パナソニックHD、テレビ事業の売却・撤退は不要に。抜本的改革で課題事業脱却へ目処
2026年度6000億円以上の収益改善目標は達成見通し
パナソニック ホールディングスは、2025年度第2四半期決算とグループ経営改革の進捗について説明会を開催した。
グループ経営改革の進捗について、同社代表取締役 社長執行役員 グループCEO・楠見雄規氏が説明。「グループ全体として人員適正化はオントラックで進捗している。課題事業については今年度中の方向付けも進めている」と語り、それぞれの進捗状況を説明した。

テレビ事業については、「抜本的なオペレーション改革で2026年度での課題事業脱却に目処がついた。パートナーとの協業のさらなる深化と徹底したリーンなオペレーションで、競合に負けない競争力のある商品の提供を継続しつつ、収益構造を抜本的に改革する」と収益改善に目処を付けた。
課題事業については当初、撤退や売却の可能性も選択肢として言及されていたが、「そういうことをせずともオペレーションを抜本的に変えることで課題事業から脱却できる」とそれらの可能性がなくなったことを明言した。
キッチンアプライアンス事業についても、2026年度での課題事業脱却に目処がついたと語り、「日本市場で求められる品質を確保しつつ、中国で磨いてきた中国サプライチェーンの部材活用を徹底していく。チャイナコストを日本を含むグローバルに展開。そのために必要な量産開発や調達部門のチャイナシフトを加速し、これに伴う国内の人員適正化も進めている」と説明した。
復活に不可欠となるチャイナシフトについては、「中国でのコスト力をグローバルに展開しないと家電業界で生き残ることはできない。パナソニック株式会社のなかで、どう生き残っていくのかを真剣に考えてくれた。中国の力を積極的に使うために、リソースも積極的に中国に置いて、2026年にはこういうことができると示してくれた。これを2年前3年前にできていたらもっとよかったが、進むべき方向に大きく進み出したと感じている」と手応えを示した。
産業デバイス事業・メカトロニクス事業については、課題事業脱却に向け改革が推進中で、競争力のある領域に集中し、踏み込んだ改革を進めていくとした。なお、これら課題事業脱却におけるパートナーとの協議を伴う案件については、契約締結完了までは公表できないとのこと。
2026年度に目指す6000億円以上の目標を掲げた収益改善は達成の見通し。構造改革による改善は、本社本部改革470億円、家電事業改革330億円、事業部門改革520億円、計1320億円(うち人員適正化で800億円)を見込んでいる。
「何をやるにしても今の収益体質ではだめ。6000億はその発射台。2026年度はこれをしっかりやる。収益性が担保されないとどういうかたちにもできない。6000億円という目標は非常に意味がある大事なこと」と力を込めた。
2025年度第2四半期決算は減収減益。車載電池が大幅悪化
2025年度第2四半期決算については、同社取締役 執行役員 グループCFO・和仁古 明氏が説明を行った。
2025年度第2四半期決算は減収減益。売上高は1兆9238億円で対前年同期比90%(オートモーティブを除くと同102%の増収)。コネクト、インダストリー、エナジーは増収だが、くらし事業の減収やオートモーティブ非連結化が影響した。

調整後営業利益は同74%の904億円。くらし事業、コネクト、インダストリーは増益も、車載電池の大幅悪化によるエナジーの減益が大きく影響した。車載電池は米国関税の影響に加え、カンザス・和歌山工場の立上げ費用の増加、国内工場の減販損等が響いた。純利益は調整後営業利益の減益に加え、その他損益の悪化で同60%の709億円。
年間見通しは、売上高は車載電池の見通しを大幅に見直したことにより下方修正。調整後営業利益は米国関税の影響(マイナス300億円)を織り込んで同額を下方修正したが、対前年で増益を維持している。
米国関税の影響については、期初は未織り込みで、価格転嫁やサプライチェーン改善の取り組みにより、期初想定を下回る水準にあるという。短期的には価格転嫁、中長期的にはサプライチェーン見直し等を引き続き進め、影響の最小化を目指すとしている。
セグメント別では、コネクト、インダストリーは売上高・調整後営業利益を上方修正、エナジーは、産業・民生は蓄電システムが増販益で上方修正となったが、車載電池が米国EV市況の減速や米国関税の影響で、売上高・調整後営業利益ともに全体では下方修正となった。
2025年度の構造改革については、人員の適正化、拠点統廃合、間接機能の集約・効率化等を進めており、構造改革費用は200億円積み増しの1500億円。構造改革効果は370億円を見通している。



