CHORD「Mojo 2」に4.4mm端子搭載モデル、iFiにブラックモデル。エミライが今冬の新製品をいち早く披露
エミライは、同社が取り扱うCHORD Electronics(コード)/iFi audio/FIIO各ブランドから、今後発売を予定する新製品の先行内覧会を開催。今週末に東京・秋葉原で開催される「ポタフェス2025冬 秋葉原」でも参考展示予定の注目製品を一挙紹介した。
CHORD「Mojo 2」に4.4mmヘッドホン出力搭載モデル
今回国内で初公開となるのが、今冬に発売予定だという、CHORDのDAC内蔵ポータブルアンプ「Mojo 2」の4.4mm端子搭載モデル。既存の「Mojo 2」をベースにいくつかの仕様変更を行い、主に使いやすさの面を改良したモデルという位置づけだ。国内価格は現時点で未定だが、海外では従来モデルから価格据え置きで販売されるとのこと。
FPGAを用いた独自設計のDAC部、シングルエンドで600mA(@30Ω)というパワフルなアンプ部、音質劣化を最小限にしたイコライジング機能「UHD DSP」といったブランド独自の技術や、それらをコンパクトにまとめたボディは従来モデルを踏襲。数少ない外見上の違いがヘッドホン端子で、従来モデルでは3.5mmシングルエンド×2を搭載していたところ、新しいMojo 2では片方が4.4mmに置き換わった。
ただ、この4.4mm出力はバランス駆動ではなく、4線シングルエンド。つまりヘッドホンアンプ回路がバランス対応に再設計されたわけではない。4.4mmプラグのイヤホン/ヘッドホンを変換アダプターいらずで挿せるようになることが主な利点だ。
「バランス駆動にすれば、もっと音を良くできるのでは?」と思われるかもしれないが、バランス駆動の利点としてよく挙げられる「ノイズの低減」「出力の向上」は、従来モデルの時点で実現している。むしろバランス化で回路が複雑になると、筐体が大型化してしまうおそれがある。むやみにバランス化を図らずとも高音質を追求できる、というのがCHORDの見解のようだ。
ヘッドホン出力にはもうひとつ利便性を考慮した機能が搭載されており、音量の設定を3.5mm出力/4.4mm出力それぞれ個別に記憶するようになっている。複数のイヤホン/ヘッドホンを端子ごとに使い分けたりする場合、プラグを挿し替えるたびに音量調整をする手間が省ける仕様だ。
ちなみに、3.5mm/4.4mm端子の両方にイヤホンを繋いで同時に音楽を聴くことも可能で、その場合は4.4mm出力側の音量設定が使われる。
また別の改良点として、従来モデルではデータ伝送のみ対応だったUSB-Cポートが、データ伝送と給電の両方をサポート。光デジタル/同軸デジタル/Micro USBポートもこれまで通り備えており、別売のアクセサリー「Poly」とも引き続きドッキング可能。ポータブルプレーヤーのように使うこともできる。
iFi audio「iDSD Valkyrie」「xDSD Gryphon」に “Blackバージョン”
iFi audioからは、DAC内蔵ポータブルアンプ「iDSD Valkyrie」「xDSD Gryphon」両モデルの “Blackバージョン” が国内初披露された。通常モデルとの違いは外装のみで、音質面に変更はないが、つや消し仕上げの黒いボディは高級感を増した印象。発売は2026年春ごろの予定で、価格はまだ未定だという。
iDSD Valkyrieは、卓上アンプに匹敵する筐体サイズで最大5,700mWの出力を実現する、DAC内蔵ポータブルアンプの最上位モデル。JVCケンウッドのデジタルデータ補完技術「K2HDテクノロジー」を採用することがトピックで、元の音源のサンプリングレートを維持したまま高音質化処理を行う「K2モード」と、最大192kHz/24bitにアップスケールしてから処理を行う「K2HDモード」を使い分けられる。
また音質を微調整できる6種類のデジタルフィルターや、iFi audio独自のアナログ技術も装備。音場を拡張する「XSpace」、より深い低域を再現する「XBass II」、ボーカルや中音域の存在感を強調する「XPresence」などの機能を利用可能だ。
ヘッドホン出力およびアナログ入力は3.5mmシングルエンド/4.4mmバランス、デジタル入力はUSB-C/光・同軸デジタルを搭載。PCM 768kHz、DSD512までの再生に対応し、さらにFPGAを用いた「DSD1024リマスタリング」機能を搭載する。Bluetooth受信も可能で、aptX Lossless/aptX AdaptiveやLDACなどの高音質コーデックをサポートしている。
xDSD Gryphonは、ブランドのデジタル/アナログ技術を手のひらサイズに凝縮したと謳うモデル。ヘッドホン端子は3.5mmシングルエンド/4.4mmバランスを備え、独自のアンプ回路「PureWave」により最大出力1,000mW(@32Ω、バランス)を実現。D/A変換部はバーブラウン製チップを採用し、PCM 768kHz、DSD512までの再生をサポートする。
アナログ入力は3.5mmシングルエンド/4.4mmバランス、デジタル入力はUSB-C/同軸・光デジタルに対応。aptX Adaptive/LDACコーデックでのBluetooth入力も可能だ。ほか、iDSD Valkyrieと同様にXSpace/XBass IIなどブランド独自機能も備えている。
FIIOのポータブルCDプレーヤー「DM15 R2R」。自社開発のR2R DAC搭載
FIIOからは、今冬発売予定の製品としてポータブルCDプレーヤー「DM15 R2R」が紹介。すでに発売されているポータブルCDプレーヤー「DM13」の兄弟機に位置づけられるモデルで、自社開発のR2R DACと、最大出力1,150mW(バランス)のヘッドホンアンプ回路を備えている。
回転中のCDを透かして見える天板や、オレンジ色のディスプレイなど、デザインはレトロな雰囲気でまとめる一方、PCなどにUSB接続することで、PCM 384kHz/32bit、DSD256まで対応のUSB-DACとしても活用可能。CDのリッピングもできるとのこと。aptX AdaptiveコーデックによるBluetooth送信もサポートしている。
また同じく今冬発売予定の「Snowsky TINY」は、USB-C接続のいわゆるドングル型DAC/アンプ。「TINY A」と「TINY B」の2タイプ展開で、Aは3.5mmヘッドホン出力と給電用USB-Cポートを装備して充電しながら使えるタイプ、Bは3.5mmと4.4mmの2つのシングルエンド出力を備えるタイプとなる。どちらもPCM 384kHz、DSD256までの再生をサポートし、AndroidまたはWebアプリから10バンドイコライザーを設定可能だ。
このほかFIIOでは先月発売されたばかりの製品も多数出展していたが、その中でも目玉として、11月14日に発売したフラグシップDAP「M27」のチタンモデル(約37.4万円)/アルミモデル(約29.9万円)の聴き比べも行っていた。ES9039SPROデュアルDAC、最大出力5,000mWを誇るアンプ、豊富な入出力や2基のmicroSDカードスロットによる大容量ストレージといった物量が目を引く本モデルだが、“筐体の素材による音の違い” も注目ポイントとなっている。

FIIO、“ポータブルの常識を突き破る” 卓上オーディオ級のフラグシップDAP「M27」
2025/11/07
前述のとおり、本稿で紹介した製品はいずれも今週末12月13日(土)/14日(日)に東京・秋葉原で開催される「ポタフェス2025冬 秋葉原」にも出展予定。会場2階のエミライブースにて実際に体験できるはずだ。



