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「M15」をベースに各性能をアップデート

FiiO、新ハイエンドDAP「M15S」。“第2世代DC給電モード”で駆動力を向上

公開日 2023/04/07 10:00 編集部:松永達矢
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エミライは、同社が取り扱うFiiOより、新開発の「第2世代DC給電モード」を搭載したDAP「M15S」を4月14日(金)に発売する。価格はオープンだが、税込152,900円前後での実売が予想される。

「M15S」

FiiOのハイエンドDAPとして高い評価を獲得した2020年発売モデル「M15」をベースに、デュアル・パワーサプライ技術「DC給電モード」の第2世代バージョンの搭載でオーディオ性能を飛躍的に向上させた後継モデル。2022年9月に開催された「秋のヘッドフォン祭2022」同社ブースにて初出展されたアイテムが正式に案内される格好だ。

M15Sの特長である「第2世代DC給電モード」は、DC電源に接続することで給電方式を切り替え、据え置き製品に迫る性能を発揮するというもの。同ブランドのトランスポータブルDAP「M17」、トランスポータブルヘッドホンアンプ「Q7」で採用されたものを“第1世代”とし、そのユーザーフィードバックを参考に従来技術をより洗練させた“第2世代”として同技術を搭載する。

QC3.0またはPD2.0規格に対応する充電器とケーブルを接続することで、据え置き製品に迫る性能を発揮

第2世代DC給電モードの基礎となる「P/Dテクノロジー」(P/DはPortable Desktop deviceの略称。USB PDと異なる)は、USB端子にQC3.0またはPD2.0規格に対応する充電器とUSBケーブルを本製品と接続することで有効化。本機能を有効化させた状態では、オーディオ回路への電源供給量が26.67%増加、ヘッドホンアンプ回路の電源電圧は±7.6Vまで向上し、チャンネルあたり最大1200mW(バランス出力/32Ω負荷時)の高出力を実現する。

またDC給電モード時には、本体バッテリーではなくUSB端子からの入力電源で駆動する「デスクトップモード」も選択することが可能。充放電サイクルに限りのあるDAPの内蔵バッテリーを消耗させることなく、長期間安心して利用できると同社はアピールしている。

採用DACチップは、ベースモデルのAKM「AK4499EQ」からESS「ES9038PRO」へと刷新。ハイエンドオーディオ機器やプロフェッショナルオーディオ機器向けに設計され、1つのチップ内に8ch分のDAC回路を搭載する業界最高峰の性能を備えたものとなっており、極めて情報量豊かでディテール表現に優れたサウンドを実現すると謳う。

DACチップにESS「ES9038PRO」を採用する

SoCはベースモデル搭載のSamsung「Exynos 7872」からQualcomm「Snapdragon 660」に変更。スマートフォンでの音楽再生において音質劣化の原因となっているSRC(サンプリングレート・コンバーター)機能をバイパスし、忠実な音楽信号処理を実現した。AndroidOSのバージョンも、従来の7.0ベースのカスタムOSから、M15SではAndroidOS10ベースへとアップデート。詳細設定もカスタマイズされ、ポータブル・オーディオ機器として重要な設定が直感的に行える。

DACチップの後段となるオーディオ回路は、信号の再現性に優れた高品位な音楽再生を追求するため、I/V部、ローパスフィルター部、ゲイン調整部、ヘッドホンアンプ部からなる、多段構成の設計を採用。回路上には高精度・低雑音のフィルム抵抗を採用することで、優れた低歪とチャンネルバランスを実現。ローパスフィルター部にはパナソニック製の低損失金属化フィルムコンデンサを採用することで、高調波や位相歪みを効果的に抑制するとしている。

オーディオ回路構成イメージ

FPGAを中心としたデジタル領域の信号処理回路には、最新のデジタル・オーディオ・ピューリフィケーション・システム(DAPS)を採用。デジタルデータはブランド独自のPLL技術を搭載した第4世代FPGAを経由し、DACのパフォーマンスを活かせるよう緻密に処理される。

DAPS内には、2基の特注仕様のNDK製フェムト・クロック水晶発振器が備えられており、デジタルオーディオ回路部全体に高精度かつ低ジッターなマスタークロックを提供。クリーンで極めて高い忠実度を誇るD/A変換を行う。

アナログ段とデジタル段の相互干渉を可能な限り排除するものとして、アナログオーディオ回路とSoC上には、銅ニッケル合金シールド処理を実施。さらに、シールド上にグラフェンシートや電波吸収シートを重ねることで、内部および外部からのアナログオーディオ信号への電磁干渉を極限まで低減。入念な電磁波シールド機構により「滲みのないクリアーなサウンドを実現する」という。

入念な電磁波シールド機構を施す

オーディオ回路の各部に独立した電源供給路を用意する

オーディオ回路の各部に独立した電源供給路を用意することで、音質に悪影響を及ぼす相互干渉や電源ノイズを効果的に低減。ベース機を踏襲する形で、「アクティブ・サーボパワー・テクノロジー」を増幅最終段に採用し、ノイズレベルの低い高品位再生を幅広い機器で楽しめると説明する。

接続機器の能率に応じて適切な出力レベルを選択できるよう、4段階のゲイン設定を用意。さらに、DC給電モードの有効時にはもう1段階高いゲイン設定が用意されており、従来のDAPでは駆動が困難だったヘッドホンであっても、余裕ある再生を実現するとのことだ。

音量は120段階から調整が可能。調整操作はボリュームノブと物理ボタンの両方から行うことができる。ボリュームノブのロータリーエンコーダー部には、高精度・高耐久の部品を採用することで、製品寿命を高めたとする。

高い駆動能力を誇る本機だが、駆動時の熱対策を多数投入することで長時間の高出力再生でも安定した動作を実現。熱対策の一例として、ステンレス製のバッテリーボックスの採用、高精度の薄膜抵抗器とコンデンサの使用、カスタム仕様の熱伝導シリコン、グラフェン、銅ニッケル亜鉛合金のヒートシンクを搭載することで、筐体内部を常に適切な温度に調整する。

駆動時の熱対策を多数投入。長時間の高出力再生でも安定した動作を実現

上記に加え、内部が常に最適な温度範囲になるように制御し、必要に応じてバッテリーの充電を停止させる保護装置も搭載される。

筐体デザインはベース機でも高い評価を得た第5世代の“クラシカルモダン・デザイン”を採用。手に取った際のグリップ性といった実用性にも配慮する。バッテリー容量は6200mAhで、連続再生時間はシングルエンド再生時約10.5時間、バランス再生時約9時間。充電時間は約3.5時間(QC急速充電時)となる。

内蔵ストレージは64GB(約46GBをユーザー使用可能)、拡張ストレージとして最大2TBまで対応のマイクロSDカードスロット1基を備える。

また、ローカルファイル再生だけでなく、様々なサードパーティ製アプリを楽しめる「Androidモード」、iOSデバイスから受信した音声を高音質で楽しめる「AirPlay受信モード」、「USB DACモード」「Bluetooth受信モード」といった操作モードを搭載。発売時提供予定のファームウェアアップデート1.01にて「Roon Readyモード」も実装予定だ。

ローカル再生含む6種の操作モードを搭載

再生対応サンプリングレートは内蔵データ再生時、およびUSB DACモード時は最大PCM 384kHz/32bit、DSD 256のネイティブ再生をサポート。USB出力時はPCM 768kHz/32bit、DSD 512のネイティブ再生に対応する。さらに、すべてのPCM信号を2.8MHzのDSDフォーマットに変換する、DSD変換モードや、MQAの×8デコード機能も搭載する。

出力端子は2.5mmバランス/3.5mmシングル/4.4mmバランスを装備。デジタル入出力ではUSB Type-C端子の搭載と、Qualcomm「QCC5124」の搭載による幅広いBluetoothコーデックの送受信をサポート。Bluetooth送信ではSBC/AAC/aptX/aptX HD/LDAC/LHDC、Bluetooth受信ではSBC/AAC/aptX/aptX HD/aptX LL/LDAC/apt X Adaptiveを利用できる。

ほか、5Gと2.4GデュアルバンドのWi-Fi接続、スマートフォン向けアプリ「FiiO Link」との連携で、リモートコントロール操作に対応する。

外形寸法は、約80W×140H×18.9Dmm、質量は約345g。付属品としてレザーケース、DK3S ファン付き冷却スタンド、USB タイプC to タイプCケーブル、USB タイプA to タイプCケーブル (冷却スタンド用)、USB タイプC to タイプAアダプターを同梱する。

M15Sの発表と併せて、同社の展開する「エミライ延長保証」サービスも拡充。FiiO製品の内、「第2世代DC給電モード」を搭載した製品の内蔵バッテリーについて、従来の延長保証期間をさらに6ヶ月延長し、メーカー保証期間と合わせて合計18ヶ月間へ延長する。

拡充内容の対象となる製品は現在M15Sのみとなる。

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