ノイキャンや外音取り込み機能も搭載

デノン、ブランド初の完全ワイヤレス「AH-C830NCW/C630W」。サウンドマスターが音質監修

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編集部:杉山康介
2021年09月17日
デノンは、ブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「AH-C830NCW」「AH-C630W」の2機種を、10月中旬より発売する。AH-C830NCWはノイズキャンセリング機能に対応し税込19,800円前後、一方のAH-C630Wはノイズキャンセリング非搭載で税込9,900円前後での実売が予想される。

「AH-C630W」(写真左)「AH-C830NCW」(右)

同社はこれまでもワイヤレスヘッドホンやネックバンドイヤホンなどリリースしてきたが、完全ワイヤレスイヤホンは今回が初となる。営業を担当する田中清崇氏によれば、時代の流れとしてワイヤードイヤホンが減っていくであろう中、完全ワイヤレスでもデノンサウンドを打ち出すべく参入したと説明。少しでも本機を通して、Hi-Fiオーディオへ興味を持つ方が増えてくれたら嬉しいと語った。

サウンドマスター山内氏が「Vivid&Spacious」を目指してチューニング

音質チューニングは、同社Hi-Fiコンポーネントも手がけるサウンドマスターの山内慎一氏が担当。多数の競合製品が並ぶマーケットにおいて存在感を示すべく、「Vivid&Spacious」な音作りを目指し、山内氏がイヤホンに抱いていた重層感の弱さ、開放感の乏しさの改善に焦点を当てて開発したという。

また、山内氏は現在の完全ワイヤレス市場は実体感や安心感のある「低域型」、解像感やレゾリューションに注力する「高域型」、その中間にあたるバランスの取れた「中庸型」の3グループに分かれると分析。AH-C830NCW/C630Wは中庸型と高域型の境界に位置する、バランスが取れつつ高解像なモデルとのこと。

手書きの完全ワイヤレスイヤホン分布図を用いて解説する山内氏

C830NCWには11×10mm、C630Wには10×10mmの大口径ダイナミックドライバーを搭載。C830NCWのドライバーは楕円状の筐体スペースを最大限に活用するため卵形となっており、C630Wと比べてさらに低音の深みを感じさせ、音の輪郭やベースの弾力感などの表現力が向上しているという。

C830NCWは卵形、C630Wは真円形のドライバーを搭載する

筐体は数多くの耳の形状データを基に24の形状サンプルを作成し、実際に多くの人に使ってもらった上で最も付け心地が良く、落ちにくいものを採用。また、一回でベストポジションに収まりやすいことや、落とした際も転がりづらいことからスティックタイプの形状を選択したとのこと。

両モデルともハンズフリー通話や音声アシスタント操作に対応。加えてC830NCWは、2マイクのアクティブノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能を搭載しており、左側本体のタッチ操作でANC/外音取り込み/オフの3モードを切り替え可能。また3マイクによるビームフォーミング、エコーキャンセル技術によって、騒音の多い環境でも快適な通話を実現できるという。

「AH-C630W」

BluetoothはVer.5.0(with LE/Class 1)で、コーデックはAAC/SBCに対応。スティック部には全長約25mmのFPCアンテナをしており、高い通信安定性を実現しつつ、通信状況に応じて出力制御することでノイズを拾わないようソフトウェアチューニングされている。

イヤホン単体/ケース充電込みでの連続再生時間は、C830NCW(ANCオフ時)が6時間/24時間で、C830NCW(ANCオン時)が4.8時間/19時間、C630Wが4.5時間/18時間。ともに10分の充電で50分の音楽再生が可能。一般的な急速充電対応モデルと比べると短い再生時間だが、急速充電はリチウムバッテリーに負荷がかかり、バッテリーの発熱や熱暴走などの可能性があるため、安全面を考慮した結果このような短時間充電になったとのこと。

「AH-C830NCW」

ほか、本体はIPX4の防水性能を搭載し、またC830NCWはGoogle Fast Pair機能も搭載。付属するイヤーピースはシリコン製で、軸部分は剛性を出すために厚め、傘部分は装着感を意識して薄めにしたデュアルレイヤーとなっている。

本体質量(片側)はC830NCWが5.3gで、C630Wは4.7g。カラーはブラック/ホワイトの2カラー展開で、C830NCWは光沢仕上げ、C630Wはマット仕上げを採用している。

「AH-C830NCW/C630W」編集部インプレッション

今回、事前に試聴する機会を得たので、簡単にインプレッションを記していきたい。

左がC630Wで右がC830NCW。形は同じだが仕上げが異なっている

まずはAH-C630Wを聴いたが、イヤホンの域を超えたサウンドステージの広さに驚かされる。端的に言えば、据え置きオーディオでのスピーカーリスニングに近い聴感だ。

十分な量の低音がありながらも“低域重視”といったサウンドではなく、またハイハットなど高域の質感も鮮やか。情報量が多いのだが、密度が濃いというよりも、広大なステージに余裕を持って音が配置されているような印象。そのため長時間使っていても聴き疲れるような感覚はない。

続いてAH-C830NCWを聴いてみたところ、C630Wより一段ステージが広がり、低域のふくよかさや全体的な音の立体感、表現力も向上。しかしC830NCW=上位互換というわけでもなく、むしろシャープな音調のC630Wの方が好みという方も多いだろう。ちょうどC630Wはブックシェルフ型、C830NCWはフロアスタンディング型スピーカーのようなイメージだ。

また、C830NCWのノイキャンと外音取り込みのナチュラルさにも触れておきたい。製品によって、ノイキャンは気圧が変わったような圧迫感、外音取り込みは集音したような不自然さを感じる場合もあるが、そういった違和感を抱かず、かつしっかり効果がある絶妙なラインを的確に探り当てているように感じた。

一方、本製品はスマホ用アプリなどを用意しておらず、機能面で競合製品に一歩劣るところがある。その理由について田中氏は、「デノンのHi-Fiサウンドを手頃な価格で楽しんでもらうためにも、アプリ開発費などを削って音質に注力した」と説明。本製品の反響にもよるが、今後、完全ワイヤレスの新製品を出す場合は機能を拡充する可能性もあるとのこと。

音質について山内氏は「3万円台の完全ワイヤレスにも見劣りしない完成度だと思っているので、同価格帯の製品でなく、上の価格の製品と比べてみていただきたい」と意気込みを語った。イベントなども難しい情勢ではあるが、気になる方は家電量販店などで実際に試聴してみていただきたい。

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