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「漆黒」以上の黒を実現するパナソニック・VIERA 65VT3

2011/11/17 取材・執筆/村瀬孝矢
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幅広い層から高評価を獲得しているパナソニックVT3シリーズにいよいよ65V型が登場!大画面ならではの没入感は、同社独自の高画質技術が伴ってこそのもの。村瀬孝矢氏によるインプレッションをお届けする。

高画質シリーズとしての評価にふさわしい65V型

高画質ディスプレイとして定評あるパナソニックのプラズマVIERAに65V型「TH-P65VT3」が新たに加わった。サイズの大きいディスプレイが有するメリットは何か?

言うまでもなく、映像の迫力が増すことである。表出される映像に実在感が生まれ、一般家庭に導入される製品でありながら、コンテンツが作られた現場に降り立ったかのような感覚に浸れるのが実に楽しい。

画面の大きさだけが実在感を感じさせる全ての要素ではない。そう、そこに高画質というファクターが必要となるのである。

このTH-P65VT3はパナソニックが持つ高画質技術の集大成とも言える完成度の高さが売りである。本機が実現する没入感・臨場感は大画面+高画質技術の組み合わせによって成り立っており、クオリティにこだわる本サイト読者への必要要素を十分に備えている。

大画面と高画質が両立していることを感じさせるのは、主に映像質感が高まったことに起因すると私は感じた。映像の緻密さ、ノイズの少なさ、美しい色合い、黒浮きを感じさせないハイコントラストさ、これらが高次元でまとまっていることで、実在感に触れることができると感じた次第。

TH-P65VT3は世界屈指の高性能パネルを使用し、他が到達できない高度な技術レベルで出来上がっている。本機から得られる没入感は、BD映画ソフト等が本来持つ感動と興奮をあまねく受け取れるということを意味する。精緻な映像質感が備わるからこそ、邪魔なノイズに惑わされることなくコンテンツの世界にのめり込めるのである。



さて視聴のために新作のディスプレイに触れる機会がこの秋は多かった。その中でもTH-P65VT3が秀でた能力を有していると、私は判断している。出荷時の状態から盛り込まれている「シネマ」モードは、おちついた照度のシアター環境でも、デフォルトのまま何も調整する必要なく、コンテンツの真髄をディスプレイ画面に描き出すことができる。

これほど精密で、しかも見事に映画鑑賞用モードが作りこまれている例は他にない。その背景には、絶対的とも断言できる最高峰レベルの黒表現にある。映像質感を左右するような黒浮きという課題をいとも簡単にクリアするハイコントラストぶりや、「ハリウッドカラーリマスター」による豊かな色合いと表現性の備わったフィルム質感への適合化である。この映像表現力こそパナソニック大画面テレビの資質そのものである。

大画面サイズならではの画質上のメリットがある

プラズマ方式の場合、大型化するほどに一つ一つの画素サイズが当然大きくなる。ダイナミックレンジの余裕度ができ、光り輝く物体の反射面などの箇所、それと対比される暗部の沈み込み、その光表現力のゆとりが、標準的なサイズのものよりもTH-P65VT3の方が映像の質的な魅力として現れているのである。逆に言えば、現在のプラズマテレビはすでにその感覚領域まで入り込める高画質に達していると言えるのだ。

このような非常に優れた映像表現性を他方式で得ることは非常に難しい。というのも他方式の場合はエリアドライブ等の方式で黒浮きをある程度抑えてはいるものの、映像シーンに連動する動きの不自然さを完全には排除できず、リニアな感覚から遠ざかりがちだからである。

本機のようなプラズマ方式は、自発光型タイプだからこそ、感覚的な違和感を覚えることなく映像世界に浸ることができるというわけだ。このことは65V型のような大画面で他方式との比較視聴を行えば、差が歴然と現れてくるものなのだ。

没入感・臨場感は高画質あってのもの。標準サイズのディスプレイでは獲得することが難しい、感動を観る者に与えてくれるファクターは、長年に渡って薄型ディスプレイの高性能化に取り組んできたパナソニック技術の賜と言えるだろう。BDソフトを始めとする映像ソフトのより良い見え方にとことんこだわってきた同社製品の技術集大成版として、本機TH-P65VT3を強力にお薦めしたい。

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