1000」とピッタリはまってくれる。iPhone直差しの時は“そつなくこなしている”イメージが強くあるのに対し、「AT-HA70USB」に繋いでみると一変、フォーカス感の高い、ダイレクトなサウンドを楽しませてくれるようになるのだ。特にブラス系(金管楽器)など、高音パートの伸びやかさや鋭さが重要となる楽器はまるで別物。力強く生き生きとした演奏を、高らかに奏でてくれるようになる。同じメーカーの製品とはいえ、なかなかに魅力ある組み合わせといえるだろう。


(レビュー:野村ケンジ)

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