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<ケースイのCEATEC2007レポート>ようやく時代が追いついた?DLNAブース:魅力的な製品が多いが気になる側面も…

公開日 2007/10/06 13:22
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筆者の連載コラムで以前、ソニーの液晶テレビ「KDL-26J3000」を使って以来、DLNAの便利さに開眼した。DLNAとはDigital Living Network Alliance(デジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス)の略で、屋内ネットワークLANを利用して、パソコン、AV機器間で、動画や音楽などのデータを共有する規格だ。

例えば対応する機器同士をLANで接続すれば、リビングに設置したレコーダーの内容を、離れた場所にある書斎のテレビで再生できる。逆に書斎のパソコンに保存した動画や音楽データをリビングのテレビで再生可能だ。筆者もコラムで取り上げるまでは「家が狭いのであまり使わないだろう」と考えていたが、実際に操作すると複数のレコーダーに録画した番組を、一台の液晶テレビで管理できて、とても快適だ。一度使えば手放せなくなることは請け合いだ。CEATEC JAPAN 2007の会場にもDLNAのブースがあり、様々なメーカーが積極的な提案をしている。この中でいくつかの気になった展示をご紹介しつつ、筆者が気に病むDLNAの将来についてお話ししよう。


ブースではDLNAに加入するメーカー各社の製品を一同に展示。
DLNAブースでは家電メーカーの出展よりも、パソコン周辺機器メーカーの展示が目立っていた。ユニークな製品を並べていたのはプラネックスコミュニケーションズのコーナー。ネットワークハードディスク(以下NAS)のMZK-NAS02は内蔵するHDDに保存した動画や音楽をDLNA対応機器で操作して再生できる。ブロードバンドルーターのMZK-04Gもユニーク。本体にUSBポートを2つ備え、ここへHDDを接続するだけでNASとして利用できる。もちろんのこのHDDに保存した動画や音楽は対応する機器で再生が可能だ。

テレビパソコンを持っていて、録画番組をリビングの大画面テレビで見たい場合などは、このNASに保存すればパソコンを起動しなくても家中の対応機器を使ってコンテンツを共有できる。「DLNA利用のためにパソコンを起動しておきたくない」そんなユーザーに向いた製品だ。

「DLNAは便利そうだが、手持ちのテレビが対応していないから使えない」そう考える向きもあるだろう。パソコンでならDLNA対応のソフトをインストールするだけでこのDLNA対応機器に早変わりするが、テレビはそうはいかない。しかし、SCEのゲーム機PLAYSTATION3を使えば、どんなテレビでもDLNAを利用できる。DLNAのためにだけにPLAYSTATION3を買うほどのことはないが、すでに入手済みで、ほかにDLNA対応のパソコンやレコーダーを持っているのなら設定をしてみてはいかがだろうか。きっと重宝するはずだ。


DLNA対応のMZK-NAS02はNASを作成するためのキット。本体にSATA対応のHDDを2台まで設置できる。

手軽に使えるのが外付けHDDの増設に対応したルーターMZK-04Gだ。ルーターでありながらUSBポートを備え、HDDを増設することでNASとして使える。
DLNA対応機機器選びで注意したいポイントがある。通常のDLNAは著作権保護のかかったデジタル放送では利用できないのだ。例えば地デジ対応パソコンやデジタルチューナー搭載のレコーダーに録画した番組は、通常のDLNA経由では再生ができない。ほんとうに不便なのだが…実はDLNAの中でもデジタル放送に対応したバージョンがある。DTCP-IPというコンテンツ保護規格に対応した製品なら、ネットーワークを介して対応機器の保存したコンテンツを“ストリーミング”で再生できる。

これについては筆者のコラム「次世代AV-NAVI」で紹介しているので参考にしていただきたい。

実はDLNAとDTCP-IPはもともと別の規格であり、両方を併用することでデジタル放送のストリーミング再生を実現している。現在のDLNAの規格ではDTCP-IPへの対応が必須になっているが、製品自体の対応はまちまちになっている。これがちょっと厄介だ。同じDLNAならすべて「LANに繋ぐだけでOK」というのが家電としての最低限のルールだろう。

そのあたりが改善されそうなのが、次に登場する「DLNAガイドラインv.1.5」だ。DLNAガイドラインv.1.5はDLNA自体に著作権保護技術が含まれているので、これが一般化すればかなり接続はスムーズになるはずだ。今回のCEATECでは日本ビクターが「著作権保護機能付きサーバーソフトウェア」を参考出品していた。一日も早く一般化して欲しいものだ。


サイバーリンクのSoft DMA対応ソフトは一部のQosmioにバンドルするソフトがDLNAガイドラインv.1.5に対応、デジタル放送のストリーミングが可能。市販バージョンのアップグレードは未定。

サイバーリンクのSoft DMA対応ソフト

日本ビクターが参考展示した「DLNAガイドラインv.1.5」対応の「著作権保護機能付きサーバーソフトウェア」。これなら対応機器に保存したデジタル放送の番組をパソコン上で再生できる。
便利なDLNAだが筆者は、とても気に病んでいることがある。これはDLNAの規格についての問題ではないことをあらかじめお断りしておくが。

DLNAの普及を一時停止させそうなのが、今回のCEATECで発表された「MPEG4 AVC/H.264形式対応レコーダー」の存在だ。MPEG4 AVC/H.264自体は、画質の劣化を最小限にしながら、長時間録画を可能にするので筆者も大歓迎なのだが、この方式で録画すると、MPEG4 AVC/H.264形式に対応した機器でないと再生ができなくなる。要はDLNAの新規格でデジタル放送をLAN経由で再生できるようになっても、受け手側のテレビやパソコンがMPEG4 AVC/H.264形式の再生に対応しない限りは、MPEG4 AVC/H.264形式で録画した番組を再生できないのだ。最新のBDレコーダーを購入した人なら、メリットの多いMPEG4 AVC/H.264形式で録画するだろう。

パソコンは将来対応ソフトが登場すれば再生できるかもしれないが、テレビは対応機が発売されるのは待つしかない。せっかく便利な技術が登場しても周辺機器の開発が間に合わないので、利用できないのだ。筆者としては一日も早くMPEG4 AVC/H.264への対応を見込んだ、DLNA対応製品が登場することを願っている。


パナソニックのDIGAシリーズ

ソニーのBDレコーダー
▲HDDや光ディスクの容量を節約しながらデジタル放送の長時間録画を実現したMPEG4 AVC/H.264対応のBDレコーダーだが、DLNA環境での使い勝手はいまひとつだ。

実はDLNAにはまだ先がありそうだ。将来はLAN経由で録画番組のコピーやムーブへの対応することだろう。そうすれば離れた部屋の設置したレコーダー同士で録画番組をダビングしたり、ワイヤレスLANを使って、パソコンやマルチメディアプレーヤー、ゲーム機に録画番組や音楽を転送できるようになるだろう。

ようやくデジタル放送の録画方式「ダビング10」に仕様も決まりつつあるようなので、このあたりの技術には駆け足、いや全速力で進歩して欲しいものだ。

(レポート:鈴木桂水)

筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら

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