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「若い世代にオーディオの楽しみを」

“オーディオを変える” 新ブランド「LUXMAN B-side」スタート! 誕生の背景、今後の展開を聞いた

公開日 2019/11/18 06:30 編集部:川田菜月
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さらに既存ユーザーに対する提案として考えられたのが、プリアンプ「ASC-C5」である。すでにCDプレーヤーなどのオーディオコンポーネントを持っているユーザーは、ASC-C5を組み合わせることで、Wi-Fi経由の音楽ストリーミング再生や、Bluetoothによるワイヤレス接続など様々な音源入力も楽しめるようになる。

プリアンプ「ASC-C5」

内蔵の高音質・高精度なプリアンプ回路と音量コントロール機構により、パワーアンプやスピーカーとの接続も可能。PCなどとのUSB接続でDSDやMQA再生に対応するUSB-DAC機能も備えている。小島氏は「これまでのオーディオと新しい音楽の楽しみ方をつなぐ、ネットワークの世界に入るブリッジのような存在になれば」と期待を隠さない。

ブランド名などは側面に刻印され、目立たないような仕上げになっている

ASC-C5にも特徴的なホイール部が横向きに搭載される

同シリーズの製品はいずれも、機能性を確保しつつ “デザイン志向” であることが一貫したコンセプト。同社が従来行ってきた、デザインと機構設計、製造加工が一体となった設計方法とは大きく異なっていたという。

たとえば、ASC-S5の側面の5,800を超える穴あけには「どの角度から見ても均一で、なおかつマットな質感に見える」ように仕上げるため、押し出しの一体型アルミ材に対する精密なNC加工を採用。「このイメージの実現には半年以上かかりました」というから、執念ともいうべきこだわりがあったことがわかる。

NC加工による穴あけは1台30分強の時間をかけて丁寧に行われる

中でも開発に最も苦心したのは、特徴的なホイール部だ。回転だけでなく押し込むことでスイッチとして働く機構となっているため、高い強度を持たせ、また回転の耐用回数についてもこれまでより限界値を高める必要があったという。

ホイール部は回転数の上限なし。通常のオーディオ開発とは違った視点でのモノづくりが必要だったという

「生活家電に近い存在になると、何気なく回してしまうお客様も多くいるようで、通常のオーディオ以上に限界値を考えなくてはいけませんでした。実際、通常のオーディオ製品であれば数万回を上限とすることが多いですが、そのくらいの回数は意外と簡単に到達してしまうということがわかりまして…。そこでこのモデルについては、磁力を用いた非接触式とすることで、ほぼ無限の耐用回数を実現しています」(小島氏)

製品が出来上がるまでの開発については、「フランスにいるデザイナーとの意思の疎通は、コンセプトワークの終了後は出来上がってくるデザイン画を通して行うかたちでした。大部分がデザイン優先で、それを図面に落とし込んでいき、その上で高い音質も実現しなければなりません。完成までには長い時間を要しました」と振り返る。



「LUXMAN B-side」では、ラックスマンの高い技術力をもってワイヤレスオーディオを開発しただけではなく、他にはないデザイン性や、ピュアオーディオで追求してきた“良い音”を生活の中で楽しめるような、同社ならではの付加価値を持たせた新ジャンルを確立しようとしている。

老舗オーディオブランドの新たな挑戦ともいえる「LUXMAN B-side」は、市場でも稀有な存在となることだろう。今後のブランド展開に大いに注目したい。

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