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USB-DACとしてだけでなく録音にも活用可能

1万円以下でゲットできる「超多機能」USBオーディオを発見!その音質と機能に迫る

公開日 2010/10/20 11:15 岩井 喬
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■S/Nが非常に良好で透明感ある音色が味わえる

ここからは本機の音質をレポートしていこう。まずはライン出力からスピーカーで聴いた音を確認したい。

用意したのはケンウッドのコンパクトシステム「K-521」で、AUX入力に本機からのライン信号を接続。PC側ではfoobar2000をプレーヤーとし、ドライバー設定は標準的なDirectSoundを選択、CDをリッピングしたWAVファイル再生でのサウンドを試聴していく。


試聴は写真のように音元出版 視聴室で行った後、岩井氏の自宅でもじっくり聴き込んでもらった

ピュアオーディオ機器として使う場合には、スピーカーのプロパティでオーディオ効果を無効にしよう
クラシックでは管弦楽器のすっきりとしたハーモニーが広がり、旋律はハリ良く目立たせている。音場の奥行きは浅く感じられるが、余韻も混濁せず、爽やかな音の浮き上がり感を楽しめる。

ジャズにおいてはクリアで細身のピアノが際立ち、ウッドベースはむちっとした弾力感ある弦の質感が伝わってくる。ドラムの胴鳴りは控えめで、皮のハリはやや強く目立っている。

ボーカルの質感はドライな方向性で、倍音感によって輪郭を作り出しているような印象を受ける。S/Nが良好なこともあり、透明感ある音場が各々の楽器をより際立たせているようにも感じた。

続いてロックについてだが、エレキの爪弾きは軽く、ディストーションの粒立ちは細やか。リズム隊の低域はややふっくらとした余韻があり、やや甘めのディテールである。96kHz/24bitの音源では、全体的に音像は細身だが鮮度の高さが向上し、より音場の透明度が上がる。

■ヘッドホンではさらにS/N比が向上。ハイレゾ音源のニュアンスを伝える

ここで試聴環境をヘッドホンに変更してみよう。使ったモデルはSHURE「SRH840」だ。

基本的なサウンド傾向はライン出力時と変わりはないが、ライン出力時よりも音場の見通しが鮮明になり、さらにS/Nの良さが実感できる。

ヘッドホンの音質も確認。LINE OUTに比べ、さらにS/Nの向上が実感できるという

まずクラシックだが、すっきりとスマートな描写の管弦楽器によって、旋律が鮮やかに浮き上がる。音場の奥行きは価格相応といった印象で、平面的にオーケストラが並ぶ。

ジャズにおいてはクリアで軽快なタッチのピアノや、ハリ良く弾力に満ちたウッドベースの弦が楽曲をリードし、胴鳴りも引き締めている。細やかなハミングも感じ取れ、質感の粒立ちの良さも伝わってきた。

ボーカルもスマートに浮き上がるが、口元のウェットさと質感の艶やかさが増して、表情豊かに感じられるようになった。

ロックでは腰高のディストーションギターが響き、ハードエッジなディティールが際立つ。スカッとタイトな音ヌケを見せるドラムと、ほんのりふっくらとしたベースの対比もバランスよく聴きやすいサウンドだ。

ハイレゾ音源では音場のクリアさが向上し、音像の鮮やかさもより一層強く感じられる。質感の滑らかさやスムーズな音の繋がり、個々の楽器のハードタッチな輪郭が、プレイニュアンスの細かさを的確に表現してくれる。爽快感ある音の余韻とリヴァーブ処理の清々しさも際立ち、メリハリの利いた音作りは楽曲を愉しく聴かせる効果がある。

■この価格帯で、ここまで音質と機能のバランスが取れた製品は稀だ

ライン出力とヘッドホン出力の音質を確認して実感したのは、1万円以下で、ここまでバランスの整ったサウンドと機能性を併せ持つモデルはそう多くないということである。

DACチップやコンデンサーなど、要所要所で高音質パーツを取り入れた構成も手馴れており、この分野を牽引してきた実績はダテではないと感じた。

そもそも数万円〜数十万円クラスの、ハイエンドなUSB-DACと同じ土俵で比較すべき製品ではないが、ヘッドホンを良く使うユーザーであれば、入門用USB-DACも使えるヘッドホンアンプとして、充分楽しめるのではないだろうか。またRIAAイコライザー内蔵のフォノ入力付きという点も見逃せない。

今回のレポートでは再生以外の機能に付いては触れず、USB-DACとしての音質のみ確認したが、本機の一番の魅力は再生だけでなく、アナログ/デジタル問わず様々なメディアを取り込める「インターフェース」であることだ。

価格以上の可能性を秘めたハードウェアであるということを踏まえ、普段使いの再生環境と、アーカイブを作るための録音環境として、その能力を存分に楽しんでみてはいかがだろうか。

【岩井喬 プロフィール】
1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。

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