B&W、新旗艦ワイヤレスヘッドホン「Px8 S2」。“NCワイヤレスヘッドホンのリファレンス”となる高音質を追求
ディーアンドエムホールディングスは、同社が取り扱うBowers & Wilkinsブランドより、ノイズキャンセリング対応ワイヤレスヘッドホンのフラグシップモデル「Px8 S2」を9月25日に発売する。
価格はオープンだが、市場価格は税込129,800円前後と予想される。カラーバリエーションはOnyx Black/Warm Stoneの2色をラインナップ。
Px8 S2は、2022年に発売された「Px8」の後継モデル。“ワイヤレスヘッドホンのリファレンス” をコンセプトに、ワイヤレスヘッドホンの音質を再定義するモデルとして誕生。加えて、快適性と装着性を高め、フラグシップモデルにふさわしいラグジュアリーでエレガントなデザインを施しているという。
ドライバーは、カーボンコーンを使用した40mmダイナミック型ドライバーを前モデルから継承しながらも、従来モデルよりもさらに低歪みを可能とし、最大96kHz/24bitのオーディオ信号の解像度を限界まで引き出せるように最適化されている。スピーカーとエッジ部の接続を極めて小さく、より精密なものとすることで、低歪み化を叶えているという。
DSP/DAC/アンプを独立して搭載し、内蔵USB-DACは最大96kHz/24bitに対応する。Bowers & Wilkinsブランドの独自の空間オーディオ技術も採用しており、今度実施されるアップデートによって使用可能となる。また、サウンドモードは、カスタマイズ可能な5バンドEQを備えており、最大10個のプリセットを保存できるとのこと。こちらもアップデート後に実装されるという。
「音を悪くしない、1番強いノイズキャンセリング」をテーマに開発を続けているBowers & Wilkinsのノイズキャンセリング技術であるが、Px8 S2では左右各4個のアクティブ・ノイズキャンセリング用マイクを搭載し、計8個のマイク位置を最適化することで、外部からのノイズを効果的に打ち消しているとアピール。
従来モデルよりも中低域のノイズキャンセリング性能が大幅に向上しており、併せてハンガー・アームを見直したことで密閉度が改善され、同時にノイズキャンセリング性能を高めているという。各種操作ボタンをANCマイクに干渉しない位置に移動させるという、細かな仕様も明かされた。
通話用マイクは左右2個、計4個のマイクが導入されており、ビームフォーミング技術に加えて、音声処理アルゴリズムによって、クリアな音声通話を可能としている。
「Bowers & Wilkins Music」アプリでは、直感的なセットアップ、ノイズキャンセリングや外音取り込みの切替、オートスタンバイや装着センサーなどの操作に対応する。
Bluetooth ver 5.3に対応し、aptX Lossless/aptX Adaptive/aptX HD/aptX/AAC/SBCといった音質コーデックをカバーしている。また、マルチポイント機能をはじめ、Apple MFi、Google Fasr Pairといった機能も使用できる。最大連続再生時間は30時間、急速充電にも対応して15分の充電で7時間の再生を可能としている。
デザイン面においては、同社のミドルクラスモデル「Px7 S3」にも採用され、ヘッドホンファンから高く評価されたという新たな薄型ハウジングを搭載。フォルムや装着時の美しさはもちろん、快適な装着性を実現したと同社は説明している。
角度を付けたアングルド・ドライブユニットはPx8と同様に15.4°の角度を持ち、リスナーの少し前にサウンドステージがイメージできるフォーカス感を成し得たという。
Px8 S3のシルエットは前モデルよりもスリムに。人間工学に基づいた装着テストを重ね、オーバーイヤーヘッドホンとしての快適な装着性を追求したという。
肌に触れる部分の全てにナッパ・レザーを使用し、アルミダイキャスト製アームはケーブルのディティールを露出させたデザインへとブラッシュアップさせている。質量は0.31kg。
今回、メディア向け内覧会にてPx8 S2の実機を試聴することができたので、インプレッションをお届けする。
藤井風『満ちてゆく』を聴いてみると、ピアノは鍵盤の打鍵感の重さや音の立ち上がりの感触が生々しく、歌声の位置が近く、しっとりと艶やかな質感で、実存感を強く感じさせる。また、ピアノの音と歌声の間を流れる空気の音の描写も細やかに伝わってくるため、Hi-Fiスピーカーで聴いているような感覚があった。
楽器の音数が増えるタイミングでは、ともて自然にサウンドが増え、スムーズでリッチな表現となる。低域の量感も豊かで、打楽器のアタック感も柔らかさを持ちながら、スピード感も失わずに再現していた。
次に同じく藤井風から『花』を再生してみると、先程の楽曲とかわって非常にリズム隊の音が強くなる楽曲だが、そのドラムのキックは太いながらもタイトで張りがあり、ベースの中低域も明瞭で指の運びが見えやすく、うねるようなベース音も滑らかに描いてくれる。
『花』の歌声は、『満ちてゆく』よりも耳から距離のある位置から聴こえる楽曲だが、音の発し方が心地よく、各楽器の音より若干近い位置から聴こえるサウンドで、 ボーカルと楽器隊から奥行き感を得られる。また、音がきっちりとセパレートされているのではなく、しっかりと同じ空間でならしているような再現性になっている。
疾走感のあるロックチューンであるAooo『サラダボウル』では、イントロのベース/ギター/ドラムが順々に登場するシーンで、音の出方と消え方がとてもスピーディで、そこから一気に全楽器が鳴りだしていくと勢いはそのままに、各楽器の音はセパレーションよく聴こえ、併せて一体感をしっかり保ちながら、バンドサウンドならではの音の満ち方も再現してくれるため、とても音楽的に聴こえた。
ボーカルが入ってくると、クールで透明感のある声質と柔らかく流れるような歌声を耳元近くで鳴らしてくれる。感触がとても自然なため、声の距離感も違和感なくバンドサウンドに溶け込んでいたのも印象的だった。
最後にCheryl Lynn『Got to Be Real』を聴いてみると、懐かしのダンスナンバーであるため、歌声や管楽器、ギターやベースの弦楽器、そしてドラムまで、各音の時代感を残しながらも、現代で鳴っているような感触も得られる。そのまま再生されている音をモニター的に再生するのではなく、音楽性が確認できるようなサウンドにも聴こえた。



