注目の作品が勢揃い

【飯塚克味のコレクター魂2011:vol.2】なぜこれが見られない!日本未公開の傑作を北米BDでチェック

飯塚克味
2011年01月05日
現在の日本の映画興行はテレビ局主導で、連続ドラマの最終回的なものか、テレビ局が大々的にプロモーションしている邦画ばかりが目立っている。その結果、かつては公開されたであろう、小規模な洋画が、劇場のスクリーンに一切お目見えしなくなってしまう状況になってしまった。しかし映画ファンが、真の映画の面白さに気付くのは実はこの規模の作品で、昔は2本立ての裏番組扱いだったはずの作品が、本命よりも楽しめたという経験は、年配の映画ファンなら誰でも記憶しているだろう。

最近では未公開ビデオとしてのリリース本数も減ってきたため、洋画ファンのため息ばかりが聞こえている気がする。自分はWOWOWの映画情報番組『Hollywood Express』で演出を担当しているのだが、全米興行で大いに話題になっている作品が、日本未公開になってしまう場合、非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。今回は、輸入盤での紹介だが、それでも見たいというファンのため、自分なりに面白いと思えた作品をプッシュさせてもらう。


『スコット・ピルグリムVSザ・ワールド(原題)』
まずは現在、日本公開の署名活動が起こっているエドガー・ライト監督の新作『スコット・ピルグリムVSザ・ワールド(原題)』だ。この監督の前作『ホット・ファズ 俺たちスーパー・ポリスメン!』も署名活動の結果、公開され、ヒットを記録したのだから、本作もスムーズに公開されてもいいと思えるのだが、そうならないのが、今の現状なのだ。ユニバーサルからリリースされた北米BDはVC−1圧縮で、画質はすこぶる好調。内容は主人公の青年スコットが、一目ぼれした女性ラモーナのハートをゲットするため、元彼と次々戦うことになるというハチャメチャなものだが、斬新な映像センスと語り口で、全くダレことなく、2時間を見せ切ってくれる。冒頭のユニバーサルのロゴからして遊び心満載で笑わせてくれる。日本のゲームやコミックの影響もありありで、まるでタランティーノ作品のように“元ネタなーんだ?”と言わんばかりの描写は、音声解説を聞かねばならないと思わせてくれる。そもそもエドガー・ライトは『ホット・ファズ』の時に「これからの映画は、繰り返しの視聴に耐えるよう、細部までこだわらねばならない」と発言しており、今回も正に有言実行の中身になっている。大画面視聴にも全く問題なく、興味のある方は是非とも注文してもらいたい。


『レターズ・トゥ・ジュリエット(原題)』
次は『マンマ・ミーア!』でメリル・ストリープの娘を演じ、一躍注目を浴びたアマンダ・セイフライド主演のラブ・ロマンス『レターズ・トゥ・ジュリエット(原題)』。イタリアのヴェローナ地方にやってきた若い女性ソフィーが、「ロミオとジュリエット」の舞台となったジュリエットの家で観光客から残された手紙を見る内に、50年前に実らなかった恋愛の手紙を発見し、何とか成就させようと奮闘する。ブルーレイで見るには打ってつけの風景が全編に散りばめられ、女性ならため息間違いなしの美しい映像が堪能できる。これが公開されないというのは、本当に残念な話だ。脇役には名優ヴァネッサ・レッドグレーブやフランコ・ネロ、ガエル・ガルシア・ベルナルも出演。分かりやすい内容なので、英語が苦手な人が、入門編に買ってみるのもいいかもしれない。


『デート&ナイト』
最後は日本ではDVDのみのリリースとなった『デート&ナイト』。倦怠期の夫婦が、気分を一新させるため、バッチリ決めてナイトデートを楽しもうとして、羽目をはずすのだが、それが思いもよらない結果を招く…というアクションコメディの快作だ。全米では約一億ドルという爆発的な大ヒットとなり、主演のスティーヴ・カレルとティナ・フェイの人気ぶりを証明した。この二人が、レストランで他人のふりをして席を奪ったことから、悪夢の一夜になってしまうのだが、カーチェイスあり、サスペンスありで、王道の娯楽映画となっている。特に笑えたのが、夫婦でやるポールダンス。よくヌードダンサーがやる、あのダンスだが、この二人のコメディアンとしての才能が炸裂する名シーンとなっているので、是非確認してもらいたい。北米版のブルーレイにはdts-HDマスターオーディオ5.1chのサラウンド音声が収録されているが、国内版のDVDでも、十分迫力は感じられるはずだ。国内版DVDは2月4日の発売。待ちきれないという方には、もちろん北米版BDがオススメだ。

この他にもモテない男性のミューズであるマリサ・トメイが、再びブ男代表であるジョン・C・ライリーと結婚してくれる『サイラス(原題)』や、先述のアマンダ・セイフライド主演のサスペンス『クロエ(原題)』、ロマン・ポランスキー監督なのに未公開の『ザ・ゴースト・ライター』、B級スター勢揃いのアクション『テイカーズ(原題)』など、確実に面白い映画はザックザックと眠り続けている。映画ファンが声を上げれば、『ホット・ファズ』や『ハングオーバー!』のように劇場公開されるケースも夢ではない。是非とも、自分の中にある“見たい”という気持ちを大事にしてもらいたい!

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