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「Slim Backlight Drive+」も

<CES>有機EL向けに変えたのは「全部」。ソニー長尾氏に聞く“BRAVIA OLED”「A1E」の画作り

公開日 2017/01/10 17:40 折原一也
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有機ELに合わせてケアしている部分は「全部」です。黒の階調もそうですし、高輝度時の表現力、色の再現性、全体的なカラーボリュームの形状も違います。ですので、どういった特性の信号をパネルに入力するかが重要なんですよね。そこで「X1 Extreme」に入力された信号に、パネル特性をしっかり加味し、パネルにあった信号に変換して出力してあげる、という所がキモになっています。

有機ELパネルにも対応した「X1Extreme」

−−有機ELのパネルでは、液晶と比べて扱いづらいという意見もありますが、いかがでしょうか。

ディスプレイの特性は液晶と有機ELで違いますし、さらに液晶の中でも色々なタイプがあります。信号処理により弱点を克服して最終的な映像を得ます。ソニーとしては厚木の業務用部隊で有機ELパネルを使った機種を2機種出しているので、ソニー全体としてはOLEDパネルを結構使い込んでいます。A1Eの発売にあたりノウハウの交換も行われているので、最終的には非常に良い形にまとまったんじゃないかなと思っています。

−−「X1 Extreme」チップでは、パネルからのフィードバック制御をしていますね。

基本的にはパネルのT-CONから入ってくる信号を使って、パネルがどうダイナミックに動いているかを見ながら制御します。基本的にはパネル特性は、データとして入れてあるものなのですが、輝度によって変わってくる部分は動的に調べ、フィードバックした制御もかけています。

取材時の資料ではパネルからのフィードバック制御の情報も

−−パネルが有機ELになったことで、信号処理に変化はあったのでしょうか。

まず、「X1 Extreme」に含まれるデータベース型処理の、データベース自体は同じです。そこからどのパターンを使うかというのは、デバイスの特性をしっかり加味して大きく変えています。有機ELでは低階調のノイズが一つの例なのですが、低階調のノイズを見分けて取る事で、全体のコントラストが上がるような効果も得られます。

データベース処理により有機ELに最適な画質を実現(写真は液晶によるデモ)

−−BRAVIAは2017年モデルで、ドルビービジョンにも対応しました。

HDRについては伝送方式がいくつかあるなかで、その一つに対応したと思っていただいただければと思います。今回対応したのはシングルレイヤーによるドルビービジョンの信号で、NetflixなどOTTサービスで使われている方式です。

新たに「ドルビービジョン」にも対応

−−A1Eは3D表示に対応していませんね。

はい、3Dには対応していません。3D対応をしようとすると最大輝度に影響が出るので、今回はHDRとコントラストを出し切る事に振っています。実際にお客様の使用頻度や需要を見ても、3Dの要望はかなり下がってきていますね。

−−A1Eシリーズの位置づけについてですが、液晶テレビのZ9Dもある中で、コミュニケーションとしてどう打ち出していくのでしょうか。

商品戦略上は、画質に関してはZ9Dが一つのリファレンスだと思っています。Z9Dは今売っているものに関してもスタジオとか、ポスプロの制作の現場から引き合いが多数ありまして、HDRでグレーディングした結果を最終的に確認するQC用モニターとして納品がどんどん進んでいます。

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