【インタビュー】ハイセンスの存在感を高める心臓部「RGB MiniLED」、テレビ市場のさらなる躍進に大きな手応え
今年5月にRGB MiniLEDを搭載したフラグシップモデル「RGB UXS」シリーズ、8月にはセカンドフラグシップに位置付ける「RGB U9S」シリーズを矢継ぎ早に投入し、テレビ市場で俄然、存在感を増すハイセンス。ラインナップを拡充する白物家電にも、多数の新製品が登場を控える。日本の家電市場を席巻する注目の取り組みを、ハイセンスジャパン 副社長 山本一人氏に聞く。<インタビュアー 音元出版 代表取締役・風間雄介>

ハイセンスジャパン株式会社
副社長
山本一人氏
プロフィール/1969年2月26日生まれ 奈良県出身。日本ビクターで営業を経験後、ダイソンに転職し、フィールド統括として日本向けスティッククリーナーや理美容家電、空気清浄機の売り場を導入。現在はハイセンスジャパンの副社長を務める。モットーは「実現力=営業力」、現場での成果を成長へつなげることを重視。
テレビの主戦場は65・75インチ。高付加価値化を加速する
―― テレビを取り巻く市場環境は、テレビそのものの進化はもちろん、コンテンツの視聴スタイルやライフスタイルも大きく変化しています。“これからのテレビ”をどのように展望されますか。
山本 テレビの技術的な進歩はとどまるところを知りません。液晶パネルでは外光や照明の映り込みを低減して見やすくする低反射パネル、また、今では液晶画質の真髄と言っても過言ではないバックライト技術には、「RGB MiniLED」「SQD-Mini LED」など各社からの革新的な新技術により大きな進化が見られます。
このような高画質化を目指す技術が進化する一方で、コンテンツの視聴スタイルが大きく変わり、とりわけ“スマホで動画”がメインとなる若年層に対し、テレビメーカーとしてどのような提案を行っていくことができるかもとても大事なテーマとなります。
―― 画面サイズやタイプも多様化していますが、現在のハイセンスのラインナップ展開についてのお考えをお聞かせください。
山本 日本市場に限らず、グローバル全体で共通して推し進めているのが「脱・2K」「脱・小型」です。これまでのように40インチ以下のサイズを必要以上に追いかけることはせず、サイズで言えば50インチ以上、できれば65インチ・75インチの構成比をさらに高め、MiniLED以上のモデルによりハイセンスのブランド認知を一段と高めていきたいと考えています。
―― メモリー価格の高騰がさまざまな家電製品に影響を及ぼしていますが、テレビに対する影響ついてはいかがでしょう。
山本 今、テレビも原価がどんどん上がっていて、そこでもっとも大きな影響を与えているのがメモリーです。今後、コストのなかに占めるメモリーの割合がさらに高くなってくると、メモリーの価格は単純に容量に比例しているわけではありませんから、小型や安価なものほど影響は大きくなります。すなわち、価格差が縮まり、お買い得感が薄れていけば、コスト面からも2Kの比率は下がっていかざるを得ないと考えています。
―― 画面サイズに注目すると、家電量販店のテレビ売り場にも100インチ超の超大型が目につくようになりました。日本では住宅の広さがよく指摘され、高級マンションでもエレベーターに収まらないなど搬入時のハードルも低くありません。
山本 元々の分母が小さかったことから需要は拡大していますが、大きなカーブで急伸長しているわけではありません。やはり、重量や大きさから搬入は容易ではなく、また、115インチ、116インチになると一気に価格が跳ね上がりますから、ひとつの目安として100インチが限界ではないかと見ています。

120インチ、150インチという話であれば、我々が手掛けているレーザーテレビをはじめとした他のデバイスの方が適していますね。
ハイセンスのレーザーテレビは現在、ビックカメラで有楽町店をはじめ4店舗で試験的に展示されています。画質に対する評価は高く、発売を要望する声もいただいています。特に日本市場を考えた場合には、搬入時の難易度が下げられるのは大きな利点となります。
ハイセンスの心臓部「RGB MiniLED」
―― 65インチ、75インチを主戦場に見据えるなか、その牽引役としても位置づけられ、力を入れているのが「RGB MiniLEDテレビ」ですね。
山本 「液晶テレビ」というとどうしても、名称の通り液晶パネルで性能が決まると思われがちです。確かに以前はそうでしたが、今、液晶テレビの画質の進化の中心にあるのがバックライト技術です。
ハイセンスでは、画質エンジン・LEDチップ・バックライトコントロール技術について、長年にわたり自社で開発を行ってきました。垂直統合型の態勢が整えられ、その成果が「MiniLED」、そして、「RGB MiniLED」へと結びついています。
今のテレビの性能を決めるバックライト技術に、我々は大きな強みがあります。大きな差別化の手段となる「RGB MiniLED」を、コスト力を活かしてさらに進化させ、ハイセンスの技術的な優位性をアピールしていきます。まさに我々の心臓部ですね。相当に複雑なことをやっていますので、真似をするのは容易ではないと思います。
―― RGB MiniLEDテレビとしてフラグシップの「RGB UXS」シリーズ、そして、セカンドフラグシップの「RGB U9S」シリーズとすでに2つのシリーズをラインナップしています。
山本 発売以降、家電量販店のテレビ売り場においても続々と展示が広がっており、期待感をひしひしと感じています。フラグシップ/セカンドフラグシップの展示ボリュームとしては過去最大となり、今回のRGB MiniLEDテレビで一気に突き抜けた、大きな手ごたえを感じています。
―― フラグシップ「RGB UXS」シリーズの5月発売にとどまらず、矢継ぎ早にセカンドフラグシップ「RGB U9S」シリーズが8月に投入され、RGB MiniLEDテレビに対する強い決意を感じます。しかも、「RGB U9S」シリーズには「RGB UXS」シリーズに搭載された数多くの技術が搭載され、“大盤振る舞い”とも言える内容で、「セカンドフラグシップ」とはまさに言い得て妙ですね。
山本 来年はRGB MiniLEDテレビのラインナップはさらに拡充して、テレビの売上げのなかに占めるRGB MiniLEDの構成比を一段と高めていきます。画面サイズについても、現在は55インチからになりますが、50インチ、近い将来には43インチまで広げていきたいと考えています。
―― 「RGB MiniLEDテレビ」という選択肢を、ハイセンスが当たり前にしていく。
山本 今の4Kテレビの位置づけに早く持っていきたいですね。
プロバスケットボール「B.LEAGUE」のパートナーに就任
―― 2026年は大きなスポーツイベントの当たり年と言われ、テレビ市場でも大きな期待が寄せられました。前半戦の振り返りをお願いします。
山本 2月に開幕した「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」から始まって、3月には野球の「WBC 2026(World Baseball Classic 2026)」、そして、6月からはサッカーの「FIFAワールドカップ2026」が開催され、テレビ市場には大きな追い風となりました。
なかでもハイセンスは「FIFAワールドカップ2026」のスポンサーということもあり、開催にあわせて家電量販店各社で、ワールドカップを全面に押し出した売り場づくりを展開しました。
また、テレビ中継では「Hisense」のロゴが頻繁に映し出され、ブランドの知名度、テレビの売上ともに大きな効果が表われ、まさに一大イベントとなりました。
なお、今回の「FIFAワールドカップ2026」では、米ダラスに設置された国際放送センター内のVARオペレーションセンターに、ハイセンスのRGB MiniLEDテレビが導入されました。正確かつ信頼性の高い判定を下すために設計された高性能ディスプレイ技術により、VARの運用にも大きく貢献しました。
―― ハイセンスではスポーツマーケティングに大変力を入れており、日本でもプロ野球の横浜DeNAベイスターズ、サッカーJリーグのサンフレッチェ広島をスポンサードされ、8月29日に横浜スタジアムで行われた横浜DeNAベイスターズvs中日ドラゴンズのゲームは、ハイセンス冠試合「ハイセンス 大画面テレビ DAY」として催されました。
山本 始球式には、ハイセンスジャパンのプロジェクトリーダーを務める歌手の相川七瀬さんにご登場いただきました。冠試合にはこれまで3度の始球式を務めていただき、今年で4度目の登板となりました。
今年は始球式にとどまらず、4回裏終了時に行われるイニング間イベント「Hisense ハマスタバトル」にも登場していただきました。横浜DeNAベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチームと行うリレー対決で、毎回スタジアムは大盛り上がりです。かなりのハンデをもらいましたが、結果は惜しくも負けてしまいました。
試合はベイスターズがドラゴンズに見事勝利して、活躍した「ヒーロー賞」の4選手に、ハイセンスから大型テレビをプレゼントしました。
―― 7月31日には新たにプロバスケットボール「B.LEAGUE」のパートナー就任が発表されました。
山本 「りそなグループ B.LEAGUE 2026-27シーズン」から、B.PREMIERに所属する全26クラブの試合会場に、これまでのTO(テーブルオフィシャルズ)前に加え、新たにベンチ前およびコートエンドにもLEDパネルが設置され、そこにハイセンスが取り扱うLEDパネルが採用されました。各クラブの演出力や情報発信力の向上に貢献しています。
―― ハイセンスさんが大事にされている“スポーツと日々の暮らしが交わる接点”がさらにひとつ増えたわけですね。
山本 プロ野球とサッカーJリーグは特定チームのため、どうしてもエリア特性が強くなります。しかし、今回のB.LEAGUEは特定チームではなく、リーグ全体になりますので、これまで十分にリーチできていなかった地域にもアピールすることができると考えています。
また、横浜スタジアムには2月、室内に190インチの超大型ディスプレイを導入していただきました。横浜DeNAベイスターズのスポンサー活動では、これまでハイセンスの認知を大きく高めることができ、今後のスポーツマーケティングの取り組みにも引き続き力を入れて参ります。
下半期は白物家電に新商品が続々登場、家電市場を大いに盛り上げる
―― 後半戦の取り組みについてお聞かせください。
山本 10月からは続々と白物家電に新商品の発表が控えていますので、家電全体で大々的な販促を展開して参ります。白物家電もテレビと同様に、小型で安価なボトムの商品から市場へ参入し、だんだんと上のゾーンに広げています。「安かろう」にとどまることなく、毎年着実に進化しています。
冷蔵庫では初の500Lクラスとなる「HR-FH50S」を10月下旬より発売します冷却装置を上下二つに分け、優れた湿度コントロールを採り入れているのが特長で、野菜の鮮度を業界最長となる14日間保つことを可能としています。
洗濯機には昨年10月、洗濯12kg・乾燥6kgの大容量ながら、同等商品でトップクラスとなる薄型・コンパクトのドラム式洗濯乾燥機「HWF-D120XL-W」を投入しました。日本の住宅ではやはり、洗濯機前のスペースをいかに快適に使えるかが重要で、着実にシェアも上がっています。また、根強い需要の縦型にもチャンスが広がっていると認識しています。
―― 「2027年問題」で特需となったエアコンでは、家電量販各社の広告で目玉商品として「Hisense」の文字を目にする機会も少なくありませんでした。
山本 2027年問題は、メーカーにとって大きな転換点と言えます。新しい省エネ基準を満たすため、家庭用エアコンのコストは確実に上昇します。
そこで、エントリーゾーンの商品価格がどこまで上がるのか。10万円を切っていた価格が13万円、14万円となったら、消費者が敬遠するかもしれないし、そもそもエントリーゾーンのモデルが減ってしまうかもしれない。コスト力がある我々にとってはチャンスと見ています。
―― テレビ周りでは、レコーダーに代わる“相棒”として普及率も高まるサウンドバーへの取り組みも注目されますね。
山本 サウンドバーは今後、ラインナップを拡充していく方向で、新製品は冬までに発表を予定しています。さらに、アンプを内蔵したスピーカーも併せて発表予定で、テレビそのものの音の進化と並行しながら進めていきます。
―― “テレビの音”の進化では、革新的な音響技術と洗練されたデザインで名を馳せるフランスのハイエンドオーディオブランド「Devialet(デビアレ)」との戦略的パートナーシップを締結され、上位モデルの音質チューニングをDevialetが監修されています。
山本 フラグシップの「RGB UXSシリーズ」には、感動の臨場感を実現する最大出力140Wの「6.2.2chダイナミックサラウンド」(※75V型は最大出力110W 5.1.2ch、65V型は最大出力90W 4.1.2ch)を搭載、セカンドフラグシップ「U9Sシリーズ」にも2.1.2空間サラウンドシステムを搭載しています。
デビアレは小型でも本当にクリアな重低音を実現でき、聴き比べると違いは歴然です。今後、搭載する商品のグレードや画面サイズをさらに広げていけたらと考えています。

―― 家電量販店の売り場では今、若年層を中心に人気を集め、プロジェクターの売り場が拡大しています。新規ブランドの参入も相次いでいますが、ハイセンスも中国市場ではすでに展開され高い人気を集めています。日本市場への展開のご予定はいかがでしょうか。
山本 まったくの白紙の状態ですが、会社としてプロジェクターに大変力を入れていることは事実です。日本市場における大画面の要望にお応えすることを考えると、なにより納品や設置のハードルも低く、ぴったりとくる商品とも言えます。有望な市場ですから、ぜひ導入の実演へ向けて検討していきたいですね。
テレビ市場の高付加価値化を牽引するRGB MiniLEDテレビ、後半戦に数多くの新商品登場を控える白物家電など、Hisenseの商品が日本の家電市場を活気づけて参りますので、どうぞご期待ください。

