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5つのプラットフォームで製品展開

クアルコムが最上位BluetoothチップやUSB Type C向けSoC、DDFAなど最新オーディオソリューションを紹介

公開日 2017/06/20 19:24 編集部:小澤貴信
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クアルコムは本日20日、USB-Cヘッドホンやスマートスピーカー向けの新プラットフォーム、新世代DDFAなど、オーディオ関連の新プラットフォームについて説明会を行った。

今回紹介されたのは、いずれも6月15日に中国で開催されたVoice & Music Developer Conferenceにて発表されたものとなる(関連ニュース)。説明会にはQualcomm Technologies International,LTDのシニア・バイスプレジデント兼、Voice & Music分野 ゼネラルマネージャーであるAnthony Murray氏が登場。新プラットフォーム/デバイスの詳細についてプレゼンテーションを行った。また、質疑応答ではクアルコム CDMA テクノロジーズの大島勉氏も回答を行った。

Qualcomm Technologies International,LTD シニア・バイスプレジデント Voice & Music分野 ゼネラルマネージャー Anthony Murray氏

クアルコム CDMA テクノロジーズ マーケティングマネージャー 大島勉氏

今回クアルコムが発表したのは、以下の5つのプラットフォームとなる。

・高級Bluetoothヘッドホン/スピーカー向けシングルチップ「CSRA68100」
・エントリー向けBluetoothヘッドホン/スピーカー向けSoC「QCC3XXX」シリーズ
・USB type C接続のヘッドホン/スピーカー向けSoC「WHS9420/9410」
・シングルチップ化した新世代DDFA
・音声認識などに対応したスマートオーディオ向けプラットフォーム

5つのオーディオ向けプラットフォームを発表


「CSRA68100」は、プレミアムクラスのワイヤレススピーカー/ヘッドホンでの使用が想定された、高性能かつプログラマブルなBluetoothオーディオ・シングルチップ。前世代ではCPUとDSPを1基ずつ備えていたが、こちらはCPUとDSPを、それぞれ2基ずつ備える。DSPの処理能力は前世代「CSR8675」から4倍に向上したという。

「CSRA68100」の詳細

採用するメーカーが、用途に応じてプログラムを書き換えられるプログラマブルかつフレキシブルなチップであることも大きな特徴。また高い処理能力により、キーワード入力などを伴う複雑な音声操作、遠距離から音声入力における残響補正、オーディオのポストプロセッシングなど高度な処理も可能。優れた音声品質もアピールされている。

エントリークラス向けのBluetoothヘッドホン/スピーカー向けSoC「QCC3XXX」シリーズ」は、8種類をラインナップ。うち3つはBluetoothスピーカー、5つはBluetoothヘッドセットをサポートする。

「QCC3XXX」シリーズの詳細

CSRA68100と比べて使用の自由度は低いが、エントリー向けとして採用するメーカーが製品開発のコストを下げられるよう機能を作り込んでいる。エントリークラスながら同社のaptX、cVcノイズキャンセレーション技術、TrueWireless Stereoなどの技術をサポートしている。

USB type C接続のヘッドホン/スピーカー向けSoCの「WHS9420」「WHS9410」は、USB type Cで接続するヘッドホンやスピーカーなどのオーディオ機器向けSoC。USB type Cを採用する一方で、ヘッドホンジャックを廃止するスマホが増えていることを背景に開発された。上位モデルのWHS9420は、USB接続で192kHz/24bitのオーディオ再生とDAC出力、アクティブ・ノイズキャンセリングをサポートする。

「WHS9420/9410」の詳細

「Qualcomm Smart Audio Platform」は、ネットワーク対応のスマートスピーカーのための開発プラットフォーム。ベースとなるのは、「APQ8009」と「APQ8017」という2種類のシステムオン・チップ。多様かつ信頼性の高い音声インターフェースをサポートしており、そのなかには応答性の高い音声起動、ビームフォーミングによる複数マイクを用いた音声操作、エコーキャンセルやノイズキャンセルなどが含まれる。

「Smart Audio Platform」の詳細

ハイレゾ伝送にも対応した同社のマルチルームオーディオ規格「AllPlay」、Bluetoothでハイレゾ相当の音声をワイヤレス伝送するaptX HDもサポートする。また、後述する新世代DDFAをアンプとして組み込むことも想定されている。

DDFAは、クアルコムが手がけるデジタルアンプデバイス。今回紹介されたのは、その最新世代となるもので、従来DDFAの後継。先行してデノンのヘッドホンアンプ「DA-310USB」(関連ニュース)に搭載されていたもの。CESで先行して公開されていたのも、この新世代DDFAとなる(関連ニュース

新世代DDFAの詳細

新世代DDFAの最大の進化は、音質を向上させつつシングルチップ化を実現したこと。従来のDDFAはその特色であるPWMモジュレーターとフィードバック・プロセッサーがそれぞれ別チップになっていたが、新世代DDFAではこれをワンチップ化。これにより、Bluetoothスピーカーやヘッドホンアンプといった小型オーディオ機器にも搭載することが可能になった。

その一方でオーディオ品質やスペックも向上。従来はDSDには非対応だったが、新世代デバイスでは5.6MHz DSDをネイティブで入力することが可能になった。また大島氏は、「技術向上の結果、シングルチップ化しつつ、音質についても従来を上回ることが可能になった」と説明していた。

Anthony Murray氏は、CSRA68100のようなプレミアムクラスのBluetoothプラットフォームとDDFAを組み合わせることで、高音質なBluetoothスピーカーが実現可能なことも示唆した。

音楽ストリーミングや音声認識などを踏まえた要望に応えるプラットフォームを提供

こうした同社のオーディオプラットフォームについて、プレミアムからエントリーまで、さらには個別のメーカーの要望に応える、多様なラインナップを揃えていることも他社に対する優位性としてアピールされた。

クアルコムのBluetoothオーディオプラットフォームのラインナップ

また、これら新しいオーディオプラットフォームの開発背景として、「音楽ストリーミング」「ハイレゾ」「ワイヤレス化」「音声認識/操作」「ヒアラブル」などをのキーワードを挙げた。

音楽リスニングがダウンロードによる配信から音楽ストリーミングへ移行したことで、いわゆるコネクティビティーや通信機能がさらに重要になったという。また、技術向上による音質改善やスマホのヘッドホンジャック廃止などが、オーディオ機器におけるワイヤレス需要を世界的に高めた。ハイレゾの普及も、より高音質な再生が行えるプラットフォームの開発を後押した。

また、GoogleやAmazonなどが音声認識/操作の普及を進めており、これらに対応するプラットフォーム提供への需要も大きくなっているという。また、「ヒアラブル」デバイスの潮流も、チップの小型化や低消費電力化、新サービスへの対応などを促しており、同社はこの分野にも力を入れていくとした。

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