「新PS3」低価格の秘密に迫る − 折原一也のSCE直撃インタビュー

2007年10月26日
10月9日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から発表されたゲーム機PLAYSTATION 3(PS3)の新モデル「CECHH00」シリーズ。価格やスペックは既報(関連ニュース)の通りだが、今回の新製品の狙いと低価格化の秘密はどこにあるのだろうか。SCEへのインタビュー取材から明らかにしていこう。

取材に協力してくれたSCEプロモーション企画部 プラットフォーム課の桜井哲朗氏(左)と三浦惟氏(右)

取材では新PS3のセラミック・ホワイトモデルを使用させてもらった


充実してきたPS3のソフトラインナップをシンプルに楽しめる低価格タイプのPS3が登場


インタビューに応える桜井氏
折原 今回の新モデル発売の狙いはどのような所にあったのでしょうか。

桜井 とにかく充実してきたPS3のソフトラインナップやBDやネットワーク経由のDLサービスなど、『PS3ならでは』でお楽しみいただけるコンテンツやサービスを幅広い方に楽しんで頂きたい、ということに尽きると思います。幅広いユーザーの方々のコンテンツに対するニーズを後押しする意味で今回のお求め安い価格設定の新PS3を開発しました。

折原 現行の60GBモデル・20GBモデルとの違いは、PlayStation 2(PS2)専用ソフトウェア非対応、USB端子数、HDD容量、Super Audio CD(SA-CD)非対応ということでよろしいでしょうか。

桜井 はい。あとは消費電力が380Wから280Wへ、さらに全体の部品の見直しを行った結果、重量が約5kgから約4.4kgへ変更しています。また、外観的に細かな変更があります。背面端子の並びが変更になっていたり、冷却用の穴の空き範囲も小さくなりました。PS2のEmotion Engine(以下、EE)とGraphics Synthesizer(以下、GS)を取ったことだけでなく、様々な部品の見直しも行われています。

大きさは同じ

よく見ると本体下部の通風口が少なくなっている

背面端子はレイアウトが大きく変更

折原 設計の変更は2世代目と考えていいのでしょうか。

桜井 国内では2世代目ということになります。個々のリージョンによってHDD容量が違うなど、グローバルでは他にもバージョンがありますね。

折原 新モデルは世界共通になるのでしょうか。

桜井 ハードとしては共通ではありますが、地域によってはソフトを同梱した商品を販売するなど、各地域ごとの市場動向を踏まえ商品化を検討していきます。


チップ削減などの効果により消費電力もダウン


質量は約600gも軽くなった!
折原 今回コストが下がったのはどのような部分が大きかったのでしょうか。

桜井 EEとGSとが無くなったということだけではなく、PS2の時もそうだったのですが、基板の集積や変更、部品の見直しを行うことでより低コスト化・軽量化の努力をしています。消費電力は380Wから280Wまで減っていますし、重さは約600gも軽くなっています。

折原 PS2のゲーム非対応になったこともさることながら、AV機器ファンにとってはSA-CDの再生機能の対応についても気になるところです。PS3のゲーム機能やBDプレイヤーとしての性能については何か変更がありましたか。

桜井 PS3のBDプレイヤー機能については全く変わりませんが、SA-CD再生機能に関しては今回のモデルでは非対応になっています。ただこのような機能面に関してはユーザーの方々の要望、動向や市場動向により様々な検討をしていきたいと考えています。

折原 新モデルのシステムソフトについては従来機種と共通になるのでしょうか?

桜井 基本的にはそうなります。ただし、例えばSA-CDの機能拡張などは、SA-CD対応の現行モデルのみがアップデートによって対応することになります。また、ゲームのアップコンバート機能のように、PS、PS2の両方に対応した機能拡張が行われた場合でも、新PS3ではPS2ソフトが動きませんので、PS2ソフトのアップコンバート機能は使えないということになります。

XMBはPS2に関する設定項目が削除された


新PS3はBD版『スパイダーマン3』を限定数量配布、そしてPS3ソフトも続々発売

折原 新モデルの国内パッケージについては『スパイダーマン3』を添付して発売されますね。

桜井 PS3を買っていただいた方には20万枚限定でプレゼントするキャンペーンを行っています。10月17日から現行モデルを新規購入された方が対象となるほか、11月11日からは新PS3の購入者にもプレゼントします。


BD版『スパイダーマン3』

手前が「DUALSHOCK 3」。外観はほとんど変わらない
折原 新モデルと同日に別売で発売されるPS3専用ワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK 3」についてはいかがでしょうか。

桜井 持っていただけると分かりますが、振動機能を内蔵したことで重くなっています。従来が136gでこっちが193g。実は新型PSPの方が軽い(189g!)んです(笑)

折原 振動対応タイトルについてはいかがでしょうか。

桜井 特にアクション性の高いゲームにとっては、振動機能への対応は大きいですよね。既発売のPS3ゲームについては、『RESISTANCE〜人類没落の日〜』『MoterStorm(モーターストーム)』など昨年PS3本体が発売された初期の頃のソフトを初めとして、ネットワーク経由でゲームタイトルをアップデートしていただくことで、振動機能をお楽しみいただけるようにする予定です。このように過去のソフトも対応できてしまうことがPS3の凄いところです。だからPS3はオンラインに接続して頂いた方が格段に楽しめることが増えるんですよね。PS3をお持ちでオンラインにつなげていない方はこの機会に是非つなげてみてください。

既発売のソフトにも対応できるのはPS3ならでは

折原 最新のPS3ゲームでおすすめのタイトルはありますか。

桜井 10月11日発売の『RISE FROM LAIR(ライズフロムレア)』は、SIXAXISの6軸センサー機能をフルに活用して楽しめるようになりました。また、PS3ではより高度な映像処理ができるようになったので、ムービーに頼らないでも、プレイアブルのシーンを使って高画質な映像表現が可能になっています。


『RISE FROM LAIR』。空飛ぶドラゴンをコントローラーの傾きで操作する感覚は新鮮
折原 今後のPS3の展開についてはいかがでしょうか。

桜井 この秋には『ラチェット&クランク FUTURE(フューチャー)』や『Heavenly Sword 〜ヘブンリーソード〜』、『グランツーリスモ 5 プロローグ』といった当社制作のタイトルをはじめ、ライセンシーの皆様からも話題のソフトが多数発売されます。冒頭にもお話ししましたが、とにかくソフトラインナップの充実と、圧倒的なクオリティを是非より多くの皆様に楽しんで頂きたいと思います。

折原 AVファンとしてもPS3の普及に期待しています。ありがとうございました。


(折原一也)

折原一也 プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。

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