HOME > ニュース > [折原一也のCEATEC2005レポート] 薄型大画面テレビの未発売モデルを画質レポート

[折原一也のCEATEC2005レポート] 薄型大画面テレビの未発売モデルを画質レポート

公開日 2005/10/08 12:53
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
CEATEC会場では、各社大画面テレビのラインナップが展示されていた。その中でもいくつか見られたのが、試作機、参考出品などといった将来の製品だ。注目のSED、液晶、プラズマの3方式をレポートしよう。なお、画質の違いはカメラ写真では分からないので、画像は参考程度としてほしい。

●自然な絵作りなSED

薄型大画面テレビの本命と言われることの多いSEDも発売目前まで迫ってきた。今回、SEDブースと東芝ブースで展示されていたのは37型のもので、映画や自然の映像に加え、テレビ放送を録画した映像も上映されていた。

人気を集めていたSEDブース

SEDではデモのほかテレビ放送の映像も見られた

画質は、まず「自然」というのが第一印象だ。映像の階調をダイナミックに表現することで明部から暗部まで階調が広がり、奥行きがしっかりと現れる。画質のチューニングも他方式の薄型大画面テレビのような鮮やかに作られた美しさではなく、より自然な色の表現という方向で調整していくとのことだ。

なお、発売時期は来年春を予定。気になる価格は未定だが、同一サイズの液晶、プラズマテレビをある程度意識した値付けになるという。

●高精細なパイオニアフルHDプラズマ


パイオニアは2台のフルHDプラズマを展示
プラズマテレビを推進するパイオニアのブースでは、以前から噂されていた50V型のフルHDプラズマテレビが展示されていた。従来、小型サイズでのフルHD化が難しいと言われていたが、新開発の「高純度クリスタル層」によって小型化が可能になったという。

画質は従来から同社のプラズマの傾向を受け継いで、鮮やかながら引き締まった映像だ。また、黒の深みの表現もしっかりと現れる。小型化により精細感については液晶に引けを取らず注目だ。発売は2005年春を予定しているとのことだ。

●鮮やかなパナソニックフルHDプラズマ


パナソニックは65V型と50V型プラズマを並べて展示
パナソニックのブースでは、暗めに作られたテレビの展示スペース内にプラズマテレビを中心としたラインナップの展示が行われていた。なかでも注目したのが、65V型に加えて50V型も展示されたフルHDプラズマテレビだ。

画質はフルHD化が行われたことで精細感が増したことに加えて、やはりプラズマの強みである黒の締まりが光る。色彩は鮮烈で派手目な傾向で、暗い展示スペースでは豊かなコントラストを楽しむことができた。発売については来年のワールドカップには間に合わせるようにしたいということなので期待したい。

●落ち着いた色調の日立フルHDプラズマ


日立は55V型プラズマを参考出品
日立のブースでは、プラズマ、液晶両方を自社で生産する同社だけに、両者を取り合わせたラインナップが行われていた。今回注目したいのが、参考出品の55V型フルHDパネルを搭載したプラズマテレビだ。なお、パネルはALIS方式ではなくプログレッシブ方式を採用する。このパネルを搭載したテレビの発売は2006年末を予定しているとのことだ。


画質はそれほど強烈に色が主張し合わない、落ち着いた色彩にまとめている。明部での階調表現を重視する同社だけに、フルHDモニターも期待できそうだ。

●赤の表現に長けたビクターLEDバックライト液晶

ビクターのブースでは、D-ILA搭載リアプロの実機デモと120Hz駆動の高速液晶ドライバーの展示が行われていた。そして、すぐの裏側には、高速液晶ドライバーとLEDバックライトを組み合わせた液晶テレビの試作機が展示されていた。

ビクターはLED液晶を現行液晶と比較

この液晶テレビの画質は、まず赤が朱色ではなく、より深みのあった色合いになったのが大きな違いだ。また、黄色もべったりと潰れた色合いの表現がなくなり、しっかりと色調が現れ奥行き感が増している。全体で見ると、クリアで透明感のある映像になったという印象だ。

なお、製品化についてはLEDバックライトの発熱を処理するための処理が必要な点と、コスト低減などの課題を挙げ、未定としている。

●コントラスト比1000000:1 シャープ業務用ディスプレイ


シャープは暗い部屋で業務用モニターをデモ
シャープのブースでは、最新型の赤色LEDを加えた57V型液晶を始めとする液晶ラインナップを見ることができた。その中でも、今回注目したいのがメガコントラスト液晶と名付けられたコントラスト比100万対1を誇るという37V型液晶マスターモニターだ。

画質は照明が落とされた部屋で確かめたが、夜景や日陰など階調が潰れやすい部分がしっかりと現れており、暗部のコントラストがしっかりと乗り、明部まで伸びる。ただしデモで見た映像は、ソースによっては汚く見えるシーンもあった。これは、元の映像の画質の悪さをそのまま表示することがマスターモニターの役割であるためだ。価格については、「業務用のため家庭向けの製品とは違ったものとなる」とのことだ。

今回紹介したほかにも、ソニーのBRAVIA、東芝のZ1000、各社リアプロなど最新のテレビが数多く展示されていた。今後も薄型大画面テレビの進歩には、目を離せなくなりそうだ。

(折原一也)

ceatec2005

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック