ソニー、バーチャルプロダクション向けLEDディスプレイ「Crystal LED CAPRI」今冬発売
ソニーは、バーチャルプロダクション向けLEDディスプレイの新シリーズ「Crystal LED CAPRI(カプリ)」を、2025年冬より発売すると発表。Brompton対応モデル「ZRD-VS25FB」とMegapixel対応モデル「ZRD-VS25FM」の2種類をラインナップし、価格はオープン。

バーチャルプロダクションは、大画面LEDディスプレイに映し出した3D背景映像でスタジオ内に仮想空間を創り出し、その中で人物など実在の被写体の撮影と合成を同時に行う映像制作技術。
この分野において同社は、デジタルシネマカメラやシステムカメラに加え、映像制作を効率化するソフトウェア「Virtual Production Tool Set」など多岐にわたるソリューションを提供。2025年秋にはカメラトラッキングシステム「OCELLUS(オセラス)」の発売を予定しているという。
この度発売が発表された「Crystal LED CAPRI(カプリ)」は、バーチャルプロダクションに最適化されたLEDディスプレイ。2024年に発売された「Crystal LED VERONA(ベローナ)」に続くかたちでラインナップが拡充される。

1,500cd/m2の高輝度、デジタルシネマ向け規格DCI-P3の98%以上をカバーする広色域を実現。加えて、低反射ディスプレイを採用することで照明の映り込みも低減しており、臨場感と没入感のある映像でリアルな仮想空間を創り出すことが可能だとアピールする。
また、高性能ドライバーICの採用によって業界最高水準だとする7,680Hzのリフレッシュレートを達成。これによって、スキャンライン(水平方向の黒い線)を低減し、高品質なバーチャルプロダクション映像を撮影することができるとのこと。アスペクト比はキャビネット1基あたり1:1。
設置性の面では、特別な工具なしでディスプレイキャビネット同士を固定できるレバー式ロック機構や、正確な位置合わせが容易にできる位置決めピンなどの機構を採用。簡単かつ迅速、高精度に組み立てることができるとしている。
また、専用の角度調整ブロックを使用した機構を採用しており、カーブ/オーバル設置、吊り下げ設置といった高度な設置にも対応可能。加えて、エッジプロテクションやスライドイン機構を実装したことで、隣接するディスプレイキャビネット同士の接触によるLEDモジュールの破損リスクを低減するという。
さらに、ディスプレイを組み上げた状態のまますべてのLEDモジュールを裏側から交換することができる「クイックモジュール交換機能」を搭載。突発的なトラブルでも迅速に処置することができ、撮影スケジュールへの影響を最小限に抑えるという。

操作面では、映像ソースを受信し複数のディスプレイキャビネットに映像を分配するディスプレイコントローラーとして、Brompton Technology社製「Tessera SX40」とMegapixel社製「HELIOS」をサポート。いずれも業界で広く使われているモデルであり、追加のトレーニングなども不要とすることで、作業効率の維持に寄与するとのこと。
同社ソリューションの互換性については、「Virtual Production Tool Set」との連携に対応。モアレ発生リスクを警告するUnreal Engine用プラグイン「Camera and Display Plugin」や、高い色再現性を実現する補正LUT生成ソフトウェア「Color Calibrator」を利用することができる。
また今後、Crystal LED向けの専用機能として視野角色補正機能をVer3.0にてアップデート予定。カメラの位置情報を使用するこで、カーブや直角に設置されたLEDディスプレイを斜めから撮影した際に生じる色ずれをリアルタイムで補正できるようになり、ポストプロダクションにおける色調整・編集作業を大幅に効率化するとアナウンスしている。
ピッチサイズは2.50mm。消費電力は最大165W。出入力端子は、AC電源出端子×1、AC電源入力端子×1、映像信号出力端子(RJ-45)×1、 映像信号入力端子(RJ-45)×1。外形寸法は約500W×500H×93Dmm、質量は約10.1kg(暫定値)。