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独自技術で有機材料の塗布精度を格段に向上

エプソン、大型有機ELテレビ製造へ有効な均一成膜技術を開発

2009/05/26 Phile-web編集部
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セイコーエプソン(株)は、大型有機ELテレビの製造に有効な、インクジェット方式による有機材料の均一成膜技術を確立したことを発表した。従来、インクジェット方式による大型有機ELテレビの製造において課題となっていた塗布ムラを解消できることから、37V型フルHD以上の大型有機ELテレビの実現に向けて大きく前進したとしている。

今回、同社では独自のインクジェット技術「マイクロピエゾテクノロジー」を用いて、有機材料を塗布する精度を格段に高めた有機ELディスプレイの製造方法を開発。ムラの無い大型画面表示を試作パネルで実現した。

同技術では、基板に塗布すべきインク材料の最適量を、異なるインクサイズを精密に打ち分けてコントロールすることで、重量誤差1%未満という高いレベルで均一に成膜することを可能にした。これにより品質および生産性を飛躍的に向上させたという。

なお、現在の有機ELテレビ製作においては、大型基板に有機材料を均一に成膜する技術が確立されておらず、量産には未だ至っていない。現在の成膜技術で主流となっているのは真空中でマスクを用いてガラス基板上に薄膜を形成する「マスク蒸着方式」だが、高熱を加えるためマスクのズレが生じるなどの理由で、大型画面においては均一に成膜することが難しいといった課題を抱えている。

こうした課題を持つ「マスク蒸着方式」に対して、「インクジェット方式」はインク状の有機材料を用いた塗布方式での成膜が可能であるため、理論的には大型化に適していると考えられている。同社では今回開発した技術により、インクジェットの塗布ムラを解消。大型有機ELテレビの実現に近づく成膜技術を確立した。

同社では、今後も次世代ディスプレイである大型有機ELテレビの量産に寄与できるよう引き続き研究開発を進めていくとしている。なお、当技術の詳細については、アメリカにて現地時間6月2日から開催されるディスプレイ関連の国際学会「SID(The Society For Information Display)2009」にて、論文発表する。また、会場ではインクジェット方式で試作した、37V型フルHDの解像度に相当する、14型有機ELディスプレイを展示するという。

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