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富士通テン槌本社長インタビュー2 イクリプスブランドのイメージアップを期待

公開日 2001/05/05 13:09
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シンプルな電子回路を採用したアンプA502(左)、8cmユニットを搭載したスピーカーとアンプのセットとなるECLIPSE TD 508PA(右)
●まったく新しい発想の“卵形スピーカー”ECLIPSE TDシリーズを発売して話題の富士通テン(株)。同社の代表取締役社長・槌本隆光氏のインタビュー第2回目をお届けしよう。インタビュアーは小社常務取締役の佐々木純子である。

―― お互いが力を合わせて作り上げてきたということですね。
槌本 ECLIPSE TDシリーズの基本的な考え方は由井社長が以前から温めてこられたものですが、それを具体的な製品にするのは難しかったと思います。我々はずっとモノ作りをやってきて、製造技術も豊富に持っていました。この両者の持っているもの、思いなどが合致して今回の製品が世に出ることになりました。そういう意味ではタイミングも良かったと思います。
―― 良い製品が作れるとわかっても、事業化のためには随分と苦労もあったと思うのですが。
槌本 私はなにもしていないんで苦労もしていないんですよ(笑)。それよりも若いエンジニアたちが非常に熱心で、その熱心さに周りの社員たちが反応していくんですね。仕事の合間に手伝ったり、ボランタリー的な気持ちで参加したりするようなサポーターが社内に少しずつ増えてきて、私もそのひとりになってしまいました(笑)。
企業のトップが先導してプロジェクトチームを組むよりも、個々の社員がやりたいと思ったことを事業化する方が良い結果が得られることが多いですね。だから社内では『プロジェクト』と呼ばないことにしました。そうやってスタートしたこの事業も、作り込んでいくにしたがってどんどん良い製品ができてくる。そういう進歩をこの一年間実感してきて、本当に楽しかったですね。
―― オーディオマニアからAVマニアまで、注目度は抜群の製品ですが商品としての可能性、市場性という点ではどうお考えですか。
槌本 当社は今、連結ベースで1500億円ほどの商いをさせていただいておりますが、ホームオーディオ事業によって当社の事業が2倍になるというものでは決してありません。その10%でも大変なことだと思います。そういった金額的な部分ではなく、この事業によって新たに得られるノウハウや、企業イメージ、ブランドイメージなどの方が大切だと思います。
カーAVCの分野には新しい技術がどんどん入ってきています。IT、AVなどがカーライフをどんどん変えていくわけですが、IT、AVをどう展開していくかというテーマでは、ホームAVCの方がシンプルだと思います。ホームで培ったノウハウをカーに落とし込んでいくことで解決しやすくなる課題もあると期待しています。
これと同時に、ECLIPSE TDシリーズを極めることで、「ECLIPSEという製品は音が良い」というような、ブランドの価値も高めていけると思います。
―― そうするとこのモデルのような商品をカーオーディオへ転用することもあり得ますね。
槌本 今は卵型という形のインパクトが大きいですから、その形のままで車に載ると良いのでしょうが、あの卵型のものが3つも4つもということになるとちょっと…(笑)。しかしTDシリーズを作る上で得たセオリー、アイデア、製造方法などは、カーオーディオ製品に採用していきたいですね。
―― 広告キャラクターとして、アーティスト/プロデューサーのブライアン・イーノ氏を起用していますね。
槌本 英国のチャリティー団体Future Trusutが主催するチャリティーイベントがあるのですが、そのイベントを当社と労働組合が共同で設立した富士通テン社会貢献基金が支援していまして、このコンサートを積極的にサポートしていたのがイーノ氏でした。その際に開発段階の製品を聴いていただいたところ非常に気に入ってくれたんです。それを聞いたときには大変嬉しかったですね。
製品そのものを評価してくれたというのはもちろんですが、イベントに対する我々の企業姿勢も評価してくれました。そういう意味では彼も当社のサポーターのひとりですね。今後はカタログ、ホームページなどで展開していきます。
―― このように幸運な出会いが多く、新規事業を立ち上げるには良い風が吹いていたことになりますね。
槌本 3月から予約オーダーを開始してすでに予約も出ていますし、現在(4月10日)は29店舗のご販売店様でお取扱いいただいております。立ち上がりは上々だと思いますね。まだまだ不備な点もございますので、順次対応していきたいと考えています。
(続く)

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