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米本社のエンジニアにインタビュー

Sonosの新サウンドバー「Arc」が“プレミアム”である理由。開発者に聞いた

公開日 2020/05/08 06:40 山本 敦
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音づくりにはワールドクラスのクリエイターが参加した

ArcにはSonosの設計によるカスタムビルドのスピーカーユニットと、これらに最適化した11基のクラスDデジタルアンプが搭載されている。8基は楕円形振動板のウーファー。うち2基はドルビーアトモス対応コンテンツを再生した時にハイトチャンネルの再生に使用される。

そのほか筐体には、低音再生を強化するためのウェーブガイドも組み込んだ。また3基のシルクドームトゥイーターも備え、ウーファーと連携しながら高品位に「人の声」を再現できる音づくりを重視してチューニングを追い込んだと、音響エンジニアのDavies氏が語っている。その過程では振動板の形状やサイズ、素材も入念な検証を繰り返して選定したそうだ。

Arcには全11基のスピーカーユニットを配置

それぞれのために設けたクラスDデジタルアンプで駆動する

サウンドビームフォーミングにより臨場感豊かな立体サウンド音場を作り出すArcは、設置した後にSonosアプリに組み込まれる「Trueplayオートチューニング」機能を使ってルームアコースティックに最適化すると、その実力を存分に発揮する。TrueplayチューニングはiOS、またはiPadOSのSonosアプリでのみ利用できる。

今回ドルビーアトモス再生に対応するArcのために、ユーザーのリスニング環境の天井の高さや形状、照明器具などの突起物も計算に入れて解析が行えるよう、Trueplayの機能をアップデートした。

音響エンジニアのChris Davies氏

Trueplayチューニングの自動音場補正も、ドルビーアトモス再生に合わせてアルゴリズムを最適化。高さ成分の音を心地よく楽しめるよう改善を図っている

Sonosのサウンドチューニングを、Davies氏のように各製品を担当する音響エンジニアがひとりで行うのではない。コンテンツ制作の最前線で活躍する “ワールドクラスのクリエイター” たちと密接に関わり、様々な声に耳を傾けながら完成させる開発プロセスを採用している。

Arcについても「Sonosのエンジニアと著名クリエイターたちがオープンにディスカッションを繰り返しながら、シアターファンが楽しめるだけでなく、クリエイターの意図も忠実に再現できるサウンドバーとしての音質を追い込んできました。私も何度かその輪の中に加わりましたが、皆が真剣に対等な目線で議論を交わす現場はとても活気にあふれていました」とSimmons氏が様子を振り返った。

Arcのサウンドチューニングにはもちろん、Sonosのサウンドエクスペリエンスリーダーとして全ての製品に深く関わるGiles Martin氏が参加している。ドルビーアトモス対応のサウンドバーであることから、アメリカのドルビーラボラトリーズ本社のスタッフとも密接に連携しながらシアターサウンドの追い込みを行ってきたようだ。

Sonosのサウンドエクスペリエンスリーダー Giles Martin氏

また映画作品のサウンドについては、これまでに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『インフェルノ』など150を超える作品に参加し、アカデミー賞録音賞を3度も受賞する音響技術者のChris Jenkins氏も関わっている。そして音楽系コンテンツによるチューニングにはKanye Westの作品のサウンドプロデュースなどを手がけるグッド・ミュージックレーベルのエンジニア、Noah Goldstein氏も参加した。

音響技術者のChris Jenkins氏

Giles Martin氏は、Arcの音を練り上げていく作業過程について「誰もが驚くほど込み入った作業にまで踏み込んで音を作り込んでいます。ところが、Arcのユーザーは誰もそのことを意識するがなく、ただ部屋にサウンドバーを置いて、コンテンツを再生するだけで臨場感あふれるサウンドを楽しむことができます。 “Easy to Use” であることを大切にするSonos製品のポリシーを、私はとても愛しています」とコメントしている。

Jenkins氏もまたArcのサウンドチューニングの完成度について「ただ素晴らしいだけでなく、クリエイターがコンテンツに込めた本当の思いをユーザーに届けることができるでしょう」と期待を寄せている。

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