シャープ、上期決算は減収も営業利益が大幅増。中国ブランドが勢いを増すテレビ事業は“シャープらしい技術”での差別化が鍵
PCが予想を上回る大きな伸長を見せ牽引
シャープは、「シャープ2025年度第2四半期 決算説明会」を開催し、同社代表取締役 社長執行役員 CEO 沖津雅浩氏が説明を行った。

上期の各事業の連結業績は、ブランド事業では競争環境の激化や為替の影響で、売上高こそ前年同期に及ばなかったものの、営業利益は前年同期比で約1.5倍となる462億円と大幅な増益を達成した。
デバイス事業ではSDP(堺ディスプレイプロダクト)の終息などアセットライトの進展により、売上高は同6.6%減の2118億円と減少したが、営業赤字は125億円のマイナスから87億円のマイナスへと大幅に縮小した。
これにより、全社トータルでの売上高は同13.3%減の9503億円と減収となったが、営業利益は前年同期の4億円から289億円に大幅に伸長。経常利益・最終利益も大きく改善した。
ブランド事業における営業利益の大幅増益の要因について沖津氏は「一番はPCが予想以上に大きく伸びたこと。米国関税もいろいろな対策の成果が出て元々の予想より挽回することができた。コストダウンも予定以上に実現できている」と説明した。
PC事業の上振れや関税影響の改善を営業利益に織り込むなど、通期の業績予想についても上方修正した。売上高は据え置きとしたが、営業利益は150億円、経常利益は180億円、最終利益は210億円それぞれ上方修正となった。
第2四半期については、売上高は前年同期比15.3%減の4778億円、営業利益は同117.1%増の136億円、経常利益は同28.7%増の149億円、最終利益は同24.8%減の182億円。スマートライフとスマートワークプレイスで構成されるブランド事業は、上期では減収となったが、第2四半期だけでは増収となり、営業利益・営業利益率ともに改善している。
中国ブランドが勢いを増す家電事業。裾物はOEMを活用
ブランド事業のうち、テレビや白物家電などを含んだスマートライフの売上高は、白物家電事業では調理家電が国内・米国を中心に伸長した一方、市況の厳しかったエアコンや冷蔵庫が前年同期に届かず、国内・海外とも減収となった。
テレビ事業もXLED・OLEDモデルなど国内の付加価値ゾーンではシェアが増加したが、厳しい競争環境のなかで事業全体では国内・海外ともに減収。エネルギーソリューション事業は国内の住宅用や蓄電所が伸長、海外事業も堅調で増収となった。
白物家電事業について沖津氏は、「好調だった洗濯機が足踏みしたが、下期は付加価値の高い空気清浄機の販売増が期待できる。そこにしっかりと取り組んでいく。エアコンはアジアの冷夏による影響など海外での売上が30%ダウンとなったが、適正な在庫処分を進めており、1月からは通常通りに戻していきたい。好調だった欧米の調理関連に重点的に力を入れるなど白物事業の改善を進めていく」と説明した。
とりわけ国内の状況では「中国ブランド或いはそれを量販店さんのブランドで販売するものが増えてきている」と指摘。「いかに付加価値の商品で戦っていくかに重点を置いて、裾ものについては自社の工場ではコストが見合わず、OEMを活用し、そこにシャープらしさをひとつでも入れて差別化を図っていきたい。コストだけの競争とは考えていない」との見方を示した。
テレビ事業については、「構造改革が進み、売上は落ちているが利益は大きく改善している。事業を維持・成長させていくには、コモディティではうまくOEMを活用し、付加価値ゾーンで差別化を図っていく。プロモーションをかけてアクオスブランドを訴えていく」と力を込めた。
テレビにおいても白物家電同様に「中国メーカーが強くなっている」とその動きを注視。「シャープらしい技術の特長を出していかないと、価格だけでは勝つことはできない。技術の要素を生み出していくことが国内テレビ市場で生き残っていく方法だと考えている」と訴えた。
中期経営計画の主な進捗についても説明が行われた。「順調な進捗で、様々な成果が出てきている」と手ごたえをアピール。財務面では各事業で収益力強化が進展し、営業利益が当初想定を大きく上回るペースで改善。加えて、資産売却なども順調に進み、自己資本比率は「半期で想定以上のペース(10.5%→14.6%)で大幅に改善している」という。



