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パブリックコメントの提出内容を公表

民放連、総務省の電波利用料見直し方針案に「極めて遺憾」「到底納得できない」

2019/01/22 編集部:小野佳希
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一般社団法人 日本民間放送連盟(民放連)は、総務省が発表した電波利用料見直しの料額算定方針案について「極めて遺憾」「到底納得できない」などとするパブリックコメントを提出したことを明かした。

総務省では、およそ3年ごとに実施している電波利用料の見直しに関し、料額算定の具体化方針案を昨年末に公表。これに対し、民放連が意見を提出したというもの。

今回の方針案は、2019年度〜2021年度の電波利用料についてのもの。電波の不正利用監視など従来からの事業に加えて、5Gの光ファイバー網整備などの新規取り組みも行うために、歳入・歳出の想定を現在(2017〜2019年度)の約620億円から約750億円に上積みするなどしている。これに伴い電波利用料の負担額が増えることが見込まれることなどから、民放連で総務省に意見を提出した。

まず、民放連は電波法において電波利用料制度を「少なくとも3年ごとに見直しを行う」と規定していることに触れ、前回は2017年5月に電波法改正で2019年度までの電波利用料額が施行されたことに言及。

「それにもかかわらず料額改定の時期を1年早め、しかも地上テレビ放送局に大幅な負担増を求める内容の具体化方針(案)が示されたことは極めて遺憾です」とし、「料額改定の前倒しはあくまで例外であり、今後は3年周期で実施されるものと認識しています」と意見している。

そして、歳入・歳出規模が拡大することについて、これまで民放連が再三要求してきた効率化や歳出規模の抑制などが反映されていないとコメント。「電波利用料の使途である電波利用共益事務の解釈を大幅に広げ、歳出規模を拡大した結果、周波数帯域やサービス内容がまったく変わらない無線局免許人が突如として大幅な負担増を求められる事態が起きるものと見込まれます。これは電波利用料制度の本旨を逸脱し、同制度を事実上変質させるものです」などとしている。

また、歳入が歳出を上回る年度が多く、2012〜2016年度の5年間で約500億円の歳入超過になっているにもかかわらず、徴収した電波利用料を他用途に流用していることは「極めて不適切」だと指摘。「やむを得ず余剰金が発生した場合は次年度以降の電波利用共益事務経費に充当できる基金のような制度を創設すべき」だと意見している。

加えて、料額の増加分を一定の水準に留める“激変緩和措置”について、その水準が過去数次の改定においてコンセンサスとなっていた「2割程度」から、今回の方針案で「5割程度」に引き上げられていることに「到底納得できません」と意見。

「地上テレビ放送は最重要の基幹放送メディアとして、電波を利用して24時間・365日、途切れることなく番組や情報を送り届けています。(中略)大規模な災害においても、被災地の民放局は台風や地震、停電などの厳しい事態に直面しながら放送設備の維持に全力を挙げて取り組み、国民視聴者へ迅速・的確に情報を伝えました。気象災害や大地震への備えにいっそう注力しようとする地上テレビ放送局の電波利用料負担を大幅に増やすことは、民放経営を圧迫しかねず、ひいては国民の安心安全の確保に支障をきたしかねないと懸念します」としている。

また、「ローカル局の経営基盤強化は、放送政策上の重要課題と位置付けられているものと承知しています」とした上で、「地上テレビ放送局の電波利用料負担を増やすことは、これに逆行した施策となり極めて不適切です」と意見。「地上テレビ放送局の電波利用料負担の軽減を強く要望します」などとしている。

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