第三者割当新株式発行による資金調達も

【情報追加】シャープ、台湾・鴻海と提携 − 鴻海グループが筆頭株主に。堺工場を共同運営

ファイル・ウェブ編集部
2012年03月27日
シャープ(株)は、台湾・鴻海グループと戦略的グローバル・パートナーシップを構築するとを発表。液晶パネル事業など主要事業分野における業務提携を行うとともに、鴻海グループを割当先とした第三者割当による新株式の発行を行うことも明らかにした。発行される新株式数は121,649,000株で、新株発行後の鴻海グループの株式保有割合は9.88%。

具体的には、シャープ堺工場が生産する液晶パネル、モジュールを鴻海精密工業が最終的に50%まで引き取り、ワンカンパニーとして同工場を共同で事業運営。堺工場の操業安定化を狙う。

さらに、シャープの開発力と鴻海精密工業の生産力・コスト競争力という強みを活かし、グローバルレベルでの新ビジネスモデルを構築し、市場ニーズにマッチしたコスト競争力あるデバイス・商品のタイムリーな市場投入を目指す。

堺工場の運営を行うシャープディスプレイプロダクト(株)への出資比率は現在シャープ約93%、ソニー約7%だが、本提携後はシャープ約46.5%、郭 台銘氏が約46.5%、ソニー約7%という比率となる。

今後は協業分野の拡大など鴻海グループとの業務提携をさらに発展させる予定。また、第三者割当増資により調達する資金を、新規技術導入に関わる投資などに充てることで、シャープの中長期的な収益力向上とグローバルでの競争力強化を狙う。



シャープ 奥田隆司氏
シャープは本日都内にて記者会見を開催。代表取締役社長に就任予定の奥田隆司氏(関連ニュース)が登壇し、説明を行った。

奥田氏は今回の協業を決めた理由として、「シャープにはオンリーワンデバイスや商品の開発力はあるが、ここ数年は円高や経営環境の悪化により、新しいビジネスや市場への対応力・スピードが不足し、グローバル市場で強みを発揮できなかった。こういった問題を解決すべく、シャープが全てのバリューチェーンを手掛けるのではなく、協業をふくめた取り組みを行うことが重要になってくる」と説明。

さらに「例えば液晶分野でも、各国のニーズに合った製品をタイムリーに投入するためには、シャープ単独の垂直統合型では限界がある。今回両社の強みを活かしたグローバルレベルの垂直統合モデルを作り上げることで、魅力的な製品をタイムリーに市場投入できると考えている。シャープが従前より推し進めている60V型以上の大型モデル展開の動きも、今回の協業によりさらに強力になるだろう。中小型液晶の事業強化にも取り組んでいるが、こちらでも両社の強みを活かす取り組みを加速していく」と奥田氏は語る。

「エレクトロニクス事業を取り巻く環境は、デジタル化の進展と競争激化、売価下落と厳しさが増しており、同業種・同形態の会社による連携も近年多くなされている。我々は国籍や業態という輪の中に留まることなく、お互いの強みによって補完しあい、グローバルで成功できる関係の構築こそが協業の要と考えている」と意気込みを語った。

また記者会見には郭 台銘氏もコメントを寄せた。「我々は相互補完的な関係にあり、両社の様々な強みを活かし、優れた市場競争力を得られると強く確信している。両社の提携がもたらす相乗効果は、日本がかつての電子機器やコンシューマーエレクトロニクスの製造者としての役割から脱却し、高度なテクノロジーの研究開発と国際的なブランド認知の構築を先頭に立って牽引する、新しい役割を引き受けていくことを世界に対して示すことになるだろう。今回の協業は、両社のみならず全世界の顧客にとって利益をもたらすと考えている」。

郭 台銘氏

■質疑応答

以下、記者会見で執り行われた質疑応答の主な内容を掲載する。

Q.鴻海グループ傘下にある液晶パネルメーカー・奇美電子とシャープディスプレイプロダクトはどういった関係になるのか?
A.基本的には両社がセパレートしたかたちで事業運用していく。しかし将来的には大型パネル・50V型以下のパネルについては相補的な業務拡大に向けた取り組みも考えている。

Q.海外のテレビ組立て工場など、シャープが生産から撤退・縮小する分野はあるのか?また、シャープディスプレイプロダクト(SDP)の人員整理などは行うのか?
A.基本的にシャープの工場を廃止することについては考えていない。SDPをどのような体制にしていくかは現在協議しているところだ。

Q.第10世代パネルを生産できる堺工場はシャープならではの強みだとこれまで強調されてきた。今回の協業により、シャープの強みが損なわれるのではないか?
A.そんな心配はしていない。協業によって市場が拡大するとポジティブに見ている。

Q.技術流出の可能性はないのか?
A.特許はシャープ(株)が保有しているので、流出の心配はない。

Q.両社製品のコンフリクトは起こらないのか?
A.鴻海グループは主に受託生産用にパネルを採用するかたち。60V型以上モデルなどについては、今後いかに市場を広げていくかという点が大きいため、パイの奪い合いは回避できると考えている。

Q.ソニーや東芝、日立、INCJによる(株)ジャパンディスプレイも立ち上がるが、こちらへの合流は検討していないのか?
A.グローバルでの事業拡大が念頭にあるため、国籍を超えてお互いの強みを活かすという観点で今回の鴻海グループとの協業に至った。

Q.シャープのテレビ事業は今回の協業で立ち直ると見ているか?
A.共同設計や共同工場運営、共同調達などによるコストダウンで、テレビ事業のグローバル戦略的ビジネスを作り上げ、強化していく考えだ。

Q.今回の協業は、現在の資産でどれくらいの相乗効果があると見ているか?
A.今後、両社協業の効果・メリットを明確にしていく必要はある。別途機会を設けて説明したい。

Q.奥田時期社長のテレビ事業に対する中長期的ビジョンは?
A.これからのテレビ事業は、グローバルの競争に耐えうる生産競争力をつけていくことが大変重要だ。テレビの姿はこれから変わっていくと考えている。今はちょうど色々な変曲点にある。従来の分野に囚われず、新しいものを創造していきたい。詳細な成長戦略については別途機会を設けて説明したい。

関連記事