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2年間で赤字事業を止血

パナソニック、中期経営計画を発表 − 15年度に営業利益3,500億円目指す

公開日 2013/03/28 20:44 ファイル・ウェブ編集部
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パナソニックは本日、2013年度から2015年度までの新中期経営計画の発表会を行った。また、あわせて2013年度の事業方針についての説明もし、新たなスローガン「CROSS VALUE INNOVATION」も発表された。

パナソニック(株)津賀一宏社長

新しいスローガン「CROSS VALUE INNOVATION」

同社の津賀一宏社長は、今後の3年間でやるべきこととして「一刻も早く赤字事業を無くし、同時に、しっかりと将来を見据えることが必要」と述べ、不退転の決意で取り組むと力強く宣言した。なお、テレビ事業については別項で紹介している。

そのためにまず、4月1日から事業部制を導入する。これまで88あったビジネスユニットを49事業部に再編し、それぞれの事業部がグローバルな開発・製造・販売の責任を持つ。49事業部はアプライアンス社、エコソリューションズ社、AVCネットワークス社、AIS(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ)社の4カンパニーが支えていく。

不退転の決意で取り組む、と強調

4月1日から事業部制を導入する

グループの経営目標も発表。2013年度の純利益が500億円以上、フリーキャッシュフローが2,000億円以上。2015年度には営業利益を3,500億円として営業利益率5%を確保し、フリーキャッシュフローは累計6,000億円以上を目指す。

3年間のロードマップでは、2013年度、2014年度の2年間で、赤字事業の止血と構造改革を終わらせる。同時に、各事業部それぞれが営業利益率5%に向けた収益改善を行い、フリーキャッシュフローの増大にも務めていく。

2013年度と2015年度のグループ経営目標

今後3年間のロードマップ

2012年度の営業利益は1,400億円の見通し。これを2015年度に3,500億円へ引き上げるにあたって、赤字事業の止血で1,300億円、各事業部の収益改善で1,400億円、効率化・制度改革で700億円の増益を図る。ここから事業リスクを差し引いて、営業利益3,500億円以上を達成する考えだ。

様々な施策の効果を積み上げて営業利益3,500億円をねらっていく

テレビや半導体、携帯電話など赤字事業の止血に取り組む


テレビ事業の連結収支。赤字は大幅に縮小している
テレビ事業の収支についてはこれまで発表されていなかったが、今回初めて開示された。2011年度には同事業で2,100億円の赤字を出したが、パネルの構造改革、非テレビ化の推進、セット固定費の削減、販促費抑制などを進めた結果、2012年度は860億円の赤字を見込み、赤字幅を大幅に削減した。2015年度には、同事業の赤字をゼロにすることを目標とする。

半導体事業の収益改善では、システムLSI事業を富士通(株)と事業統合。技術や顧客基盤を共有していく。システムLSI以外については転地やアセットライト化を薦め、他社とのアライアンスも推進。これらの施策により赤字解消を行っていく。

すべて自社リソースで完結させる自前主義からの脱却も図る。医療関連事業では、パナソニックヘルスケア(株)への外部資本導入を行っていくほか、物流ではパナソニックロジスティクスの株式の過半数を日本通運に譲渡することで本日両社が合意した。

成長戦略では、車載事業と住宅事業を成長領域として位置づける。車載事業では、センサーデバイスや快適な車内空間の創出、また小型・軽量化による電動化への貢献を行い、事業拡大に向けて全社のリソースを集中投入。2018年に2兆円事業へ拡大させることをねらう。

さらに住宅事業でも、エコと快適を両立させた、発電やHEMS機能を高めた住宅を拡充していくほか、ウォールビジョンや建材一体型照明など、家電の「壁」化を進める。さらにリフォーム事業も強化し、得意の映像・音響技術も活用していく。これらの新しい価値提案を行うことで、車載事業と同様、2018年度に2兆円の事業へ育てる考えだ。



今後パナソニックが戦略的に注力する4つの領域
今後パナソニックグループが力を入れていく戦略領域は、従来のデジタルコンシューマーから重点をシフト。「住空間ネットワーク」「エコ&スマート ビジネスソリューション」「モビリティシステム+サービス」「コネクテッド・パーソナル」の4分野に注力する。

また、同社が強みを持つLEDや空調、ディスプレイ、ソーラー、蓄電池、省エネ技術などを、住宅空間だけでなく、クルマやオフィス・店舗、公共空間、街区など、様々な空間へ展開する戦略も披露。「強いデバイスをあらゆる空間へ広げていく」(津賀社長)とした。

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