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市場環境の悪影響は縮小も年内まで尾を引く

シャープ、3Q累計連結業績は大幅増益。サプライチェーン混乱で営業利益の通期予想は下方修正

2022/02/08 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■経常利益、最終利益は大幅増益

シャープは2021年度第3四半期 決算説明会を開催し、代表取締役社長 兼 COO・野村勝明氏が説明を行った。

シャープ(株)代表取締役社長 兼 COO・野村勝明氏

第3四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比4.2%増の1兆8940億円、営業利益が同3.0%増の638億円、経常利益が同93.0%増の846億円、最終利益が同72.2%増の708億円となった。いずれも前年同期を上回り、大幅な増益となった。

2021年度第3四半期累計連結業績概要

第3四半期については、サプライチェーンの混乱が続いた影響などがあり、営業利益は前年同期比23.2%減となったが、経常利益は同141.7%増の337億円、最終利益は同63.0%増の283億円となった。セグメント別には、白物家電は原材料価格高騰の影響があるなか2桁の利益率を維持、ディスプレイデバイスはモデルミックスの改善により同147.8%増の利益を計上した。ブランド事業、デバイス事業ともに前年同期比では減益となるものの、第2四半期比ではともに増益に転換。エレクトロニックデバイスも製造の正常化に伴い黒字化となった。

2021年度第3四半期連結業績概要

セグメント別営業利益

■売上高は2兆5200億円、営業利益は920億円へ下方修正

カテゴリー別には、「スマートライフ」は減収減益。アジアでエアコンや洗濯機が伸長したが、前年同期に大きな伸長を見せた国内のプラズマクラスターが減収。半導体や原材料の高騰の影響も受けた。野村氏は「半導体問題や原材料価格高騰の影響に対し、コストダウンの取り組みをしっかりと行い影響の吸収に努めている。新たな価値を提供していく新製品においても、市場動向を見極めながら適切な価格を設定していきたい。コロナによる生産の影響は2QにASEANで拡大したが、足元では収まっている」と説明した。

スマートライフ

「8Kエコシステム」は増収増益。「シャープNECディスプレイソリューションを連結した効果がもっとも大きい。欧州やアジアではテレビが伸長し、MFP事業も伸長している」と増収に貢献。営業利益では売上げの伸長に加え、欧州などでテレビの高付加価値化が進展した。2022年内には北米に新商品の投入を計画する。

8Kエコシステム

「ICT」は半導体隘路の影響やPC事業で国内GIGAスクール需要が一服したこと、半導体などの価格上昇で減収減益。「ディスプレイデバイス」は中型パネルの伸長やモデルミックスの改善により増収増益。「エレクトロニックデバイス」は新型コロナウイルスによる生産への影響から減収減益となったが、現在は正常化しており、営業利益も第2四半期からは大幅な増収となり、黒字化している。

2021年度通期予想は、第3四半期までの進捗と足もとの状況を反映して修正した。売上高は2兆5200億円、営業利益は920億円へ下方修正、経常利益は1100億円、最終利益は850億円へ上方修正した。営業利益ではサプライチェーンの混乱が依然、懸念され、野村氏は「前回、下期に200億円と見ていた影響を、300億円弱に改めた」と下方修正の背景を説明。来期の動向については「2022年度は、2021年度に比べれば改善されていくと見ているが、足元の状況からは少し長引くと思われ、年内まで影響が残ると見ている」との展望を示した。

2021年度通期連結業績予想

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