注目D-ILAプロジェクターの画質を語る

6人の識者の眼 − VGP2011・批評家大賞モデル ビクター「DLA-X7」を評価する

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2011年01月17日


先に発表した「批評家大賞」のビジュアル部門において、もっとも優秀であると認められたビクター・JVCのD-ILAプロジェクター「DLA-X7」のレビューを改めてお届けする。執筆するのは同機を1位に推挙した6人の審査員だ。それぞれの観点から、本機を推した理由を述べる。




DLA-X7の映像は、自分の好みのトーンに近かった

私が批評家大賞でビクターDLA-X7を推挙したのは、その完成度の高さに対してであった。70,000対1というネイティブコントラストを実現したことは確かに凄いことだが、それを評価したのは単に数値の問題ではなく、実際に映画の映像を再生した時、黒と黒に近い暗部の表現と白と白に近い明部の表現が私の好むトーンに結びつくことが分かり、中間輝度の部分でもガンマ値の変更などの調整で自分の好む画質が得られることが分かったからだ。

本賞の選考前に私はDLA-X7を二度にわたって観ている。もちろんその度に画質に付いての感想を現場で語っている。その中には低輝度の部分の色ムラをもっと少なくできないかなどという純粋に技術的な項目もあるにはあった。しかし、もっと大きなファクターとして存在したのが、自分好みの映画映像が本機の画質調整機能の範囲で引き出せるか、ということを最重視したチェックした。これは実際に持参したソースの画面を観ながら行うのだが、本機は観る度に好ましい画質調整範囲に入ってきた。そのために結構意地悪なソースを観ている。例えば『NINE』の1シーンのように暖色の照明と感触の照明が同居している画面で低輝度部分の色ムラがもっと抑えられないかとか、『シャネル&ストラヴィンスキー』に数多く登場する明度や色調の違う白がどこまで区別できるか、などという課題もあった。これは、この映画では些細なことと片づけられぬ課題となる。白はココ・シャネルが最も好んだ色であり、彼女の館のロケーションでは実に数多くの白が登場するからだ。

本選直前の最終的な視聴時には、私が持参した「いじわるな」映像の全てが好ましい状態で観られるまでに進化していた。3D再生という要求にも対処できる本機は私の所有欲をかき立てたが、その後、これに優るDLA-X9の登場を知り、そのテストを行ってから決定することにしようと思っている。目下、その日がくるのを楽しみに待っている最中だ。

MrKaiyama
貝山知弘プロフィール

東宝で活躍後、国民的娯楽映画『南極物語』筆頭プロデューサーを務めた映画業界人。映画製作経験が批評家眼として現れる。「AV REVIEW」他の幅広い媒体で執筆活動も行う。





AVファンが望む筐体と、圧倒的な映像美を評価している

DLA-X7のD-ILAデバイスは前世代をキャリーオーバーしているが、一方でワイヤーグリッド、カラーフィルター、光源ランプ等を一新させた第3世代光学エンジンを新規に搭載している。HD750/950のボディコンパクト化とレンズオフセットは、上級ユーザーにとって納得のいかない変更だった。その間にデバイスの練成著しい他方式製品が肉薄し、D-ILAの牙城が揺らぐかとも思われたが、本機で画質至上主義設計に復帰、主流感を再び確固たるものにした。実際、X7は映像ファイルが溜飲を下げる「濃い」映像機器である。筐体は横幅がHD1、奥行きがHD950と同寸で実際に部屋に入るとその大きさを実感するが、上級マーケットは60%以上が天吊り設置なのでこれで正解。

余裕ある筐体設計でX7は何を実現したか。画質モードは従来「色温度」「ガンマ」など各種画質パラメーターで構成されていたが、再現する色域は一種類だった。X7では、すべての画質モードに映像素材に適した複数のカラープロファイルを用意。色温度、ガンマ設定を組み合わせ、原画のニュアンスを家庭で表現する。最も注目されるのが「フィルム」モード。「Film1」でコダックフイルムのキセノン(ランプ)上映画質、「Film2」でフジフイルムの画質を再現する。これらは新カラーフィルターの搭載でビデオプロジェクターでの再現が可能になった。そして3D。この一年間に直視型、投射型の両方で数多くの対応機種が登場したが、ことに映画3D BDの再生に関して満足の行く製品は少なかった。DLA-X7/X3は家庭で劇場の3D効果を味わえる数少ないディスプレイである。明るく、コントラストに深みがあり、メガネを装着しても直接目視する場合からの色彩バランスの変化が少ない。持ち前のきめ細かな解像感が損なわれない。2D及び3Dがこれだけ高い水準で両立するプロジェクターは他にない。DLA-X7には映像を凝視することに喜びを覚える人たちの願望を叶える技術の濃密さ、映像の力がある。

MrOhashi
大橋伸太郎プロフィール

元AVレビュー編集長。映画、音楽、文学など広範な知識をベースとする批評が注目を集めている。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。


【DLA-X7 SPECIFICATION】●表示デバイス:0.7型D-ILAデバイス×3 ●レンズ:電動2倍ズーム・フォーカスレンズ、f=21.4mm〜42.8mm、F=3.2〜4 ●解像度:1920×1080 ●光源:220W超高圧水銀ランプ ●投写サイズ:60型〜200型 ●ネイティブコントラスト比:70,000対1 ●輝度:1,300ルーメン ●HDMI入力端子:2系統(ver1.4a 3D DeepColor、CEC対応) ●消費電力:350W(待機時0.9W) ●外形寸法:455W×179H×472Dmm ●質量:15.1kg ●問い合わせ先:ビクターお客様ご相談センター TEL/0120-2828-17


鴻池賢三の眼/林 正儀の眼

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