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モバイル向けディスプレイ好調

ジャパンディスプレイ、営業利益220%増も円高や子会社減損で318億円の赤字

公開日 2016/05/12 18:20 編集部:小野佳希
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ジャパンディスプレイは、2016年3月期(2015年4月1日〜2016年3月31日)の連結業績を発表。営業利益が前年同期比224.7%増と大幅に改善したものの、円高の影響や子会社の減損計上などにより、最終的な純損益では318億4,000万円の赤字となった。


売上高は前年同期比28.6%増となる9,891億1,500万円で、営業利益が上記のように前年同期比224.7%増となる167億1,000万円。

経常利益については、為替レートが大きく円高方向に転じたことに加え、過去の超円高時に発生した長期性の債務の一部返済時に生じた為替差損を含む129億1,100万円の為替差損が生じたことなどにより、129億3,400万円の損失を計上。

また、今期は特別損失として子会社の製造設備に係る減損損失11億100万円が生じたことや事業構造改革に係る費用139億3,300万円が生じたことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は318億4,000万円となった。なお前年同期は122億7,000万円の純損失を計上していた。

売上においては、特に欧米地域向けのスマートフォン用ディスプレイ販売が好調に推移し、中国・アジア顧客向けの販売も年度後半に売上を落としたものの通期では拡大したことから、売上高が前年同期を大きく上回った。

そのうち84.7%となる8,381億4,300万円が、スマートフォンなどモバイル分野向けディスプレイでの売上。タッチセンサー機能をディスプレイに組み込んだインセルタッチ液晶モジュール「PixelEyes」の売上高が大きく拡大するなど、インセルタッチ液晶モジュールの普及が進んだという。

車載用、デジタルカメラやゲーム機等の民生機器用、医療用モニター等の産業用などでは、西欧や米国における自動車販売の好調を背景に車載用ディスプレイの販売は前連結会計年度を上回ったが、デジタルカメラ向けなどの民生機器用ディスプレイの販売が減少したことにより、売上高は前年同期より若干減少。

なお当分野においては、車載向け曲面型ディスプレイの開発などを行ったほか、今後の新しい事業分野の開拓に向け、超低消費電力を実現した反射型カラー液晶ディスプレイの標準モジュールの販売を開始。また、17インチクラスで世界初の8K液晶ディスプレイを開発するなどの活動を行った。

来期は売上高1,950億円、営業利益10億円を見込む。経常利益以下の利益項目については、為替による差異が大きく生じて予想の精度確保が困難であることから開示していない。

同社では、「技術力を活かし、高精細で付加価値の高いハイエンドディスプレイを搭載したスマートフォン向けの市場シェア回復・拡大を目指すと共に、車載用ディスプレイや反射型ディスプレイ、高精細ノートPC向けディスプレイなどの販売活動強化を行っていく」とコメント。「有機ELディスプレイの研究開発を加速し、市場のニーズに応えていく」ともしている。

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