増田和夫の“Wooo”「DV-DH1000W」連続レポート(2)ハードウェアの内部構造を見る

2005年11月15日

本機は、1TBの超大容量HDDにハイビジョン同時録画という世界初の機能にチャレンジしている。今回はHDDを中心に、ユニークな性能を実現したハードウエアをチェックしてみよう。

様々な工夫が盛り込まれた回路構成

本機の内部を見ると、前モデルDV-DH400Tと較べて多機能になったにも関わらず、回路構成はスッキリと洗練されている。メイン基板はデジタル部とアナログ部が統合され1枚になり、チューナーやチップセットも統合されてオンボード化されている。PCのマザーボードのように整合性が高く完成度が高まった印象だ。前モデルより奥行で30mmの小型化が図られたが、必要な空間は確保され、発熱&静音対策もとられている。内部実装の冷却ファンはデジタル機としては珍しい1個で、作動音と作動時間が見直され、静音化が図られている。

本機の内部はPCのようにシンプルな構成で、DVDドライブの両脇に2台のHDDが配置され、その下に電原基板と、青緑色のメイン基板が置かれている。HDDはシリアルATA接続で、RAID構成ではないが→

→1台のHDDとして認識されるようにソフトウエアで処理されている。前モデルDV-DH400T(右写真)と較べると、多機能になったにも関わらず、回路構成がシンプルに洗練されているのがわかる

その基板上に二台の500GB HDDを搭載。前モデルでも二台分のスペースが確保されていたことを考えると、計画通りの正統な進化といえそうだ。前モデルと同様にHDDはゴム製インシュレーターで本体に固定されている。本機では500GB HDD固有の振動パターンを解析して、ゴムの柔らかさを再調整して低振動&静音化が図られている。
 
二台のHDDは、高性能PC&サーバー用HDDとして定評ある日立GST社の3.5インチ500GB HDD”Deskstar 7K500”を採用。本HDDは、PC用をそのまま使用しているが、HDDそのものがPC以外のAV家電用途にも対応できるように設計されている。緊急時のヘッド待避機能や、発熱を抑える温度管理機能で、家電でも確実な動作を保証している。HDD内部は、100GBの5プラッタ構成で500GBを実現。最先端の技術を使うと1プラッタにつき125GB以上、つまり650GB程度は可能だが、あえて既存の枯れた技術を使うことで、各プラッタを100GBに抑え、高い信頼性を確保している。AV対応機能としては、シーケンシャルなAVデータのアクセスに対応したストリーミングコマンドを採用している。ファームウエアに手を入れれば、ハイビジョンを8ストリーム同時に記録できる高いデータ転送能力を備えている。なお、本機で同時処理されるのは最大3ストリーム程度なので、同時記録にはかなり余裕がある。

1TBはアナログ放送換算では230GB


日立GST社の3.5インチ500GB HDD”Deskstar 7K500”を2台搭載。写真は、スケルトンのデモモデル(非売品)で、5プラッタ構成であることがわかる
1TBのHDDというと、その容量ばかりがセンセーショナルに伝えられがちだが、実はハイビジョン録画には必要かつ十分な容量ともいえる。このHDDに地上デジタル放送を約128時間、つまりハイビジョンの連続ドラマだと1クール以上録画可能だ。録画ファンなら、ここまで録れないと満足できないだろう。一般のアナログレコーダーの標準モード録画時間に換算すると約230GB程度になり、実はリーズナブルな容量であることがわかる。逆にいえば、本機より容量が少ないと、HDDはすぐに満杯になってしまうはずだ。

LPなどの長時間モードを使って、1TBのHDDに放送を数年分もVR録画する、という使い方も可能だが、ストリーム録画重視の設計思想からすると、やはりハイビジョン録画機として活用するのが正解だと思う。

DVDマルチドライブは日立LGデータストレージ社製の新型を採用し、DVD-R16倍速記録、DVD-R(VR)CPRM記録に新たに対応している。

デジタルダブル録画を支える高性能LSI


前モデルのメイン基板は紙フェノール製の単層だったが、本機では、特性の良いガラスエポキシ製の6層基板を採用。7基のチューナーを、日立製メディアエレクトロニクス社製の複合チューナーパック2基に統合してい
本機は、ハイビジョン同時録画中に、追いかけ再生も可能、という高いマルチタスク性能を実現している。内部のデータ転送量はアナログレコーダーの3倍以上の70Mbps前後にも達する。これらデータのインターチェンジとして自社開発の高性能なストリーム制御LSIを搭載している。マルチ処理はこれからのレコーダーに不可欠な要素で、このための高性能な専用ハードをいち早く実現している点でも先進的といえるだろう。システム全体のレスポンスも向上している。起動時間は前モデル比で約20秒高速化され、タイトル消去の時間や、再生リストのサムネイル描画なども高速化されているのが体感できた。

合計7基ものTVチューナーを搭載していながら、内部はかなりシンプルだ。これは、最大4基のチューナーを1ユニットに統合した日立製メディアエレクトロニクス社製の複合チューナーパックの成果である。このユニットを2基搭載することで、ハイビジョン同時録画を実現している。なお、アナログチューナーはハイエンド機らしくGR機能つきだ。

前機(左)では、デジタルとアナログの各チューナーユニットを基板上に外付けしていたが、本機(右)では複合チューナーユニット2個をオンボードにして、小型化とスリム化、クオリティの向上を図っている

AV回路は、ルネサステクノロジー社製の最新バックエンドLSIを採用し、AVクオリティの向上が図られている。人物など視覚的に描写が気になるエリアにビットレートを割り振る領域検出処理など、MPEGエンコードの最適化を行っている。同時に、ブロック&モスキートNRを強化し、動きの激しいシーンでもS/N感を確保している。また、LSIの統合で信号変換や信号線の引き回しが減り、回路全体のS/Nも向上していそうだ。こうした高画質化によって、長時間LPモードのフルD1化を実現している。本機のLPモードは、前モデルと較べると明らかに高解像度で、長時間モードの割にS/Nも確保されているのがわかる。MPEGエンコーダーは1つのみ搭載だが、エンコードが不要なデジタル放送TSモードの同時録画には影響のない制限といえるだろう。

AVインターフェースはHDMI端子を装備するほか、iLINK(TS)端子でRec-Pot MやD-VHSと連携も可能だ。録画データが行き止まりにならず、これらの器機にハイビジョン録画をそのままムーブできる点が嬉しい。USBと思われる拡張端子にデジカメを繋いで静止画を閲覧できるほか、PC用のUSBキーボードも接続可能で、キーワードやタイトル入力で重宝する。

総じて見ると、重装備のスペックを最新のハードウエアで洗練された形にしている。日立の技術力のシナジー効果が感じられる先進的なハードウエアといえるだろう。次回はEPGと同時録画などのソフト機能をチェックしてみたい。(増田和夫)

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第1回:録画のパラダイムを変える製品

増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。

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