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CINEMAシリーズ一体型モデルの最上位機

マランツ、“音質に予算をかけた” 9.4ch AVアンプ「CINEMA 40」

公開日 2023/03/10 11:00 編集部:小野佳希
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前述のように、11.4chすべてのプリアンプ回路にマランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を採用。なお、前世代までの製品では、AVアンプ用に一部を簡略化した回路を用いていたが、今回、CINEMA 40のHDAM-SA2回路は、Hi-Fiオーディオコンポーネントと同じ定電流回路を備える構成になった。これにより、HDAM-SA2の特徴である広帯域にわたるフラットな周波数特性と安定した位相特性、低ノイズ、そして極めて高いスルーレートに加え、より豊かな情報量とサウンドの密度感の向上を実現したのだとアピールしている。

HDAMはHi-Fiオーディオ用のものと同じ定電流回路を備える構成に

また、高音質電解コンデンサーや薄膜抵抗といった高音質パーツを採用したほか、そばに配置されるHDMI回路のノイズからHDAM基板を保護するためにケイ素鋼板を使用。加えて、ひとつ下のグレードである兄弟機「CINEMA 50」ではHDAMとプリアンプやボリュームが一緒の基板に配置されていたが、今回のCINEMA 40ではHDAM専用の独立基板にしている。

ケイ素鋼板を配置してのノイズ対策などを実施

さらに、入力セレクター、ボリューム、出力セレクターそれぞれの機能に特化したカスタムデバイスを用いることにより信号経路を最短化。不要な信号経路の引き回しを排除するショートシグナルパスによる音質向上も図っている。

トラップドアを開けたところ

11.4chのプリアウトも装備しているため、ハイトスピーカーの追加やパワーアンプの強化など、システムの拡張も可能。また、使用しないパワーアンプを信号ラインから切り離し、プリアンプとしての使用を可能にする「プリアンプモード」を搭載している。9chすべてのパワーアンプの動作を停止できるだけでなく、チャンネルごとに個別にオン/オフの設定を行うこともできる。

■ジッターやノイズ対策にも配慮



また、独立した4系統のサブウーファープリアウトを装備。音量レベルとリスニングポジションまでの距離を個別に設定することができる。

なお、マニュアルでの設定に加え、Audyssey Sub EQ HTTMによる自動設定も可能。4系統のサブウーファーすべてから同じ音を再生する「スタンダード」と各サブウーファーの近くにある「小」に設定されたスピーカーの低音を再生する「指向性」の2モードから選択できる。ただし、「指向性」に設定している場合は、AudysseySub EQ HTは機能しない。

そのほか、クロック信号に含まれるジッターを取り除くクロック・ジッター・リデューサーも搭載。D/Aコンバーターを始めとするデジタルオーディオ回路を正確なタイミングで動作させることにより、低歪みで原音に忠実な再生を行えるよう配慮している。

高周波ノイズへの対策も徹底。まず、DSPやネットワーク、USBなどのデジタル回路への電源供給には専用のトランスを使用し、アナログ回路との相互干渉を排除している。また、デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化してスイッチングノイズを再生音に影響の及ばない可聴帯域外へシフトさせている。

さらに、シールドにより回路間のノイズの飛び込みを抑えるとともに、電源ラインに流入するノイズはデカップリングコンデンサーを用いて除去。コンデンサーの品種や定数は、サウンドマスターによる試聴を繰り返しCINEMA 40に合わせて最適なものを選定したという。加えて、基板やシャーシを固定するビスやワッシャーの種類を使用する箇所に応じて変更し、グラウンドインピーダンスを最適化するなどもしている。

また、キャビネットも強化。シリーズのフラグシップセパレートシステム「AV10」「AMP10」と同サイズのフロントパネルを採用したほか、兄弟機「CINEMA50」対比で容積も20%アップしている。

CINEMA 50(左)とのサイズ比較

■HDMIは7入力/3出力を装備。ALLMやVRRなどにも対応



HDMI端子は入力7系統と出力3系統を装備し、すべてのHDMI端子が著作権保護技術「HDCP 2.3」に対応。入力7系統、出力2系統(Monitor 1/2)が8K/60Hzおよび4K/120Hz映像信号のパススルーに対応している。

背面端子部

HDR映像信号のパススルーにも対応。HDR10、Dolby Vision、HLG(Hybrid Log-gamma)に加えて、HDR10+およびDynamic HDRにも対応している。

また、HDMIはeARCおよびCECにも対応。加えて、HDMI 2.1の新機能であるALLM(Auto Low Latency Mode)、VRR(Variable Refresh Rate)、QFT(Quick Frame Transport)にも対応している。

音場補正は専用マイクによるオートセットアップ機能「Audyssey MultEQ XT32」を搭載。映画館における補正に用いられるAudyssey MultEQ Proと同じであり、また、下位グレードであるAudyssey MultEQ XTに対して32倍となるフィルター解像度で補正を行います。また、4台のサブウーファーを個別に測定、および補正する「Sub EQ HT」も搭載している。

また、有料アプリ「Audyssey MultEQ Editor」にも対応。AVアンプ単体では設定できない詳細な調整をアプリから行うことができる。

そのほか、Dirac社の音場補正機能「Dirac Live」にも有償アップデートで対応予定。2023年のファームウェア提供を予定している。

Wi-Fiは2.4GHzと5GHzのデュアルバンド対応で、ネットワーク機能ではマランツ独自のワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」にも対応。Amazon Music HDをはじめ、AWA、Spotify、SoundCloudなど様々な音楽ストリーミングサービスや、インターネットラジオなどにも対応している。

ネットワーク関連の音楽再生では、AirPlay 2やBluetoothにも対応し、Bluetoothは送信と受信の両方が利用可能。そのほか、Amazon Alexaにも対応しており、音声で各種操作が行える。

音楽再生では最大5.6MHz DSDおよび192kHz/24bitのハイレゾ音源再生も可能。ミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したハイレゾ音源が再生でき、DSD、WAV、 FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応している。

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