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EXPEED7搭載、9種の被写体同時検出対応

ニコン、フルサイズミラーレス「Z f」。フィルムカメラ“FM2”ベースのデザイン採用

公開日 2023/09/20 13:04 編集部:平山洸太
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ニコンは、フルサイズのミラーレスカメラ「Z f」を10月に発売する。価格はオープンだが、税込み30万円前後での実売が予想される。また「NIKKOR Z 40mm f/2(SE)」とのレンズキットも用意され、こちらは税込33.1万円前後での実売が予想される。

「ニコン Z f」

同社のフィルムカメラ「FM2」をデザインのベースとしつつ、外観の触り心地や操作感を作り込んだというモデル。加えて外観だけでなく、中身と機能面についても、上位モデルの「Z 9」や「Z 8」に忖度することなく、できることにフルスイングした内容だとしている。

イメージセンサーには、有効画素数2450万画素の裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーを採用。また、画像処理エンジンには最新のEXPEED7を搭載する。ISO感度は100-64000。イメージセンサー前の光学フィルターにはダブルコート(フッ素コートおよび導電コート)を採用し、ダスト付着のリスクに配慮している。

画像処理エンジン EXPEED 7

本体の前カバーとトップカバーにはマグネシウム合金を採用しつつ、光沢黒塗装を施して高級感を演出。ダイヤルやボディー天面の文字などについては、使い込んでも消えないように彫刻+名入れを実施。またダイヤル素材については、アルミを採用しているZ fcとは異なり、開発時に操作感覚が最も上質だったという真鍮を採用する。操作感触は現行の上位機種だけでなく、フィルムカメラの「F3」「F4」も参考にしており、ダイヤルのクリック感触など細かいところまでこだわったとのこと。

ダイヤルの文字には刻印を施している

そのほかデザインでは、上位機種と同じくリーフスイッチを採用し、シャッターボタンの押し心地を重視。ケーブルレリーズには対応しないものの、ねじ切りをしているため、デジタル一眼レフカメラ「Df」に合わせて発売されたソフトシャッターレリーズ「AR-11」も使用できる。また、擬革のシボには新規のパターンを採用。従来のものよりもさわり心地・見栄えを高めたとしており、映像モニター裏にも貼るなど使用範囲も拡大している。

グリップについては大口径のレンズ装着も想定し、あえてフラットではなく、ホールド感をサポートしつつ特徴的な外観を損なわないようにデザイン。細かいポイントではあるが、ファンクションボタンも光沢感のある仕上げとすることで、全体の雰囲気を重視しているとのこと。なお、よりホールド性を向上させたいユーザーには、専用のエクステンショングリップ「Zf-GR1」(予想実売価格 税込19,000円前後)も用意される。グリップ装着のままバッテリー交換が行なえ、アルカスイス互換雲台もサポートする。

Z fc同様に、擬革を好みの色に張り替えられる「プレミアムエクステリア張替キャンペーン」も実施。キャンペーン期間中は無料で張替えが行なえるが、終了後は税込6600円で提供される。用意されるカラーは、セピアブラウン、インディゴブルー、ストーングレー、モスグリーン、サンセットオレンジの5色。ニコンダイレクト限定でボルドーレッドも用意する。擬革は色ごとに異なるパターンを採用している。

プレミアムエクステリアのサービスを用意

ピクチャーコントロールでは、従来のモノクロームに加えて、新たに2つのモノクロームを追加。白から黒までの階調を緩やかに再現した中間調の豊富な「フラットモノクローム」は、温かく柔らかい印象で、ポートレートやストリートフォトに最適だとする。また「ディープトーンモノクローム」は、ハイライト側は高コントラスト、シャドー側は低コントラストで硬調すぎないため、クールで透明感のある写真に仕上がるとしている。静止画/動画の切り替えダイヤルにモノクローム専用レバーを備えており、ワンアクションでモノクロ写真を撮影することが可能だ。

また、「リッチトーンポートレート」というピクチャーコントロールも新たに追加。こちらは、肌のディテールを残して豊かな階調を実現するというもの。ウェディングや写真スタジオなどで、プロフェッショナル・ハイアマチュアユーザーが撮って出しで使えるという。従来のポートレートと比べて、メリハリのある画像に仕上がりつつも、ディテールが残っているため、レタッチして仕上げる際のベースとしても最適とのこと。また、Z 8で登場した人物印象調整が本機にも備わっており、組み合わせて使用することもできる。

ボディ内手ぶれ補正を生かした、ピクセルシフト撮影に対応する。生成した複数枚のRAW(NEF)ファイルをNX Studioで合成することにより、解像度向上、モアレ・擬色低減、色再現性向上といった効果が得られる。解像度については2450万画素の本機であっても、4571万画素のZ 8およびZ 9並の撮影が行えるとのことで、細かい装飾が施された建物等に最適だとしている。生成する画像は4/8/16/32ショットから選ぶことができ、解像度は16/32ショット時で特に高められるという。

ピクセルシフト撮影の効果イメージ

動画では、H.265 10bit 内部記録 N-Log/HLG記録に対応する。Z 6IIと異なり外部レコーダーが不要のため、よりミニマルな機材での撮影が可能になった。DXフォーマットにクロップされるが、4K UHD 60pの撮影にも対応。また4K UHDは、6Kで読みだしてオーバーサンプリングすることで画質を高めている。ほか、感度の1/6段設定、電子手ブレ補正機能の拡張、ゼブラ表示、動画記録中の赤枠表示など、「Z 9同等の動画撮影機能」だとアピールしている。

AFポイント数は、シングルポイントAFで273点、オートエリアAFで299点。また、シングルポイントAFでは約89×88%、オートエリアAFでは約89×96%をカバーする。AF低輝度限界性能は-10EV(F1.2時) 。9種類の被写体同時検出に対応し、約3%の人物の顔のサイズも検出可能。カスタムワイドエリアのエリアパターン数を拡大し、静止画では77パターン、動画では66パターンとなる。また、AFエリアモードには、3D-トラッキング(静止画モード)とターゲット追尾(動画モード)を搭載。飛行機モードも利用できる。高速連続撮影は約7.8コマ/秒(拡張時は約14コマ/秒)、シャッタースピードは1/8000〜30秒。

ボディー内手ぶれ補正は、Z 9を超える8段を実現。補正ユニットは小型化のために新規開発している。カメラのブレを直接検知するジャイロセンサーの情報に加えて、画像解析による動きベクトル情報からブレ量を演算するアルゴリズムを進化させ、ブレ量の演算精度を大幅に向上したという。さらに世界初の機能として、静止画においてフォーカスポイント付近のブレを止める機能を搭載。画面の端にフォーカスポイントを配置する場合でもピント面をシャープにできるとする。

同社のフルサイズ機として初めて、バリアングル式の背面液晶モニターを採用。モニターサイズは3.2型、約210万ドットとなる。また電子ビューファインダーにはQuad-VGA OLEDを採用し、スペックは369万ドット・0.5型/0.8倍。またZシリーズ初として、「D5600」に搭載されていた「タッチFn」機能をブラッシュアップして搭載。ファインダーを覗いた状態で、画像モニターのパネルをタッチすることで、カメラの設定を変更できるという機能だ。変更できる機能は、AFポイントの移動、瞳の切り替え、ガイドライン表示、拡大画面との切り替え、水準器表示の5つから選択できる。

背面モニターはバリアングル式

そのほか、マニュアルフォーカス時でも被写体検出に対応し、瞳の位置の自動拡大やフォーカスエイドが行える。Z 8譲りの最新機能として、HEIF形式もサポートする。外形寸法は144W×103H×49Dmmで、質量は710g (バッテリーとカードを含む)。本体にはZ 8と同等の防塵・防滴を備えており、0度までのカメラ動作保証も装備。メディアスロットはSD(UHS-II対応)とmicroSD(UHS-I対応)のダブルスロットとなる。

効果的にシーリングを実施

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