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事業改革の効果をアピール

パナソニック、'14年度3Qは営業利益10%増 − 中国でのテレビ生産終了「赤字幅着実に小さく」

2015/02/03 ファイル・ウェブ編集部
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パナソニックは、2014年度第3四半期の累計連結業績を発表。売上高、営業利益ともに前年同期より伸びたものの、純利益は前年同期比58%となる1,404億円となった。また、一部メディアで報道されていた中国での液晶テレビ生産終了が正式発表された。

2014年度3Q(10〜12月)は売上高1兆9,964億円(前年同期比101%)。営業利益は1,133億円(同97%)。当期純利益は595億円(同81%)となった。

2014年度3Qの連結決算

2014年度1〜3Qまでの累計連結決算

1Q〜3Qまでの累計売上高は5兆7,193億円(前年同期比101%)。営業利益は2,903億円(同110%)と伸びたものの、税引前利益は2,081億円(同68%)、当期純利益は1,404億円(同58%)と減益に転じた。これは、前年同期は有価証券売却益を営業外収益に計上したことや、家庭用ヒートポンプ給湯器の事故防止対策費用を営業外費用に計上したことなどによるものと説明されている。なお2014年度通期予想は据え置いた。

各セグメント別の業績実績

セグメント別では、液晶テレビや白物家電を含むアプライアンス部門は、3Qの売上高が6,283億円(前年同期比101%)、営業利益184億円(同85%)。1〜3Q累計では売上高1兆3,807億円(前年同期比101%)、営業利益446億円(同168%)となり、利益を伸ばした。

アプライアンス部門は売上高を伸ばした

テレビ事業は苦戦。しかし赤字幅は小さくなったとアピールしている

テレビは昨年秋に4Kモデルを投入するなどしたものの、価格の下落や円安進行により減収。今後も厳しい市場環境を見込んでいるという。一方、白物家電や美容家電などが伸びたことにより、セグメントとしては累計で増収・増益となった。

デジタルカメラ等を含むAVCネットワークスは、3Qのみだと売上高2,942億円(同104%)、営業利益177%(同153%)。1〜3Q累計では売上高8,278億円(前年同期比99%)とやや落としたものの、営業利益は同234%となる216億円へと大きく伸ばした。

AVCネットワークスは為替のプラス影響などにより増収となった

2013年度でPDP事業から撤退したほか、デジタルカメラ事業はミラーレス/高級コンパクトといった高付加価値製品に絞ったことによる販売減はあったが、3Qは円安が利益に貢献した。また車載向け等BtoB事業が堅調に推移していることや、課題事業の構造改革効果も営業利益増に寄与したという。

中国での液晶テレビ生産を終了。高付加価値製品に注力
 「赤字幅はかなり改善している」(河合専務)


液晶テレビ生産拠点の整理についても言及。日本(宇都宮)と欧州(チェコ)、アジア(マレーシア)は主要拠点として継続するが、中国工場での生産は終了する。今後は現地企業へ生産委託していくことが明らかにされた。また、アメリカにおいては売却も含めて検討していくという。

また液晶パネルについては、3Qはギリギリ黒字化したものの、通期では赤字の見込み。説明会に登壇した河井英明専務は「赤字といっても、これまでより状況はかなり改善している」と、事業改革の効果を強くアピールした。

パナソニック 河井英明専務

さらに河井専務は「テレビ事業はブランドイメージ向上のため大変重要。現在パナソニックは住宅分野にも注力しているが、家全体を作りあげる製品としても非常に大事なものだと考えている」と、テレビ事業の重要度を説明。「今後は絞り込みを行いながら高付加価値製品に注力していく」との戦略を明らかにした。

「2018年に向けて大きく進み始めている」

2014年度は中期経営計画「CV2015」の2年目として、目標達成への基盤を固めるとともに、「2018年の『新しいパナソニック』に向けた成長戦略を仕込む」ための取り組みを推進してきたと説明する同社。車載/産業/住宅分野でBtoB事業に注力してきたことに加え、家電事業ではシニア層をターゲットにした「Jコンセプト」シリーズを発売。こちらは品切れが起こるほど好調だという。

「2015年度も実質売上げは厳しいのではないか」との見方を示す河合専務。しかし「かなり着実に利益は出てきている。そういった経営体質になってきている」と語る。「これからは売上を成長させながら収益を確保するステージに移行したい」「BtoB推進など、構図は変化・進展してきている。2018年に向けて大きく進み始めているとご理解いただきたい」とコメントした。

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