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松下電器が03年度通期の決算を発表 営業利益1955億円を達成

公開日 2004/04/28 19:37
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●松下電器産業(株)は、2003年度の連結・単独決算を発表し、本日東京都内で記者会見を行った。

連結業績では、売上高が昨年度比1%増の7兆4,797億円、本業の儲けを示す営業利益が54%増の1,955億円、純利益が421億円となった。営業利益率は昨年の1.7%から2.6%に増加した。商品部門別の売上高を見ると、AVCネットワーク、アプライアンス事業が微増、デバイスはほぼ前年同様、デバイスと日本ビクターは微減となった。

中村邦夫 代表取締役社長

2003年度の連結業績

同社社長の中村邦夫氏は、「2月に公表した内容を上回る実績を残せた。営業利益1,955億円は、ITバブルピーク時を上回る内容だ。また、全セグメントで増益を実現できたのも意義が大きい」と決算内容に自信を示した。また同氏は、「04年度は材料の高騰が予想され、さらにイラク問題など地政学上リスクも加わる。経済環境は不透明だが、『V商品』『世界同時垂直立ち上げ』へさらに注力することにより成長を実現する。まずはアテネをにらみ、テレビ、レコーダーを早期投入する」と語った。同氏はさらに、「松下電工とのシナジー効果を発揮するのが今年度の課題の一つ」と続け、「『生活住空間快適ソリューション』というスローガンを掲げ、あくまでお客様の利益を第一に考えて統合の効果を出していく」と述べた。

V商品が伸張、売上高1兆2,400億円を実現した

中村社長はまた、「2010年にグローバルエクセレンスカンパニーとなり、営業利益率10%を実現するという目標は変わっていない。まずは中間地点となる06年度に5%を達成する」と語った。

決算の詳細については、同社常務取締役の川上徹也氏が説明を行った。同氏はAVCネットワーク分野について「CRTテレビ、ビデオ、オーディオ機器が前年を下回ったが、薄型テレビやDVDレコーダーなどのデジタルAV機器が好調に推移し、増収を実現できた」と全体を説明した上で、「DVDレコーダーについては、昨年末に他メーカーが低価格攻勢を仕掛けてきて、一時的にシェアが低下した。しかし、今年に入って投入したDIGAの新シリーズが好調で、3月第2週からはシェアトップに返り咲いた。ムービーについても一時的な低迷を脱し、こちらも3月からシェアトップを奪取した」と語った。


川上徹也 常務取締役

2004年度の業績見通し
04年度の見通しについては、松下電工とパナホームが連結対象に加わることで、売上高、営業利益とも大幅に増加するとし、売上高は8兆8,000億円、営業利益は2,800億円と予想。2社を外した見通しでは、売上高は03年度と同程度、営業利益は2,300億円程度となる見込みだ。

以下、決算発表会席上で行われた質疑応答の模様をすべてご紹介する。

Q:中国の伸びが著しいが、中国市場の位置づけと、それに対する施策を教えて欲しい。
A:中国は弊社の成長戦略の要である。06年には生産販売1兆円を実現したいと考えており、現在のところ順調に推移している。中国が世界の工場であることは説明の必要が無いと思うが、このところ国内需要が急成長している。特に高所得者層が非常に増えており、PDPなど高額商品が売れている。先端商品を投入することで、販売1兆円は実現できるものと考えている。

Q:IT革新プロジェクトも一つの区切りを迎えたと思うが、感想を教えて欲しい。
A:01年度からの中期計画で、IT投資に1,200億円の予算をつけ、インフラを構築してきた。これにより、コスト削減はもちろん、SCMの実現、リードタイムの短縮など、様々なメリットを生むことができた。これからもITインフラ構築には積極的に取り組み、今後3年で1,200億円投資する予定だ。特に中国でのインフラを早急に構築したい。

Q:松下電工を連結対象にすることによるメリットを教えて欲しい。
A:前提は「お客様本位に徹した協業を実現する」ということだ。NAiSブランドをすべてNationalブランドに置き換えるほか、汐留めのショールームを「Nationalショールーム」として開放する。お客様に「わかりやすい」と感じてもらえるよう努力したい。

Q:06年度に営業利益率5%を実現するという目標は、松下電工の連結を見越した上でのものか。
A:そうだ。06年度には売上高を9兆5,000億円から10億円にしたい。その上で利益率5%を実現したい。

Q:中国市場を強調されているが、米州などに関してはどういうスタンスか?
A:もちろん重要なのは中国だけではない。特に欧州は、EU加盟国が25ヶ国になり、また域内関税が撤廃されたことで、非常にダイナミックな市場になることが予想される。ASEANも強い成長力を秘めているし、米国も重要だ。「海外が成長エンジン」という前提は変わっていない。

Q:社長就任から4年が経過したが、その成果をどのように見ているか。
A:「創生21計画」を策定したのが社長就任直後で、ITバブルのピーク時だった。このため見通しに甘さがあったことを反省している。その後バブルが弾け、「破壊と創造」というスローガンを掲げたわけだが、全社員の努力の甲斐あって、何とか実行できたと考えている。

Q:04年にデバイス事業の売上げがマイナスになると予想しているが、この理由は?
A:モーター事業の移管が大きい。

Q:半導体の外販比率についての方針は?
A:現在は約57%。まず自社ブランド製品に使い、その後外販に活用していくというスタンスだ。

Q:半導体事業についての考えを教えて欲しい。
A:「汎用はやらない」という方針だ。システムLSI、特に1チップソリューションに力を入れる。

Q:松下電工とのコラボレーション委員会についての感想を教えて欲しい。
A:母体は一緒だから、総論は要らず、すぐに各論に入れたという印象だ。現在は実行委員会に変わり、若手を中心に具体的な方策を検討している。

Q:構造改革について、残された分野はどこか?
A:AVC内ではPSSを中心に行う。アプライアンスでは国内外の拠点整理を行いたい。また電池事業も改革する。04年度で一通り終われるかな、と考えている。

Q:サムスン電子についてどう考えているか?
A:世界中で急成長していて、ブランド力も強くなっている。確かに強敵だが、国内メーカーとの技術差は大きいと考えている。ハイエンド〜中級製品では十分勝てるはずだ。

Q:デジタルカメラ事業に関する見通しを教えて欲しい。
A:非常にマーケットがグローバル化している。今年度は固く見積もって5500〜6000万台の市場になる。特徴は高級製品と低価格製品に2極化していることで、高級製品が売れ出している。06年度にシェア10%を目標にしており、弊社が持つ「光学式手ブレ補正技術」「軽くて薄い非球面レンズ」の2つの技術を武器に、この目標を実現したい。

(Phile-web編集部)

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